サーラ誘拐

 冒険者ギルドでサーラは笑顔で接客していた。


 今までの暗さは無くなり、人が変わったようだ。


「サーラ、ヒールを頼む」


「サーラちゃん、俺にも頼む」


「私にもお願いするわ」


「ありがとうございます。・・・・・ヒール!・・・・・ヒール!・・・・・ヒール!」


「助かったぜ。ほい、2000魔石だ。また頼むぜ」


「サーラちゃんの笑顔にも癒されるぜ」


「きれいに治ったわ。ありがとう」


 最初はヒール1回2000魔石でお客さんが来るか不安だったが多くのお客さんが利用してくれた。

 治癒院では1回のヒールで1000魔石だが、治癒院は街の中央に固まっていて遠いだけでなく、命の危険が無ければ診療するまで大分待たされる。

 傷を受けて血が出ている状態でも平等に待たされるのだ。

 それよりは帰ってきてすぐ治療してもらえるサーラに2000魔石を払って治療してもらう方が効率が良い。


 そしてポーションは1本5000魔石とサーラのヒールより高い為、隙間産業としてサーラのヒールは十分需要があった。








  更にサーラは時間を見つけて接客や料理も手伝った。


 サーラの接客と料理は好評で、サーラのお金も貯まっていく。


 そこにライガが現れる。


「サーラ、来て欲しいのだよ」


「い、嫌です!」


「退職の処理が残っているのだよ」

 サーラは行きたくないと思ったがが、退職の処理と言われ断ることが出来なかった。





 こうして何故かレストランに連れていかれた。


 サーラは違和感を覚える。

 退職の処理ってなんの処理だろう?


「酒でも飲むのだよ」


 サーラは身の危険を感じる。


「い、いえ、お酒は飲めません」


「遠慮はいらない。おごりなのだよ」


「お、お酒に弱いんです」


「まあいい、それでは食べるのだよ」


 食事位なら大丈夫だろう。

 サーラは食事に手を付ける。

 以外とおいしい。


「辞めてからどうかね?もしあれなら戻ってきてもかまわないのだよ」


「け、結構です」


 頭がぼーっとする。


 サーラはナイフを落とした。


 ライガが口角を釣り上げる。


「私が飼ってあげるのだよ」


 私は意識を失った。



 


 ◇





 目覚めると、手足を拘束されていた。


 頭がぼーっとして体中が熱い。


 薬を飲まされた?


 足音が聞こえる


「目覚めたかね?」


 何をしたんですか!


 ライガが私の丹田を指さす。


「これは!奴隷の紋章!」


 でも、簡単には奴隷に出来ない。


 魔力があれば抵抗できる。


 根気強く状態異常解除の魔法をかけていけば解除できる。


 ライガはサーラに電撃を使った。


「んああああああああ!」


「ふむ、ヒールは使わないのかね?」


 魔力が無くなれば奴隷の紋章が早くなじんでしまう。


 完全になじんでしまったらもう抵抗出来ない。


 また私を電撃が襲う。


「魔力を温存しても無駄なのだよ。生命力を削っても奴隷の紋章は早くなじむのだよ」


 また電撃がサーラを襲う。


 痛みに耐えていると、ライガの電撃が切れた。もう魔力が無いんだ。


 ほっと胸をなでおろす。


「強情なのだよ。だが、生命力を削る方法は電撃だけではないのだよ」


 ライガは鞭を手に持つ。


「ひい!」

 

「怖ければ、魔力を使い果たして奴隷になることを受け入れるのだよ」


「い、嫌です」


 ライガが鞭を振るう。


「奴隷になるのだよ」


 サーラは泣きながらフルフルと首を横に振る。

 

 ライガは何度も鞭を振るう。


「はあ、はあ、時間の問題なのだよ」


 サーラは首を横に振る。


「後4時間で仕事か、ノルマもある。今日は眠るのだよ」

 ライガは部屋を出ていく。


 サーラはほっとするがライガが戻ってくる。


「明日私が仕事から帰ったら可愛がってあげるのだよ」


 ライガが部屋を出る。


 このままじゃ奴隷にされる。


 すぐに異常解除の魔法を使わなきゃ!


 「・・・・・リカバリー!」


 魔法が使えない?魔力だけが無くなって発動しない?


 薬のせい?


 腕と足のリングで魔法を封印されてる!


 最初から魔法を使わせる気が無かった?


 まずいまずいまずい!


「リカバリー!」


「リカバリー!」


 手足の拘束を思いっきり引き抜こうとする。


 ガチャンガチャンガチャンガチャン!


 外れない外れない外れない!

 サーラは号泣した。


「助けて!セイさん!助けて!」






 ◇






【夕方】


 ライガが帰ってきた。


 サーラはがくがくと震える。


「さあ、お楽しみの時間なのだよ!」


 助けて!


「底辺職の治癒士は私のいう事を聞いていればいいのだよ!」


 お願い!助けて!


「無能は私に奉仕していればいいのだよ!」

 ライガの手がサーラに迫る。


 セイ!助けて!


 その時轟音が聞こえる。


 扉を破壊してセイとガイが入ってくる。


「セイ!邪魔なのだよ!」

 ライガが電撃を放つ。


 セイは電撃を避け、ライガを殴り1撃で気絶させる。

 更に2回殴る。


「これで目覚めることも無いか」


 セイは考える。

 賢者じゃなければ殺しているが、賢者は王に意見できるほど特別視されている。


 賢者を殺すという事は王家の人間を殺すのと同じ罪になる。


 俺はサーラの拘束を解き、俺の服を着させる。


「後は俺に任せておくっすセイはサーラを連れて帰るっすよ」


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