第10話何もない

 ヒロとはときどき電話をした

 ヒロの事

 ヒロの性格はもうよくわかっていた

 暗黙の了解のように恋バナはしなかった。


 私は時折ヒロに弱音を吐いた


 ママの事

 自分の身体が弱い事。

 家で家事をして。

 時々両親が喧嘩をして

 ママが家を出て行く事もあった

 ママは不自由になった自分に自暴自棄になっていた。

 私はお風呂から出ると痩せた、胸の小さい自分の身体を鏡で見ると

 体にナイフでつけた様な大きな罰印から、血が流れる錯覚をみた。

 脱衣所で倒れ、意識がなくなり

 朝を迎える事もしばしあった。

 身体の問題じゃない

 心の問題だと、自分で分かっていた。

 だけど、身支度をして

 化粧をし、カラコンをつけて、軟骨のピアスヘソと耳に2つ付けると。

 別人になった気分になり

 靴を履いて外にでたら、

 暗い出来事なんてない。

 リア中な女子高生になれた。

 花は悩みが無くて良いよねー、太らないし。と言われると、それが嫌味でも、嬉しいかった、元気な花で居たかったから。

 食欲はなかった。食べれない分、痩せすぎ無い様に、カロリーの高いチョコバーや

 ゼリー状のエネルギー食をとるようにしていた。


 痩せ過ぎだよねー?


 と、影で言われているのは知っていた。


 たまにヒロにそんな誰にも言わないような話をした

 ヒロはいつも


 ちゃんと、食べろよ

 ちゃんと寝ろよ、

 無理するなよ

 と、口癖のようにいっていた。


 そしてまた私の中で、ヒロは何も言わないけど彼女いるんだろうなと、思いだしていた

 ファンがいて、キャーキャー言われている

 そんなヒロが彼女が出来ないわけがない。

 私達の間には何も無い

 学校で生き会う事も少なくなり、

 たまに電話する、ただそれだけの関係だった


 4月の下旬、補習で遅くなった。

 一人電車で帰り最寄り駅に降りると雨だった

 傘は無い、

 ボート、雨が止まないかと空を見ていた

 私の前に自転車が止まり


 花?久しぶり、傘ないの?と

 傘の中を除き込むと、同じ中学だったアツシだった。

 アツシは中学の頃仲が良くよくふざけて皆んなで遊んだ。

 アツシはそれはそれはチャラい。


 アツシ!久しぶり珍しく女連れてないの?と

 私は聞いた。


 アツシは、どんだけチャラ男だよ?と言うと

 後ろ乗れよ、送るよ!と言った

 私は、

 やだよ、チャラ男と二人乗り!言うと


 雨止まないぞ?マジで


 それもそうだな、と

 私はアツシの後ろに乗った

 アツシの腰を持つだけで、体がくっつかないようにした。

 アツシはもっとくっつかないと濡れるぞ!

 と言ったけど、

 私はくっつかなかった。


 アツシはしょうがねーなと。自転車から降りると、

 花、傘持て、俺チャリ押すから、

 俺の事濡らすなよ!と。アツシは言った


 結果私が濡れた

 アツシは

 花ってマジで固いよな?

 もう少し空きが無いと可愛くないぞ!と


 たしかに。

 私はそう思った。

 くだらないアツシのチャラ男話しを聞きながら家までついた。


 ありがとうと私は言うと。

 アツシは私の顎をくいっと持ち上げると

 キスをした。

 私は固まったキスは長かった。


 花って唇柔らかいな!じゃーなと

 アツシは帰って行った、

 私は、悶々としていた。

 なんなんだ。

 だけど、経験の少ない私は、漫画の様な

 シュチュテーションに

 クラクラしていた。



 次の日最寄り駅に着くとアツシがいた

 私は逃げた

 アツシは追いかけてきた


 花、おい、ちょっ話し聞けよと、

 私は昨日の事なら気にしないで、

 傘ありがとうと、言うと

 走って逃げた。


 どうしよう。

 キス位、なんて事ないのか?

 私だけ気にしてるんだ。

 なにもない、なにもない。

 私はそう言い聞かせた。


 次の日もアツシはいた、

 また私は逃げた、

 アツシは本気で追いかけてくると

 腕を掴んで、

 話し、聞けよ!!と言った


 黙る私にアツシは

 ごめんな。、と言った


 私は少し大きな声で

 謝るくらいなら

 あんな事しないで!!と言った


 まだ少し寒い夕方、

 アツシは震えてる私に自分のブレザーを

 掛けた。

 そして。うしろからぎゅーと抱きしめると

 ちゃんとする。

 と言った。


 つくづく高校生の一ヶ月は早い、目まぐるしく状況が変わる。


 ずっと変わらないヒロ

 正面からぶつかってくるアツシ


 私は長くお風呂に入った。

 私だけの空間。

 明日がわからない。


 次の日もアツシはいた

 少し片方の頬が赤い

 そして引っ掻いたキズがある。

 アツシは


 女、全部切ってきたぞ


 花?

 好きになれとか

 付き合ってとか言わない

 だけど、花が気になってしかたない

 だから、俺は花が逃げても花のそばにいる

 そう言うと


 痩せてるから寒いんだぞ!と

 ブレザーをまた私に掛けた。


 高校生、話は嘘の様に早く回る


 ミチの彼氏がサラッと

 アツシはサッカーずっとしてるから

 よく知ってるんだ。


 チャラ男言われてるけど

 アイツは良い奴だ、

 ヒロには悪いけど、

 アツシなら

 花を守るよ、



 そう言われた。


 付き合うわけじゃないけど

 自然とアツシとカラオケに行ったり

 ご飯ん食べたりした

 不思議とアツシと一緒だとご飯が良く食べられて、私はすこし太った。


 私は自然とアツシを好きになっていた。

 アツシも気がついていた


 雨の日傘をさしてアツシが家まで送ってくれた

 アツシは

 初めからやり直すと言って

 私を抱きしめると。

 ゆっくり顔を近づけてキスをした。

 長い長いキスだった、傘はおちて

 2人ともずぶ濡れだった。

 唇が真っ赤になって腫れるほどキスをして

 アツシが私の首にキスマークをつけた。


 アツシが、俺にも付けてと言った


 付け方がよくわからなかった。

 だからとにかく必死だった。

 アツシが笑った


 なあ、コレ、キスマークって言うより

 すごい内出血じゃない?と


 よく見ると、今にも血が出そうなほど赤かっだ、


 ごめんなさい、

 私が言おうとしたら

 アツシは私の頭をポンポンとしながら

 花らしい。

 そう言った。






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