<5-7  隼は飛べるか>

 王女殿下付近衛騎士団長の詰め所は王女様の部屋のすぐ隣にある。向かって左奥にまたドアがあり、その前に並んで立つ王様と王妃様。そしてお二人の背後に控えるエドウェル・ランベルンさんとカルセドくん。私は王女様と一緒にカルセドくんの隣に立った。

 「うーむ。」王様は銀色ふさふさのあごひげをなでつつ言った。「クローネには控え室におれと厳命したが、仮眠室に立てこもるなとは言わなかったからのう。」

 「先導の騎士団長殿を見るなり、消えましたものね。」王妃様がうふふ、と笑った。「まさに隼でした。」

 「申し訳ございません、皆様方にご足労願っておきながらこの不始末。クローネ!クローネ!国王陛下と王妃陛下、第一王女殿下がおいでだ、出てきなさい!カルセドリオとオリータ殿もいるぞ!」

 きい、と小さく仮眠室のドアが開いた。隙間から緑色の目が片方のぞく。・・怖い。

 「クローネさん?」

 「はい。」

 返事が返ってきたかと思うと、すうっとドアが閉まっていったので、慌てて隙間につま先を突っ込む。

 「ちょ、クローネさん、いてててっ!!」

 容赦なくドアを閉められた。悲鳴を上げると、ちょっとだけ力が緩む・・本気だ。クローネさんは本気で避けている。

 「クローネさん、ちょっと出てきて話そっか。陛下方も来てくださってることだしさ。だからドア開けて?」

 「・・では、この質問にお答えください。夏に八千代さんが作ってくれ、私が絶賛した夏野菜カレーに入っていた野菜を5つ全部お答えください。」

 「へ?!え・・」そういえば前にレジ待ち中に聞いたな。「じゃ、じゃあ当てたら出てきてね?えーと、ナス、オクラ、ズッキーニ、パプリカと・・パプリカと?あと一つ、なんだっけ?」ああっ、アラフォーのポンコツ記憶力!「・・ああ、アレだ、レンコン!」

 「正解です。本物の折田さんですね。よもやローエン様が化けてはいまいかと思ったものですから。」

 「それは私がいやだよ。じゃ、これで・・いでででででっ、なんで正解したのにドアを閉めるの!」

 「出たらあの話ですよね?」

 と、ドアがわずかに後ろに引かれて、私はそのすきに足を救出した。

 エドウェルさんがドアに手をかけていた。なんとそれでもドアが開ききらない・・父エドウェルさんとクローネさんの腕力が拮抗している!

 「いい加減にせんか、クローネ、オリータ殿の足をへし折る気か!正解したのだからオリータ殿の願いを聞いて出て来ぬか!」

 「折田さんは大好きですが、それとこれとは別です。」

 「それとこれとは何だ!そんなにいやか、父が臭いのは!」

 「何を言ってるんですか、すごく嫌ですけれども、その件は今、関係ありません!」

 「嫌なのか・・やはり、嫌なのか・・!!」

 「騎士団長殿、それは今はおいておきましょう。」王妃様の声にふと見ると、王様が明後日の方を向いて肩をふるわせていた。王妃様が旦那様に肘鉄を見舞う。「陛下!」

 「う、うむ。ゴホン。」さては王様、これまでのくだりにウケてたな?「クローネ、いい加減に出てこぬか。顔をつきあわせてちゃんと話せばわかるであろうに。わしとリヴィオスがわかり合えたようにな。」

 「私がこうしているのは、そのリヴィオス陛下のせいでもあるのですが。」

 と、私とエドウェルさんの背後にエルデリンデ王女様が立った。

 「クローネ、貴女らしくもない。早く出てくるのです。」毅然として王女様は続けた。「目の前の“敵”から逃げるとは騎士の恥でしょう!」

 「「“敵”!」」

 私とエドウェルさんが顔を見合わせ、王女様は慌てて小さく咳払いをする。

 「も、もののたとえです!もう、二人とも・・」すみません、話の腰を折っちゃって。「とにかく出てきなさい、クローネ。・・クローネ?クローネ。もう・・クローネ!私の命令です!!」

 伝家の宝刀がすっぱり抜かれ、ギギギギィ・・とドアが開く。中から王女様付近衛騎士団長の服装でなかなか格好いいクローネさんが、ゆっくり出てきた。エドウェルさんが素早くドアを閉めて退路を断つと、はあ、とため息を漏らす。

 「久しぶりじゃな、元気であったか?」

 穏やかな笑顔で王様が尋ねる。私とエドウェルさんのコントじみたやりとりにはウケていたけど、クローネさんのことは本気で心配していたようだ。

 「は・・」クローネさんは右手を胸に当てて礼を取った。「この通り息災です。」

 「詰め所にも家におらぬで、一体どこにおったのじゃ。」

 「・・え・・あ、あの・・」たっぷり1分迷って・・「ニホンです。」

 ああ、とも、おお、ともつかない声が皆から漏れる。

 「すみません、クローネさんに質問してよろしいですか?」

 挙手してお伺いすると、王様と王妃様が鷹揚にうなずく。

 「もしかして・・会議や騎士団の仕事が終わる度に戻ってたの?」

 「はい。」

 「パレトスで転移して?」

 「はい。」

 ここでお父さんのエドウェルさんが思わず割って入る。

 「では、食事はニホンでとっていたのか?あのヤツィーヨ殿に世話になっていたのか?」

 「ご飯の度に帰ってたの?じゃ、じゃあさ、こちらのご実家に帰ってないってことは、寝たりお風呂とかは・・まさかそれも日本で?!」

 「はい。陛下ご夫妻や王女殿下の前で尾籠ではありますが、トイレもあちらで。」

 「トイレまで?!いちいちトイレまで?!」

 「な、なんということだ・・」エドウェルさんが額を手で打つ。「いずれヤツィーヨ殿に菓子など持って挨拶に行かねば・・どこの店の菓子がよかろう、オリータ殿。」

 「エドウェル、問題はそこではない、そこではないぞ。」

 今度は王様がやんわり突っ込み、エドウェルさんも我に返る。

 「は、そうでした。挨拶はまたの機会として、クローネ、私を避けていたのはなぜだ。」

 「その・・」クローネさんの視線の方向にはカルセドくんがいる。「私は、結婚したくないのです。」

 「「「「「「・・・・・・・」」」」」」

 その場にいた全員の視線がさまよう・・が、一度は婚約者のカルセドくんを通り過ぎていき、カルセドくんもそれには気がついていた。

 「クローネ。」気まずい空気を破ってカルセドくんは口を開いた。「お前はそれほどまでにおれを嫌っているのか?」

 ヨシュアス殿下の愛の言葉並みに直球ストレートな質問に、再び場が静まりかえる。

 「・・・・」

 「おれが捕縛術以外の武術ではお前に勝てぬからか?そういうおれでは、“隼”と呼ばれるお前の夫には不足ということか?」

 「・・・・」

 「おれも武人のはしくれ、、そこは修練で解決する所存だ。」

 「・・私も修練しますよ。」

 「いや、おれは修練でお前を超える。」

 「・・・・」

 水掛け論になりそうなので、「あの・・すみません、また質問してよろしいですか?」と、再び挙手してお伺いすると、王様と王妃様がうなずく。

 「カルセドくん、それは、なんだ・・えーと、クローネさんを絶対お嫁さんに欲しいってことでいいのかな?」

 クローネさんが何か言おうとしたけど、カルセドくんの方が早かった。

 「無論です。」

 「クローネさんのどんなところがいいと思ってるか、聞いてもいい?」

 「その純粋さと王室への忠誠心、何に対しても努力を怠らぬところ。それに弱い者に優しい。」

 ほほお、これは。

 「私も同感です。」

 「折田さん!」

 クローネさんの反論を制して私は続けた。

 「私もクローネさんは頑張り屋さんだと思ってたから。慣れない日本でくらして、やったこともないお店の店員さんの仕事を覚えて、今じゃそのお店の主力でしょ。その上お店に来た強盗も退治したし。」

 おお、と驚嘆の声が一同から漏れる。

 「あれだって、武術の心得がなさそうな柳沢さんがいたから、それをかばって自分が前に出たんでしょ?」

 「・・そんな・・たいそうなことでは・・」

 「カルセドくんはクローネさんて人をちゃんと理解してると私は思うよ。その上で、お嫁さんに欲しいっていってるわけだから、結婚相手としては悪くないと思うよ。てか、前に自分でも褒めてたじゃない、カルセドくんのこと。」

 「本当か、クローネ!」

 光の速さで食いついたカルセドくんの言葉を、クローネさんが速攻で打ち返す。

 「あれは長所を述べただけ!褒めてなどいない!」

 「それは褒めていると言うのよ、クローネ。」

 当然の指摘を王妃様にされ、ぐむむ、と言葉に詰まるクローネさん。ついで王様が言う。

 「どうじゃ、クローネ。カルセドリオはそなたと同じ、王室への忠誠も篤く、武術に対する造詣も深い。確かにわしも酒の勢いで認めたが、」クローネさんが泣きそうになったので、慌てて咳払いする王様。「今では似合いの夫婦となる日が楽しみじゃぞ?それにリヴィオスから手紙が来てのう、先に急がせるようなことを言ってすまないと言うておる。それ故、今後はそなた達のよいように話を進めてよいのだ。」

 「クローネ、陛下もこのようにおっしゃっておられる。お前も騎士として腹をくくってだな・・」

 「その騎士です、父上。」

 「む?」

 「私は結婚しても、騎士を続けられるのでしょうか?」

 「ん?」

 「「「「「「!」」」」」」

 私と王女様は顔を見合わせた。

 王妃様とカルセドくんはじっとクローネさんを見つめた。

 王様とエドウェルさんはポカンとしている。

 「私には2つの望みがあります。一つは剣を極めること。もう一つはその剣を以て、王女殿下を終生お守りすることです。」

 クローネさんは王様を見た。

 「王女殿下は・・こう言ってよろしければですが、私を子どもの頃から妹のようにかわいがってくださいました。王女殿下が教えてくださらねば名も知らずに終わったであろう草花、聞いたこともない詩、見たこともない絵などがたくさんありました。男兄弟しかいない私にとって王女殿下の愛情は優しくあたたかで、それはうれしいものでした。ですから王女殿下は本当に・・私にとって尊敬し、愛すべきお方なのです。そして幸い私には少しばかり剣の才がありました。ならば、私にできることは一つ。この身を、この剣を以て王女殿下をお守りすること。それが果たせぬのなら、私は結婚などしたくありません!」

 三度静まりかえる一同。

 「・・騎士を辞めさせられるのではという危惧から、武術の腕の差を理由にしておれを避けていたのか?」

 困惑したような、ショックを受けたようなカルセドくん・・そこにエドウェルさんが爆弾を落とした。

 「だがクローネ、人の妻になったなら、夫に尽くし家を支え、子どもを産み育てるのがつとめだ。まず、お前のような若い娘が剣を極めようというのが異例なのであって・・」

 「え゛?」

 私が発した、我ながらドスのきいた『え゛?』に、ビクッとするエドウェルさん。

 「あ、すみません。ちょっと近頃の日本ではあまり聞かない話だったもので・・いえ、今も同じ考えの人もいますし、自分で選んでそういう暮らしに入る人もいます。一方では、私みたいに仕事しながら家事と育児をする生活を選ぶ人も結構います。ていうか、城下の商店街にも働いて家事も育児もこなしてる女の人、割といますよね?」

 「そ、そうなのか?」

 さては日頃買い物とかで城下に出たことないな、エドウェルさん。

 「ただ・・爵位を持つ家の女性はやはり、エドウェル殿の言うような役割を求められることが多いでしょうね。」

 王妃様がしっとりと言う。そんなお母さんを王女様が何か言いたげに見やる。エドウェルさんが安心したように肩の力を抜く。

 「もっとも私は王妃としての公務を持ち、働いているわけですけれど。」王妃様はにっこりと笑った。「もちろん、エルデリンデもヨシュアス王太子殿下に嫁げば、今以上に数多く、難しい公務を求められるはず。ですわね、陛下?」

 「ん?!う・・うー・・む、そーじゃのー・・そうじゃな、王妃はよくやっておるな、うむ・・エルデもそ・・そうなるんじゃろうのう・・」

 とってつけたようにうなずく王様。さてはエドウェルさんの肩を持とうとしていたな。

 「あのー・・仕事を辞めて家に入るのが正しいとか、家事も育児も仕事もこなすのが正しいとか決めつけるつもりはないんですよ、私。」だって私は両方とも経験がある。「どっちも善し悪しありますから。ちなみに私の場合、はじめはお金のために始めた仕事ですけど、今は仕事そのものが好きです。歴史の謎を明かしていく手助けをする仕事っていうのが気に入ってます。私はそんな仕事、止めたくないです。」

 「好きなことを止めたくない・・」つぶやくエドウェルさん。「だが・・辛くはないか?妻として家を仕切り子らの教育をし、騎士として部下を率い、自らの武術の修練もし・・」

 エドウェルさんは心底、娘を心配していた。クローネさんもそれはわかっていた。そして答えた。

 「覚悟はできています。もし騎士としての私をこれからも認めてくれるなら、必ずやり遂げます。」

 「エドウェル様。私も支援します。」

 私の隣に座るカルセドくんの声が凜と響く。

 「先程言い忘れました。私はクローネが剣を使う姿を見るのも好きです。しなやかでそれでいて力強く、基本をしっかりたたき込んでいるので、舞のように美しい。それがどのように深化するか、私も見てみたい。」

 ほほお!言ってくれるね、カルセドくん!!

 「あ、そういえば前にエライザ共和国で襲撃されたとき、ガルトニのデナウア将軍もすごい褒めてましたねー。剣が速い、“隼”の名前は伊達じゃないって。」

 「なに、ハルが?ハルがクローネの剣技を褒めていたのか?!」

 先の宴で意気投合したエドウェルさんとデナウアさんは、戦で剣を交えた仲ながらエド、ハルと呼び合うようになっていた。

 「“赤い狼”がクローネを褒めたとな。」

 “赤い狼”はデナウアさんの二つ名だ。王様はあごひげをしごきながら、ふうむ、とうなった。

 「したが、先例がないのう・・」

 「クローネがさきがけになってはいけませぬか?陛下。」

 王妃様の言葉が柔らかな、淑やかな声音でナイフのように鋭く切り込む。

 「クローネの剣の才を認め、伸ばしてみよと陛下が仰せられたとき、私は感動いたしました。娘が剣を取るだけでも常ならぬとされる世にあって、なんと進歩的な、なんと寛大なお心の持ち主を私は夫とすることができたのかと、大変うれしく思いました。」

 「うむっ・・」

 「お父様、まさかお父様はどうせ結婚するまでのこと、結婚すれば剣を置くであろうとたかをくくっていらしたのでしょうか?」今度は王女様の言葉が槍のように空気を貫く。「そんないい加減なお心でクローネの人生を左右するようなことを勧めたのではない、そのようなお方ではないと私は思っておりますが・・」

 「い、いや、いい加減になどとそのような軽い気持ちで勧めたことではないぞ、そのようなことは絶対にない!結婚で一区切り着くことになろうかとは思っておったが・・」

 「一区切り。」

 「ああ、いや待てエルデ・・そうじゃ、エドウェル、ビルジェイドを呼べ!」

 ビルジェイド・シグラント・・クローネさんがジェドおじさまと呼ぶ、カルセドくんのお父さんである。

 「騎士団長様、私が参ります。」

 カルセドくんが一礼して消えた。転移できる魔石を持っていたらしいけど、すぐには帰ってこなかった。

 王女様がお茶を部屋の前で控えていたサシェさん(!)にお茶を頼み、お茶とお菓子で、一同一息つく・・お茶一杯分の時間がたってノックの音がした。サシェさんがドアを開け、カルセドくんが、続いて同じ栗色の長髪を一つに結い、短く刈ったあごひげを生やした男の人が入ってきた。ビルジェイド・シグラントさんである。

 まず両陛下に礼を取り、「カルセドリオから話は聞いて参りました。」開口一番、真顔でそう言ったものだから、空気に緊張が走る。王様は小さな咳払いをした。

 「ではビルジェイドよ、率直に聞こう。そなたは息子カルセドリオの妻が生涯かけて剣を極めんとし、騎士としてつとめることをどう思う?」

 「武門の家の娘、妻として誠に喜ばしきことかと。確かに異例ではありますが、私の否とするところではございません。」そして、クローネさんを見た。「クローネ、そのようなことで悩んでいたとは知らなかったぞ。もっと早くに言ってくれればよかったものを。」

 「ジェドおじさま!」

 ビルジェイドさんは微笑み、うなずいた。

 「本当によいのか、ジェド。」

 エドウェルさんに言われて、もう一度ビルジェイドさんはうなずいた。

 「まあ、とはいえ、時々は着飾って貴族の妻達の集まりに出たりなどせねばならぬだろう。その際お前のことをとやかく言う者もいようが、それは我慢だぞ、クローネ。」

 「もちろんです、おじさま、そのくらいは我慢いたします!剣を続けさせてもらえるなら、どんな罵詈雑言でも耐えられます!」

 「よし、それでこそランベルンの隼だ。」そして、両陛下の方に向き直った。「お聞きの通りにございます。」

 「そ、そうか。」安堵の笑顔が王様の顔に広がる。「そうか。ならば、よい。」

 「よかったわね、クローネ。何かと大変でしょうけれど、頑張るのですよ。いえ、貴女ならできると信じています。」

 王妃様はうれしそうに言った。

 「本当によかったわね、クローネ。これからもサーシャと二人、私の護衛をよろしくね。」

 「無論です!どうぞお任せを!」

 王女様の言葉に文字通り、胸をたたくクローネさん。

 ああ、よかった。本とによかった。

 「なんだ~・・もっと早くにシグラントさんに来てもらえばよかったね~」

 思わずつぶやいた私の言葉を、王様が拾った。

 「全くじゃ。はじめから嫁ぎ先のビルジェイドの意見を聞いておればよかった。そうすればクローネは逃げ回ることもなく、オリータも急ぎガルトニから来ずともよく、エドウェルや我らも心配することも無かったわ。」

 思わず皆笑いだした。

 「いや、よかった。クローネ、これでそなたも晴れてカルセドリオの妻になるのじゃな。」

 クローネさんの笑顔が凍り付く。

 「・・・・・・・・・・・・・・」

 「クローネさん?」

 「・・・ええと・・あの、今はまだ、いいかな、と。」

 本日5度目の沈黙。

 「と・・すれば・・いずれはよいのかな?」

 王様のこめかみに汗が浮く。

 「あと3年ほどのちならば。」

 今クローネさんは17才なので、この国の適齢期としてはいいところだろう。王様もその結論に至ったようだ。

 「エドウェル、ビルジェイド、どうじゃな、それで。3年後ならばクローネとカルセドリオは20才、ちょうどよかろう。」

 混ぜかえった話を一刻も早く収めたいエドウェルさんと、なんだかよくわからないが3年なら別に全然オッケーみたいなビルジェイドさんが笑顔でうなずき合う。

 カルセドくんは・・カルセドくんはちょっと寂しいような、でもうれしいような、照れくさいような、そんな顔でクローネさんを見ていた。その目は完全に愛しい人を見る目で・・クローネさんの友人としては安心した。

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