5-10.文章巧者の教えとスーリの鷹

5-10.あなたが王位を継ぐべきなのです


前回は、ラスボスにいたる伏線にいろいろコメントくださってありがとうございました。おかげさまで、改稿の方向性が見えてきました~! 


さて、バトルがひと段落して、ここと次の回は真実があきらかになる、いわば謎解きパートですね。謎解きがメインの作品ではないですが、読者におどろいてほしいという意図で書いています。でも、前回の反省にあるとおり、あとひと押し足りなかったなと思っています。


伏線は、今回それほど多くなかったと思うのですよね。登場人物やエピソードを削って、私の作品のなかでは読みやすいほうだと思います。(『ブラックドッグ……』はわかりづらかったな)

ジェイデンがフィリップの息子なのではとか、「ラスボスは兄ジョスランでは?」といったミスリードの部分も、わりと機能していたようでした。では、あとひと押しの部分はなにか?


カクヨム内で私淑ししゅくしている作家の、涼森巳王さんがこの点にアドバイスをくださいました。カクヨムには文章巧者がたくさんおられますが、そのなかでも読者をひきこんで完走させる構成力がすばらしい作家さんです。長編シリーズにファンが多くておられるんですが、短編もみごとなオールラウンドプレーヤーで、今回なんと河出書房新社さんより短編が書籍収録なさるとか!! ピャーッ!!(喜びの奇声)


>たぶん、弱かったのはヒントのほうですね。

>「フィリップって怪しい? いやまさかね」っていう感じが、ほんの一瞬でもいいので、どこかでもうちょっと前に出てると「ああ、やっぱりあれがそうだったか」となるだろうなと。


こ、これだ~~!! 読んだとたんに電流が走りましたね。あまりにも値千金なアドバイスだったもので、ここに引用させていただきました。メイキングのほうじゃなくて私信としていただいたコメントだったので、失礼になっていないといいんですが、すみません。


さらに先達の教え。

「ヒントを正々堂々と書く度胸をつけることが、ミステリーでは大事かなと」


こ、これか~~!!

またも走る電流。たしかに、ミスリードにくらべると、ヒントを書くときってどうしても小心になってしまいますよね。いちばんおもしろい、作品の核の部分を、クライマックスより先に読者に知られるわけにはいきませんから。


でもね~、本当に、このヒントがしっかり入っていないと、せっかく謎がとけても読者にハラオチさせられないというのを痛感するんですよ。読者側としても作者側としてもですね。


先達によれば熟練によって「ヒントを正々堂々と書く度胸」がつくらしいので、今後の自作にも希望がもてますね。


**


あとは蛇足。

スーリが鷹を使ってジェイデンを助けるというの、絵的にはけっこう気に入っている部分です。彼女の魔法の特性をもっと詰めて考えていたら、この案は出てこなかったかも。「死んでいるものしか使役できない」縛りがあったほうが、今後の展開を考えるとおもしろかっただろうな~と思います。その点では失敗でしたが、まあ、いいことにしておきます。鷹をスーリだと思ってあわてるジェイデンがかわいいし、そのあとすぐに本物のスーリがあらわれるところも、絵としておもしろいなと思って。


鷹の妨害によって緊張がきれたところでシーンとしてはひと区切りつき、スーリ、ジョスラン、オスカーという主要人物がくわわります。ジョスランはパトリオを見張らせていて、そこから洗濯場のバトルを知って、途中でスーリと合流したんじゃないかな。オスカーは偶然、このふたりのどちらかと城内で出くわしたとか。急に出てきてるので、なぜ集まったかについてはひとことあってもよかったかもですね。


家から追い出されたくせに、どさくさにまぎれてちゃっかりとスーリを抱き寄せて仲直りをはかっているジェイデン。こういうとこにためらいがないのが、コミュ強たるゆえんですよね。このあたりは、ラストの別れを盛り上げるためにイチャイチャさせておくほうがよかろうと思い、させておきました。その意図をふり返ると、もうちょっとはっきり、思いが通じあっていることをつたえる文章があってもいいかもしれませんね。うん。


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