メカニック

マキナ

 ・翡翠ひすい

 形式番号:GH-M400T

 製造:玉泉重工

 運用:企業連合軍

 主機関:金蘭機関製、GR2000P特甲型エーテル機関

 装甲素材:玉泉マテリアル製、RE5級自動修復合金複合材

 アイユニット色:青緑

 発光部色:橙


 【概要】

 黒鋼C-2型を代替する目的で開発された、第三世代型特殊部隊専用マキナ。

 第三世代型の基本量産タイプとなる尖晶と同時に設計されており、多くの部品に互換性を有する。

 カール・ローマン・リッゲンバッハが提唱した汎用機甲歩兵論を軸として作られた機体の中でも、群を抜いて運動性と柔軟性が高く格闘戦能力では他の追随を許さない。さらに機動性を向上させる目的で、ジャンプブースターの推進力もかなり高く設定されており、空戦ユニットなしでも一定の空中機動を可能とするほどだった。また、第三世代型特有のダウンサイジングが行われているにもかかわらず、高出力エーテル機関を搭載したことで各種装備による高度な拡張性を持つことから、多様な作戦への参加を可能としている。同時に高度なオペレーティングシステムを搭載し、それら装備品の最適な運用に対応していた他、機体制御補助と生命維持装置の管理も行っており、環境や戦闘からくるパイロットの体力消耗を可能な限り抑えつつ、生存性を高めることに成功している。

 一方、高性能を追求するあまり生産性は劣悪で、コストに至っては尖晶の数倍に上るとも言われていたほど。そのため、通常部隊への配備は一切行われず、高度な作戦行動を要求される特殊部隊専用の機体となっていた。また、小型の機体に高性能を要求したことから余裕なく、整備性の面においても尖晶に劣っていたとされる。



 【天海恭一機の状況変遷】

 ・初期

 ほぼ無改造のB-2型であり、補助装備は一切装備していない。一部の経年劣化が見られたパーツを、生命保管システム内に残されていた尖晶の物に交換している。

 

 ・ガーデン到達まで

 損傷した右腕アクチュエータを撃破した尖晶の物と交換し修復。ロガージョの巣穴最深部で発見されたサブアームユニットを装備し、一般的な軍用モデル同様の見た目になる。


 ・対カサドール帝国戦争時

 ガーデンにて混成状態だった尖晶の部品を、翡翠本来の稼働率に近づける形でプログラムを最適化。補助装備として空戦ユニットを搭載した。


 ・クロウドン災禍後

 天雷の照射に巻き込まれて大破した機体を回収。ガーデンにおいて修復が行われ、使用部品の40%近くが尖晶の物に置き換えられている。不足した装甲部分にも尖晶のパーツを用いたため、一部にガンメタリック塗装が混ざるようになった。破損した空戦ユニットやサブアームも予備品と交換されている。



 【派生型】


 ・A-1型

 初期生産型。試験を兼ねて一部部隊で運用され、データ回収後もそのまま使用されたとされる。作中には登場していない。


 ・A-2型

 A-1から回収されたデータを元に、オペレーティングシステムの改良と推進系の強化が行われた二次生産型。まもなく正式量産型のB型へ移行したため、生産は少数に留まっている。配備先は不明。作中には登場していない。


 ・B-1型

 正式量産型。主機関回路の再調整とセンサー類の効率化が図られており、A型と比べてヘッドユニットが少し小型化しているのが特徴。夜光中隊を含めた特殊作戦部隊に配備され、様々な実戦を経験している。作中には登場していない。


 ・B-2型

 B-1型の通信機能とデータ処理能力を高めた指揮官向けモデル。生命維持装置の機能強化も図られており、パイロットの生存性も向上しているとされる。作中では生命保管システム内に放置されていた機体をダマルが発見、整備したものが登場し、天海恭一の愛機となっている。




 ・甲鉄こうてつ

 形式番号:GH-M15

 製造:玉泉重工

 運用:企業連合軍

 主機関:金蘭機関製、GR12S乙型エーテル機関

 装甲素材:玉泉マテリアル製、複合金属装甲及び電磁反応装甲

 アイユニット色:白

 発光部色:白


 【概要】

 玉泉重工が初めて開発した第一世代型軍用マキナ。

 後発のマキナとは設計思想自体が大きく異なり、機甲歩兵単体での高速展開、砲撃支援を行うことをコンセプトとしている。そのため、他の第一世代型と比べても動きはかなり鈍重かつ不器用であり、歩兵と変わらない器用さを持って戦う機甲戦力という、マキナ本来の在り方からはかけ離れた存在であったため、共和国のフクシヤとの直接戦闘では大きな被害を出している。

 一方、マキナの中では最大最重量級の余裕から砲撃戦能力には非常に優れており、連装の重榴弾砲を搭載したモデルは砲兵部隊の花形とされ、他の第一世代型が戦場から姿を消してもなお、様々な改良を施されながら運用され続けた。

 黒鋼開発以前は操縦インターフェースが規格化されておらず、素銅とすら操縦系統の互換性はなかったが、製造が長期に渡ったことで改善され、D-1型以降では多少の互換性を獲得している。また、大柄な機体の構造上、フレームの可変幅も非常に大きく余裕があるという特徴を持ち、体格を理由に黒鋼を着装できない兵士でも甲鉄だけは着装可能である場合が多かった。


 【派生型】

 ・A型

 初期生産型。ほぼ完成されていたが、機関出力が低く不安定だったため、生産は少数に留まっている。作中には登場しない。


 ・B型

 正式量産型。最も多く生産されたモデルであり、砲兵隊のイメージを一新した。後年は改造を施され、D-2型へのマイナーチェンジを果たした機体が多い。作中では野盗がどこかから発見した機体を使役しており、街道酒場を襲撃するのに利用された他、ハイパークリフの遺跡で暴走した機体が登場している。


 ・C型

 フクシヤの柔軟性に対応することを目的に、ジャンプブースターを高出力な物に変更した機動力強化型。しかし、甲鉄の運用とはかみ合わず、生産数はごく少数に留まる。作中には登場しない。


 ・D-1型

 黒鋼が主力化した後に開発された後期量産型。操縦インターフェースが第二世代型に準拠したものへ更新された他、エーテル機関出力とアクチュエータを従来型より高出力な物へ換装したことで運動性が改善している。作中ではガーデンに保管されていた機体が登場し、玉匣一行の砲兵隊2番機として運用された。


 ・D-2型

 D-1型をマイナーチェンジし、電磁反応装甲にレーザー減衰被膜を搭載し装甲厚を上昇させたモデル。外見上の変化は少ない。作中ではガーデンに保管されていた機体が登場し、玉匣一行の砲兵隊1番機として運用された。


 ・D-2AXホルン

 D-2型に陽電子砲ビームカノンを搭載した試作機。エーテル機関出力不足に悩まされた。作中には登場しない。


 ・D-2BXスーパーホルン

 D-2AXホルンの出力強化改造型。戦争後期に少数が実戦投入された記録が残る。作中には登場しない。


 ・D-2R竜舌蘭りゅうぜつらん

 対重装甲目標用として重電磁加速砲リニアカノンを搭載した少数生産モデル。機甲歩兵部隊の直接支援に用いられた珍しい機体であり、前線からの評価は比較的高かったとされる。作中には登場しない。




 ・素銅すあか

 形式番号:GH-M25

 製造:玉泉重工

 運用:企業連合軍、民間警備会社

 主機関:八重山ドライブ製、YD28SA型エーテルジェネレータ

 装甲素材:玉泉マテリアル製、複合金属装甲

 アイユニット色:白

 発光部色:白


 【概要】

 共和国軍が投入したフクシヤに対抗する目的で開発された第一世代型マキナ。

 元々は甲鉄の護衛用軽マキナとして設計されていた物を、対マキナ戦用に特化させる形に変更した機体。軽量型エーテル機関を搭載したことによる出力の低さを、装甲圧やフレーム強度を犠牲にすることで補い、機動力や運動性を確保している他、甲鉄よりも機体応答性を高めて柔軟な戦闘を可能にしている。

 ただ、元々車両機甲戦力や歩兵に対応することを目的とした設計だったものを、現場の都合で急遽変更した間に合わせであることから、フクシヤと比較すると総合性能ではるかに劣っていた上、甲鉄のものを改造した操縦インターフェースにも難があり、企業連合軍がフクシヤ1機に必ず3機以上で対応するよう布告を出さねばならないほど、大きな損害を出していた。そのうえ、無理な設計から整備性も劣悪であり、稼働率も低かったとされる。

 フクシヤと比較した際の動きの鈍さから、パイロットの間ではナマケモノとあだ名されている。

 後継の黒鋼が完成すると間もなく置き換えが始まり、練習機と予備品扱いとされた一部を残して、ほとんどが民間に売却されたりスクラップとされた。



 :派生型一覧:


 ・A-1型

 初期生産型。フクシヤの登場に対応する目的で急遽製造されたため、様々な不具合を抱えており稼働率が極端に低かった。B型登場後は訓練機として利用された一部を除き、B型への改造を受けて姿を消した。作中には登場しない。


 ・A-2型

 一次量産型。部品不具合を改善し、生産性を向上したモデル。装甲にも強化が施されたものの整備性が極端に悪化したため、改造部分を取り外される事例が多発していた。作中には登場しない。


 ・B型

 二次量産型。最も大量生産されたグループ。エーテル機関の出力向上に伴いフレーム強化が施された他、A-2型で追加された装甲の一部を排除して整備性を確保している。作中ではハイパークリフにて破壊された機体が登場している。


 ・K型

 操縦インターフェースを黒鋼以降の物と規格統一した訓練用モデル。黒鋼K型の生産が開始されるとまもなく姿を消していった。作中には登場しない。


 ・B-1X花槍かそう

 収束波レーザーフラ光長剣ンベルジュの試験に用いられた実験機。2機が生産された記録が残るのみ。作中には登場しない。


 ・B-2Xかすみ

 ステルス幕を搭載した実験機。少数が実戦配備され、偵察や狙撃に用いられていた。作中には登場しない。




 ・黒鋼くろがね

 形式番号:GH-M90

 製造:玉泉重工

 運用:企業連合軍、玉泉重工警備隊、雪石製薬警備隊、ユライア王国等

 主機関:八重山ドライブ製、YD48PC2型エーテルジェネレータ

 装甲素材:玉泉マテリアル製、複合金属装甲及び電磁反応装甲

 アイユニット色:赤

 発光部色:赤


 【概要】

 企業連合軍を代表する第二世代型マキナ。

 亡命によって玉泉重工に入ったカール・ローマン・リッゲンバッハを開発主任として生み出された傑作機である。ソフト面においては操縦インターフェースの近代化や補助制御の効率化、反応性の向上などが著しく、ハード面においては第一世代型と比べて大幅に出力を強化した主機関を搭載したことで、ブースターからアクチュエータに至るまで駆動系一切の出力も同時に向上している。また、基礎設計から将来の性能拡張を見込んで作られており、第一世代に比べて大幅なダウンサイジングが行われていながら機体構造に余裕を持ち、整備性に優れており甲鉄を超える稼働率を発揮した。

 これは、性能目標としていたフクシヤどころか、先に登場していた第二世代型のヴァミリオンをも凌ぐ高性能であり、企業連合の抱える機甲歩兵の劣勢を一気に覆している。

 上述の通り拡張性に優れた汎用機であったことから、軍用マキナの中では最大生産数を誇っており、様々な派生型も誕生している。後継の第三世代型が開発された後も、圧倒的な絶対数と尖晶の生産遅延によって置き換えには至らず、文明崩壊に至るまで企業連合軍の主力機として戦い続けた。


 【派生型】

 ・A-1型

 初期生産型。補助装備接続用のハードポイントが少なかったことから、A-2型の登場以降は専ら機種転換訓練用として用いられた。作中には登場しない。


 ・A-2型

 A-1型の実戦データを元に改良された黒鋼の先行量産型。登場と同時にフクシヤを圧倒し、3対15の戦いで一方的な勝利を収めている。作中には登場しない。


 ・B-1型

 一次量産型。サブアームを基本装備するようになっており、複数の火器を同時使用することを前提にFCSの強化が行われている。作中にはハイパークリフの遺跡内で停止状態だった機体が登場。起動と同時に暴走し、翡翠と交戦。撃破されている。


 ・B-1CN型

 B-1型の砲戦能力を強化した改良モデル。甲鉄の置き換えを目的に開発されたが、機体サイズの問題から大型砲の照準制度の面で改良された甲鉄を超えられず、生産は少数に留まった。


 ・B-1P型

 B-1型の廉価モデル。警察機関向けの販売を目的としており、重火器制御能力や補助装備接続用ハードポイントが搭載されず、性能も全体的にデチューンされている。作中には登場しない。


 ・B-2型不銹ふしゅう

 海兵隊仕様。水中推進機構を搭載しており、渡河作戦や揚陸作戦の他、沿岸警備などにも活躍した。作中では言及のみで登場しない。


 ・B-3型

 B-1型の通信能力とデータリンクシステムが強化した指揮官型。B-4型に統合されて姿を消している。作中には登場しない。


 ・B-4型

 二次量産型、Bタイプの最終形。生産性向上のため、B-1とB-3の生産ラインを統合したモデル。最も多く作られた形式であり、安定した性能を誇った。作中ではオブシディアン・ナイトとして登場し、ダマルが搭乗している。


 ・C-1型

 主機関を高出力な物に換装し、ブースター推力を高めたモデル。性能がコスト上昇に見合わず少数で生産打ち切り。作中には登場しない。


 ・C-2型

 高性能だったC-1型のバランスを調整し、夜光中隊をはじめとする特殊部隊仕様として少数生産されたモデル。ブースターの増設によって機動力を向上させている他、センサー類の高度化も図られている。作中では玉泉重工技術研究所にて、恭一がテストパイロットとの模擬戦で使用していた。


 ・D-1型

 三次量産型。自動修復装甲の搭載が行われ、防御力と整備性の大幅な向上がなされたモデル。同時に主機関もより高出力な物に換装され、全体性能の底上げがなされている。作中には玉泉重工技術研究所守備隊機として登場。


 ・D-1S型市女笠いちめがさ

 大型レドームを搭載するデータ収集用特殊機。火器運用補助システムがオミットされているため、直接戦闘はほぼ不可能。作中には登場しない。


 ・D-2型

 D-1のマイナーチェンジ型。C-1型で失敗した推進力向上に成功しているが、生産ラインの複雑化を嫌った軍部からの働きかけで、少数が生産された後D-4型へ統合された。作中には登場しない。


 ・D-3型不銹改ふしゅうかい

 B-2型不銹を更新する目的で開発された海兵隊仕様機。基本的な構成は変わらないが、全体的な性能が大幅に向上した他、水中静粛性も強化されている。作中には登場しない。


 ・D-4型

 D-2型の安定バージョンとして登場。しかし、まもなく尖晶が生産ラインに入ったことで量産型の中では生産数が少なめ。作中では雪石製薬地下研究所の警備隊に配備されていた機体が3機登場している。


 ・D-4AA1型アトラトル

 ロシェンナの登場に伴い、対空戦闘能力強化が施されたD-4型。対空ミサイルキャリアを搭載し、FCS性能も向上している。しかし、費用対効果が合わず生産は少数に留まった。作中には登場しない。


 ・D-4AA2型軽銀けいぎん

 大型空戦ユニットを搭載した飛行型。ロシェンナ対策として急遽開発されたが、第三世代型の空戦特化機相手では分が悪く、戦果は芳しくなかった。作中には登場しない。


 ・D-5型

 黒鋼の最終形。新開発OSのテストヘッド兼第三世代型への機種転換訓練機としての役割が求められたモデル。ただ、ソフト面の改良によって操作性が大幅に向上しており、黒鋼シリーズの中では最高性能を誇った。作中には登場しない。


 ・玉泉重工技術研究所テストモデル(チャイルドオブストリ)

 黒鋼をベースとして第三世代型のシステム開発に用いられた試験機。正式な名称は与えられていなかったが、ストリ・リッゲンバッハが開発主任を務めるシステム部門で用いられたことから、周囲よりチャイルドオブストリという俗称を得ていたとされる。動作プログラム試験が主だったことから、武装は一切施されておらず生命維持装置も搭載されなかったが、最新鋭の試験型動作プログラムが導入されていたことから、第三世代型に匹敵する応答性を発揮した。作中では天海恭一が専属パイロットを務め、無手でヴァミリオンを撃墜するなど戦果を挙げている。



 ・尖晶せんしょう

 形式番号:GH-M300

 製造:玉泉重工

 運用:企業連合軍、雪石製薬警備隊、イーサセラ・テクニカ等

 主機関:金蘭機関製、GR1500P甲型エーテルジェネレータ

 装甲素材:玉泉マテリアル製、RE4級自動修復合金複合材

 アイユニット色:青

 発光部色:水色


 【概要】

 黒鋼を代替する目的で開発された第三世代型マキナの量産型。設計主任は黒鋼から引き続きカール・ローマン・リッゲンバッハ。

 主機関の高出力化及びダウンサイジングによって、黒鋼と比べても全体的に小柄でスマートな外見となり、アクチュエータやブースターの高性能化も進んだことに加え、ストリ・リッゲンバッハが開発した制御プログラムによる高度な補助から、運動性や機動性は段違いとなっている。また、自動修復装甲を全面に使用したことによって、見た目にそぐわず黒鋼以上の防御力を獲得した。

 一方、機体の小型化と機器の精密化から整備性は悪化した他、大型の武装運用に関しては搭載限界が設けられている。また、要求される製品精度の高さから生産コストが増大しており、生産開始時期が遅れたこともあって、主力機として黒鋼を代替するには至らなかった。


 【派生型】

 ・A-1型

 試験型として先行生産されたモデル。特別評価試験隊に配備されて戦闘を行った記録が残っている。自動修復装甲の強度と配置から、防御力への問題が指摘されている。作中には登場しない。


 ・A-2型

 A-1型で得られたデータをもとに、より実戦向けの調整が施された先行量産型。少々ピーキーな操縦性となったことから、精鋭部隊へ優先配備され高い戦績を残している。作中には登場しない。


 ・A-3型

 一次量産型。A-2型の操縦性を改善した安定モデル。リミッターの設定を引き下げたことで、性能はやや低下したものの、機関出力が安定したことで扱いやすい機体となった。作中にはハウが操縦するイーサセラ・テクニカ所属機として登場している。


 ・B-1型

 二次量産型。生産性の向上を求めたモデルであり、部品点数に改善が見られる他、僅かだが整備性も良化している。作中では生命保管システム内に放置されていた機体があった他、雪石製薬地下研究所警備隊所属の機体が登場し、翡翠と交戦している。


 ・B-2型

 重装備への対応を求め、アクチュエータとオートバランサーの性能を強化したモデル。シンク・マキナへの布石となった。作中には登場しない。




 ・シンク・マキナ

 形式番号:GH-M0SX

 製造:玉泉重工

 運用:雪石製薬警備隊等

 主機関:金蘭機関製、XGR3500P超特甲型エーテルジェネレータ

 装甲素材:玉泉マテリアル製、RE6級自動修復合金複合材

 アイユニット色:赤

 発光部色:黄


 【概要】

 尖晶B-2型を素体として、完全無人機および無人マキナ制御機として開発された大型マキナ。

 第三世代型マキナに類するコアユニットを重装甲かつ多機能の外殻部で覆った二重構造を採用し、外殻部は作戦に応じて切り替えられるように設計されている。コアユニットは内部にパイロットを収容しない前提であることから、関節位置などの設計が普通のマキナとは大幅に異なり、大型かつ異形な見た目を生み出している。

 外殻部にはコアユニットと別に大容量高出力のエーテル機関を持ち、マキナの耐電防御を突破するほどの大電流を発生させる放電装置や、軍艦や基地施設で運用される大型陽電子砲を備える他、近接防御用としてガンポッドやマルチランチャーなどを装備できるマウント部が存在する。一方、コアユニットは無人機の指揮制御に特化しており、稼働しない茸のような形で広がった頭部を持つ。これは非常に広い索敵範囲と高度なデータリンクシステムを備え、レーダーやセンサーも通常のマキナとは一線を画す。更に、重量級の外殻部をコアユニットが支えていることから、外殻部をパージした際の性能は翡翠すら超えるほどであり、パイロットへの負担を考慮する必要がないため驚異的な機動力と運動性を発揮する。

 本来は量産化を目的として開発されたが、試験運用開始とほぼ同時に文明が崩壊したため、総生産数は極めて少ない。

 作中では雪石製薬地下研究所には配備された試作機が、ポラリスを救助した恭一たちに対し、プロジェクトデータにかけられたセキュリティとして立ち塞がった。




 ・フクシヤ

 形式番号:FIM-1010

 製造:カラーフラインダストリ

 運用:共和国軍、民間警備会社、オン・ダ・ノーラ神国等

 主機関:フォンテインエナジードライブ製、FS35クラス5エーテルジェネレータ

 装甲素材:カウンティアーマーメタル製、複合金属装甲

 アイユニット色:紫

 発光部色:黄


 【概要】

 世界初の完成された戦闘用マキナと称される第一世代型。

 カール・ローマン・リッゲンバッハの汎用機甲歩兵論を軸として開発された最初の機体。その柔軟性と万能性は企業連合軍のマキナを圧倒し、戦場における機甲歩兵の重要性を世界に植え付けた。

 後継の第二世代型と比べると大型で主機関出力も低いが、対抗馬だった素銅よりも小柄かつ高性能であり、企業連合軍の機甲歩兵には赤ん坊と陸上選手くらいの差があると言って恐れられた。

 ヴァミリオンが正式化された後もしばらくは運用されたが、企業連合軍側が黒鋼を投入すると全く歯が立たなくなり第一線を退き、後方部隊へ回された他、運用年数が浅い機体は民間向けに売却されている。


 【派生型】

 ・mk1α

 初めて戦場に投入された先行生産型。主機関出力が安定しづらいという欠点によって運用に支障があったことから、後に全機がmk1Bに改造されている。作中には登場しない。


 ・mk1β

 一次量産型。主機関の制御性を改善、強化したマイナーチェンジモデル。外見的にはmk1Aと大差がない。作中には登場しない。


 ・mk1γサザンカ

 甲鉄に対抗する目的で改造が施された砲戦仕様。長距離砲撃用照準装置と榴弾砲運用のためのアウトリガーを備える他、連装榴弾砲を固定装備する。重装備であったため、運動性および機動性に難があった。作中には登場しない。


 ・mk2α

 二次量産型。アクチュエータと機関出力の強化が成され、運動性が向上した。作中ではオン・ダ・ノーラ神国の護国衆ラージャ・サンガが2機を保有、カサドール帝国軍相手に使用した。


 ・mk2β

 爆発反応装甲を搭載した重装甲型。mk2Aで強化された機関出力により運動性を補助しようとしたが、それでも鈍重さは否めず撃墜が相次いだため、ほとんどがmk3Aへと改造された。作中には登場しない。


 ・mk3α

 ヴァミリオンの開発に伴いインターフェースの刷新を行ったモデル。より柔軟な動作が可能となったことで、mk2シリーズより総合性能が向上している。しかし、ヴァミリオンが生産開始間近だったことから生産数は少なく、mk2シリーズからの改造機が多くを占めた。作中ではオン・ダ・ノーラ神国の護国衆ラージャ・サンガが3機を保有、カサドール帝国軍相手に使用した。うち1機には、フォックという愛称がつけられている。


 ・mk3β

 ジャンプブースターを大型化した試作型。機動力の向上を図ったものの、主機関の安定性が損なわれた上、空中における姿勢制御にも難があり、実戦配備は行われなかった。作中には登場しない。

 

 ・mk3γサザンカ・カスタム

 mk3Aを元に改造が施された砲戦仕様。脚部アクチュエータとフレームの強化によって、アウトリガーを小型化。mk1Cサザンカで問題だった運動性を多少改善している。作中には登場しない。




 ・ヴァミリオン

 形式番号:FIM-2010

 製造:カラーフラインダストリ

 運用:共和国軍、民間警備会社、ユライア王国、イーサセラ・テクニカ等

 主機関:フォンテインエナジードライブ製、FC51クラス3エーテルジェネレータ

 装甲素材:カウンティアーマーメタル製、複合金属装甲及び爆発反応装甲

 アイユニット色:銀朱

 発光部色:銀朱


 【概要】

 フクシヤを更新する目的で開発された共和国軍初となる第二世代型。

 設計責任者はフクシヤ同様、カール・ローマン・リッゲンバッハ。ヘッドユニットにY型アンテナを搭載した特徴的な見た目から、企業連合軍側兵士たちにはカブトムシとあだ名されている。

 非常に汎用性の高い機体として完成され、登場間もなく優勢だった共和国軍の機甲歩兵戦力を強化し、性能に劣る企業連合軍の戦線を一気に後退させた。

 しかし、同機の完成直前に亡命したリッゲンバッハによって、企業連合側に情報が漏洩すると、得られたデータを元にして黒鋼が開発され、その性能差から以後は劣勢に立たされている。

 しかし、汎用型の後継機に恵まれなかったことに加え、第三世代型の開発後もロシェンナが汎用機とは言い難い性能だったことから、度重なる改良によって文明崩壊まで共和国軍の主力マキナであり続けている。


 【派生型】

 ・mk1

 初期生産型。実戦データを得るために最前線へと少数が投入され、1機も撃墜されることなく企業連合軍を圧倒する活躍を見せている。作中には登場しない。


 ・mk2α

 一次量産型。mk1のデータを元に最適化された正式仕様であり、投入と同時に物量の差から硬直していた戦線を突破。企業連合軍を恐怖のどん底に叩き落している。作中には登場しない。


 ・mk2β

 ジャンプブースターを強化した高機動試験型。高性能を発揮したものの、生産コストの高さと整備性の劣悪さから正式量産には至らず、生産は少数に留まった。作中には登場しない。


 ・mk2γ

 連装榴弾砲を腰部に搭載する砲戦仕様。企業連合軍に対する砲火力の劣勢を覆す目的で投入された。榴弾砲はサザンカと同じく機体に固定装備されており、戦闘中の切り離しができなかった。一般的にはmk4と合わせ、ヴァミリオン・ガンマと呼ばれる。作中には登場しない。


 ・mk2Δ

 プラズマカノンの運用に特化した専用機。通常型より高容量大出力の主機関に換装しており、強力な火力を誇った。しかし、プラズマカノン発射時には過負荷状態となり、ほぼ動作不能に陥るという重大な欠陥を抱えており、企業連合側に鹵獲されて弱点が露呈すると、間もなく戦場から姿を消した。作中にはユライア王国が運用したカーネリアン・ナイトが登場。橙色の試験塗装が施された機体だった。


 ・mk3

 二次量産型。黒鋼の登場による劣勢を挽回する目的で、あらゆる性能面に強化が施されている。しかし、基礎設計時点の性能差を埋められるものでは無く、以後も苦戦を強いられ続けたことから、派生型の開発が行われず、更なる改良を求めてmk4の生産に移行している。作中ではイーサセラ・テクニカ所属のボークレイン機として登場した。


 ・mk4α

 三次量産型。主機関出力を向上させた他、自動修復装甲を搭載するなど新機軸を取り入れ、高い防御力を維持したまま機動性を向上させたモデル。黒鋼B-4と対等と言われる程性能は向上したが、既に黒鋼の主力はD-1に移っており、状況に大きな変化は与えられなかった。作中には登場しない。


 ・mk4βフロッグマン

 防水処置と水中推進装置を備えた海兵隊仕様。潜水艦部隊や空母部隊にも配備され、海軍戦力の一翼を担っていた。作中では恭一の記憶の中において、機動部隊に所属した機体が搭乗している。


 ・mk4γ

 mk2γを更新する形で登場した砲戦仕様。アクチュエータとセンサー類の強化によって榴弾砲の射撃精度を大幅に向上している。また、mk2の砲戦型で問題だった連装榴弾砲の固定装備を改善。爆砕ボルトを用いて戦闘中の切り離しを可能とする構造とし、緊急時の近接戦闘に備えてプラズマトーチなどの装備も行われている。作中ではイーサセラ・テクニカ所属のモーガル・シャップロン機として登場した。


 ・mk4Δククラムッタ

 ヘッドユニットに大型レドームを搭載する強行偵察型。優れた情報解析能力と対ジャミング性能を誇り、主に優れたデータリンク機能を用いて部隊を支援する運用がなされた他、狙撃にも用いられている。作中ではイーサセラ・テクニカ所属のワースデル機として登場した。


 ・mk4εハイパーショーテル

 ジャミング機能やセンサー類の強化が成された特殊部隊仕様。総合性能ではmk4シリーズで最も優れていたが、高コストであったため配備数は極めて少ない。作中には登場しない。


 ・mk5

 最終量産型。空中戦を想定し大型化したジャンプブースターが特徴。ロシェンナとの連携を前提とする設計となっている。作中には登場しない。




 ・ロシェンナ

 形式番号:FIM-R08

 製造:カラーフラインダストリ及び共和国軍

 運用:共和国軍、民間警備会社、ユライア王国、イーサセラ・テクニカ等

 主機関:センチネル・キネティック・エーテル製、SCE-08Pクラス1エーテルジェネレータ

 装甲素材:カウンティアーマーメタル製、BクラスオートリペアCA

 アイユニット色:赤

 発光部色:赤


 【概要】

 空中戦に性能を特化させた第三世代型。

 カラーフラインダストリと共和国軍兵器開発局の共同制作機であり、これまで万能を突き詰めてきた機甲歩兵という路線から一転、空中機動による柔軟な高速移動と一撃離脱戦法を基本とした運用を模索した機体。

 大幅に向上した移動速度を生かし、マキナ単独で敵地に侵入。前線部隊と挟撃を行う形で急襲を繰り返し、状況が悪化すれば単独で後退するという独特な戦い方で、登場直後は企業連合軍を派手に翻弄した。また、同機を大量に用いた大反攻作戦も実施され、その際には電撃的な高速進軍によって企業連合の国境防衛線を大きく突破するなど活躍した。

 ただ、空中での高い機動力を求められたことで、フレームや装甲の強度は自動修復装甲を搭載していながら、フクシヤ以下の非常に貧弱な物となっている他、武装搭載量にも限界があり継戦能力は高くない。また、地上戦闘は補助的要素と見なされていたため、着陸後の運動性はヴァミリオンmk2と同程度に留まる。この特性を理解した企業連合軍がマキナの対空戦闘能力を強化したことで、機体の撃墜率は時間を追うごとに増加したため、地上戦闘能力を強化する改造案も出されていたが、文明の崩壊には間に合わなかった。


 【派生型】

 ・mk1

 先行生産型。空中戦データ取得のため実戦配備され、長距離飛行を行って国境地帯に侵入。黒鋼部隊を撃破している。操縦性がピーキーであったため、訓練時間の増大が懸念され量産化されなかった。作中には登場しない。


 ・mk2α

 一次量産型。操縦インターフェースの改善とブースター出力制御の一部自動化によって、空中における操縦特性を良化させたモデル。最も多くが生産され、前線部隊に順次配備された。作中には登場しない。


 ・mk2β

 空母搭載型。対潜水艦探知能力が付与されている他、海水への対策が施された。作中では恭一の記憶の中で、機動部隊所属の機体が登場している。


 ・mk2γヤークト・ロシェンナ

 武器搭載量と装甲を強化した重装型。飛行性能を損なわせないために推進系も高出力化し、主機関もより高出力な物に改められた。それでも飛行特性はmk2αと比べて重くなっている。また、生産コストがmk2αと比較して大幅に増大したことで、生産数は伸び悩んだ。作中にはイーサセラ・テクニカ所属のアラン・シャップロン機として登場している。


 ・mk2Δファルフリーエ

 大型レドームをヘッドユニットに搭載する情報戦型。ククラムッタを更新、または同時運用することを目的として設計されたモデル。非常に高価な機体であったため、生産数は極めて少ない。作中には登場しない。


 ・mk3α

 二次量産型。操縦性の改善と装甲の強化が行われ、空戦ユニットに被弾した際の生存性が向上した。mk2と同様の派生型が生産予定だったが、文明崩壊の発生によってペーパープランに終わっている。作中には登場しない。




 ・ノルフェン

 形式番号:TACM-01A

 製造:テンペスタス・アーマメント

 運用:共和国軍、民間警備会社等

 主機関:センチネル・キネティック・エーテル製、SCE-03Cクラス3エーテルジェネレータ

 装甲素材:ヤコビ・スミス製、複合金属装甲

 アイユニット色:橙

 発光部色:黄


 【概要】

 軍用部品メーカーだったテンペスタス・アーマメントが手掛けたマキナ。性能から第二世代型に分類される。縦型2眼のアイユニットが特徴であり、企業連合軍兵士からは8の字目エイト・アイとあだ名された。

 共和国軍の次世代マキナ選定を目標として開発され、試験においてはヴァミリオン以上の高性能を発揮して軍部を驚かせたが、コスト面で大きく劣っていたことを理由に落選。少数生産の契約を締結するにとどまった。

 しかし、性能も操縦特性も良好だったことから、テンペスタス・アーマメントが民間市場への参入を発表し、カラーバリエーションやオプションパーツを多数揃えるなどして、高価なフラッグシップモデルとしての立場を確立。懐に余裕のある民間警備会社や、警察機関などに採用されて運用されていた。


 【コルニッシュ・ボイントン機について】

 生物学者のコルニッシュが趣味で購入、保有していた朱色塗装の機体。オミットされた銃火器の制御システムやジャンプブースターを半ば違法に導入したことで、軍用と同等の性能を発揮している。現代文明におけるコルニッシュの活動を支え、モーガル・シャップロンをはじめとした多くの人命を救った。

 彼の死後はモーガルの手によりイーサセラ・テクニカへと保管されていたが、玉匣と共に侵入したアランによって発見され、エクシアンとの戦闘やクロウドン災禍を戦い抜いた。以後は彼の乗機として玉匣に収容されている。

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