「26」次の目的地

『青原の森』という名称がついているが、観光地というわけではない。単なる山にある森である。

 舗装された道を歩きながら、俺は貴美子の行方に関する手掛かりを探した。


「……これは……」


 俺は道を外れた茂みの上に、真新しいポーチが引っ掛かっているのを見付けた。近くに行って、手にとって見る。


 貴美子が持っていた赤色の、リンゴを象ったようなポーチだ。


 妙に印象的で、まさかこんなものを持っている奴が居るとは──と頭の片隅で覚えていた。


「これが、ここにあるということは……」

──間違いない。

 貴美子はこの近くに居る。


 そう確信し、俺は辺りを捜索したのであった。

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