第19話キスマーク

アツシは相変わらず

ジムに、たまに来ては帰り車の中で少し話して帰った。


薄暗い車の中、

たまたまその日は月が明るくて

アツシの顔がよく見えた。

そして気がついた

アツシの首にいくつか、キスマークがある事

新しいのと、消えかけてる古いの。


私は身体の中から砂がサーと。出てゆくような感じがした

辛さじゃない。

諦めだった。

私はそのまま話を続けた


アツシはいつもと変わらずにしていた

薄暗い車の中だから。見えてると思ってない。

アツシがキスをしようとした。

私は避けた

アツシは怪訝な顔をした

私はアツシに


キスなら

その首のキスマークの子としなよ。

SEXも、健気な子なんでしょ?

よかったじゃん、

私は

そんなに可愛くないから。

可愛い子出来て良かったね?

そして

アツシの車を下りて帰った。


なんとなく、もうどうでも良かった

先に女の子の話を聞かされていて。

比べてられて。

キスマークを見せられたのだから。


何にも感じなかった。


まるで虫の知らせのように

ヒロから電話が来た。


あのさ。

学校でしか会った事無いじゃん。

カラオケでも行かない?と

私はスッキリしたかった。

明日はバイトは休みそして日曜


今からでもいい?と

私は聞いた、

ヒロは驚いた様子で

今からで大丈夫だよ!

じゃあお互い支度でき次第

カラオケに集合ね!

着いたらお互い連絡ね!


ちょうど同じ位に着いた


ヒロは、話す時より声が低く

歌が上手かった。

だいたい、お互いが知ってる歌

たまに、恋愛のバラードを入れると

お互い静かになった。


口にはだせないけど

ヒロに伝えたい事

それに近い歌を探した


♪黙っていても、僕には分かってるんだよ

見えない壁が、君のハートに立ちはだかってるんだ


私は歌う


ヒロは

言えない事を歌に変えるように

ラブソングばかり歌った。


時折歌うのをやめて懐かしい話しをした

先生の事

購買の事

高校の噂


そして

私が短大を辞めて、転入した事


ヒロは大学に行く事


高校時代に戻ったみたいで楽しかった。


ヒロはなに質問してこないけど、

私をずっと笑わせていようとしているのを感じた。


ヒロとはまた、数日後にカラオケに行った

2人でふざけて

歌って話して


私は


ヒロは彼女いないのかな?と疑問がずっとあったけど、

聞いたところで、どうなるわけでもないと

聞かなかった。


もう3月だった

ヒロは卒業して大学に進んだ。


変わらないペースで連絡をとり

たまにカラオケに行った。

私がラブソングを歌うと


冗談ぽく。


俺に歌ってくれてる?と聞いてきた


私は答えず、、笑ってごまかした。


ヒロは

俺から花へ、と


とても切ないラブソングを歌った


私はあえて何も言わなかった




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