サーラ
3年前にセイが治癒士を辞めた後サーラは元気がなくなった。
サーラは薄紫色の髪と目で、肩まで伸びる髪。
女性的な曲線美で誰が見ても美人と答える人間だ。
私が小さいうちはまだ良かったが、15才になる頃には、ライガが私の胸やお尻を触ってくるようになった。
ライガに触られるのが嫌だ。
セイさんにならたくさん触って欲しいのに触られたくない人からは触られる。
セイさんがいた頃はまだこの治癒院もまだ良かった。
セイさんが助けてくれたから。
◇
昔治癒のノルマを達成できず、ライガに怒られていた時、セイさんが助けてくれた。
「俺がサーラのノルマもこなしますんで、勘弁してやってください」
セイさんはライガに頭を下げた。
その後代わりにセイさんがしばらく怒られた。
ライガが居なくなった瞬間にセイさんに謝った。
「ごめんなさい!私のせいでセイさんが怒られてごめんなさい!」
「いいよ、それよりサーラのノルマを終わらせよう」
その後セイさんが私の代わりに治癒を行う。
でも、セイさんは私のノルマが終わり、自分のノルマの達成途中で倒れてしまった。
そんな!私のせいで!
すぐに謝りに行こう。
セイさんが目を覚ますとすぐに謝る。
「ごめんなさい」
「良いよ、倒れるのはよくある事なんだ」
ここまでしてくれるなんて。
私はその時しばらく泣いた。
◇
私が魔法の指輪を無くして泣いている時もセイさんが助けてくれた。
「俺の指輪を使ってくれ」
セイさんは自身の指輪を私の指にはめてくれた。
魔法を込めて指輪のサイズを調整してくれた。
私が返そうとしても受け取ってもらえない。
当然その後セイさんはライガに怒られた。
しかもセイさんが何度言ってもライガは新しい指輪をセイさんに渡さなかった。
◇
それからセイさんに頭を撫でられると私はおかしくなってしまう。
セイさんと話をしていると、セイさんに押し倒されていけない事をされる妄想をしてしまう。
セイさんに怒られたい。
セイさんにお仕置きされたい。
セイさんに強引に迫られたい。
でも今セイさんはここに居ない。
私がセイさんに頼りきりになってセイさんを苦しめた。
恩返しをしたい。
もう3年セイさんに会っていない。
そこに他の治癒士の『セイ』という言葉が耳に入る。
セイさんの噂話!
「セイ君、冒険者になって成功してるみたいだよ」
「治癒士の時から優秀だったもんね」
「その話!聞かせてください!」
サーラが大きい声で叫ぶ。
他の治癒士は驚く。
サーラは普段静かで噂話には一切入ってこない人間である。
サーラが噂話に前のめりで入ってくるのは予想外だったのだ。
噂を聞くとすぐにサーラは治癒院を辞めた。
ライガとは直接やり取りをせずに治癒士ギルドの本部を通して退職を伝えた。
ライガの異常な行動はさらにひどくなっていた為あっさりと退職出来た。
その日の内に冒険者ギルドを目指す。
ギルドに入るとすぐにセイさんを見つける。
何やら話し込んでいる。
「魔人を倒した件は上に信じてもらえませんでしたわ」
「仕方がない。でもレアアイテムを手に入れた」
セイさんと他の人が話をしている。
セイさんを見つけた!
サーラはセイの元に近寄る。
「助けてください!」
「ん?サーラか?まず事情を話して欲しい」
「サーラも座るっすよ」
大きな男が席に着くよう促す。
◇
「・・・・・なるほど。治癒院を辞めて住む場所も無くなっ困っているのか」
エリスが答える。
「そうですわね。治癒士でしたら、1回2000魔石でヒールを使ってもらえれば、生活できると思いますわ」
治癒院の診療費はヒール1回で1000魔石。
更に半分は治癒院に払うから実質500魔石。
収入が今までの4倍!
「あ、あの、上納金とかあるんですか?」
そう、ライガの時は勉強代として更に毎月の支払いがあり、更にノルマも取られていた。
「無いだろ?」
「無いですわ」
私は涙が溢れた。
セイさんが背中をさする。
「きっと今までつらい目にあったんだよな」
「もう大丈夫っすよ」
セイさんは魔石を私に渡した。
ノアワールドでは魔石がお金として使われる。
「え?こんなたくさんのお金、受け取れません!」
「たくさんって、たった10万魔石だけだぞ」
10万魔石のお金があれば一か月暮らしていける。
少ない金額ではないのだ。
小さめのパン1つで100魔石
大きめのバケットは250魔石で買うことが出来る。
「分かりました。頑張って働いて返します」
「返さなくてもいいっすよね?」
「そうだな。プレゼントするお金だぞ」
「受け取っておくのですわ。セイとガイにとって10万魔石は大きな金額ではありませんのよ。この2人は冒険者ギルドのエースですのよ」
サーラは号泣した。
こうしてサーラは冒険者ギルドで働き、新たな居場所を手に入れた。
皆にお世話になった。
いつか恩を返そう。
そしてセイさんの奴隷になるんだ!
サーラは返しきれないほどの恩と目標を手に入れた。
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