第15話:邪龍と皇子

 そんなこんなでCランク冒険者になった俺。

 一日経ってからまた冒険者ギルドに来た。

 扉を開けて二階へ上がる。

 依頼掲示板を見つけて、適当な依頼を探す。


「ん~……いい感じのはあるかな~……あっこれいいな」


 見つけたのはオーガの討伐依頼。


 それを剥がして一階の受付に持っていく。


「これ受けていいですか?」

 と聞く。


「ギルドカードを見せてください」


 と言われたので


「あ、どうぞ」

 と出す。


 すると

「Cランク……!? この見た目で……!?」

 と小声で驚いていた。いや聞こえてるし。

 というか昨日いなかったのね。

「ふぅ……は、はい。オーガ討伐ですね。

 最近近くの街道から少し外れた場所にある村でオーガが出没しているらしく、村人は家に隠れてやりすごしているようですが、長くは持たないと思われます。早急にお願いします」


「はい。今から行ってきますのでご心配なく」


「え? ちょ! 今から!? って! …………行っちゃった……」


 なにか言っていたが問題ないだろう。


 あ、そうだ。あんまり使ってなかったWSを使おう。


 少し歩いて閑散とした場所を発見。

 ここでいいや。


 WSWorld System、起動!


WSWorld System起動。初期処理……完了〕


 空間転移、座標セット。


〔座標セット……完了。転送用意……完了〕

 足元に淡い青色の魔法陣が展開される。


 転送。


〔転送します……〕


 その言葉で魔法陣が光り視界が白く塗りつぶされ、魔法陣が上昇し体を飲み込んでいく。そして刹那の間に村が見える位置に転送された。


「う~ん、なんか厨二病だなぁ~。ちょっと恥ずかしいかなぁ……」


 そういって歩いていく。

 そして村についた。


「ん?」

 感じた違和感。


「あぁ、音がない。静かだ。どうして?」

 村を歩いて家を見てみたりする。

「人が……いない? どうして?」

 まさかオーガに食べられてしまったのだろうか。

「いや、にしては血がどこにもない。じゃあ違うのか?」

 オーガとはいえ血を一滴も出さずに食べるのは不可能だ。

 足跡も最近のものといっても昨日のものだ。

 しょうがない。楽をしよう。

 WSWorld System、オートモード。

WSWorld Systemオートモードに移行〕

 これでいい。

〔自動索敵……《{スキル:タスクマネージャー}世界監視ワールドタスク》……捜索中の

 村人の集団を発見。付近に集団生命反応。リーダーは

 ユニティ魔導帝国第二皇子、エーシス・ピース・ユニティです。

 引率している帝国第二近衛守護隊と共に村人を保護している模様。

《{超越土}隠蔽魔導信号ステルスマジックマーキング》、《{スキル:森羅万象}万能結界》を

 仕掛けました。次に依頼のオーガの場所を特定。近隣の森で瀕死の状態。原因特定……発見。原因は封印されていた邪龍サクヴィリュートに

 よるもの。狂乱状態に陥っています。現在名称:エーシスの方向へ

 進んでいる模様。生命反応を検知して向かっていると推測……

《{超越土}隠蔽魔導信号ステルスマジックマーキング》、《{スキル:森羅万象}万能結界》、《{超越水}生命速度鈍化ライフスローダウン》を

 仕掛けました。行動を終了します〕


 あちゃ~。

 大変なことになっているようだ。

 帝国の皇子いるし。

 村人いるし。オーガ死にかけだし。

 邪龍いるし。どうしたもんかねぇ…….

 とりあえずオーガだけ秒で回収しようか。

 回収!


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