5-11.小ネタを創作に昇華した話

5-11.騎士を招集しろ


フィリップと王妃の不義の子が、ジェイデンではなくジョスランであることがあきらかになるパート。


不義の子であるとわかればジョスランが廃嫡はいちゃくされてしまうのではとフィリップはおそれていました。幼少期からジェイデンをかわいがっていたのは、本文にあるように、その隠れみのとするためです。ただ、今回は書きませんでしたが、王であるリグヴァルトは妻に明かされてその事実を知っていました。このふたりとジョスランのあいだでは、長いあいだ公然の秘密だったのです。ジョスランが最後に「おまえのひとり相撲だよ」というのはそういう意味でした。あまりに冗長になるかなと思って、書きませんでしたが。


自分の息子でないと知っていながら王がジョスランを立太子させたのには、もちろん理由があるんでしょうが、そのあたりは第二部以降の話ですね~。まだあんまり考えてないですけど。でもたぶん、第二部のラスボスは未来のお義母さまこと王妃殿下になりそうな気がしますね。私の趣味的に……w



この謎解き回にスーリをなんとかからませたく、遺伝的な類似をいれてみました。いちおう、フィリップにもジョスランにも、指を強調するような描写が過去に入れてあります。じつは、完全な蛇足ですが、この「両手の小指が短い」というのは私ときょうだいの共通点なんですよ。


きょうだいとは顔がぜんぜん似てないのですが、手がそっくりなんです。わりときれいな手なんですよ、指が長くて。おとなになるまで自分の小指が短いと思ったことはなく、ほかの指が長いんだとばかり思っていました。なにかの疾患を調べるときに偶然、小指の短指症というものがあることを知ったんです。そう言われてみると、手ぶくろの小指部分にものたりなさを感じていたなぁ……。


これまできれいな手だと思ってきたものが一種の奇形とわかったとき、その事実がすごく興味深く、おもしろく感じました。それで小ネタとしてたまに人に話していたんですが、奇形というワードが強すぎるらしく、「そんなに気にすることないよ」と慰められてしまいます。気にしているというか、奇形は医学用語だし、おもしろがっているだけなのに……。しかたないので小説に書くことでこのネタは昇華することにしました。


まあこれは蛇足でしたが、顔が似ていなくても身体のパーツがそっくりというのは、血のつながりを示唆するのになかなかいい方法だったのではと思います。


女性は自分が産んだという動かぬ証拠がありますが、男性側は子どもが自分の種かどうか100%の保証はないわけです。フィリップ自身も、ジョスランが自分の息子かどうか信じきれていない部分があったのだろうと思います。それが、実子であるという確証となるものが出てきたときにどういう心の動きにつながるのか……私にも理解がおよばないことなので詳しく書きませんでしたが、おなじ立場の男性にならないとわからないようななにかがあっただろうなと想像しています。


とはいえそんな実父に思いをはせるようなやさしさは当のジョスランにはありませんでしたが。これも、ジョスランの立場を思えばしかたがないですよね。


ジョスランは悪い人じゃないんですが、こういう背景もあって愛情面では抜けが大きいというか、情緒を解さないタイプになってしまいました。彼の奥さんになる人が第二部ででてきますが、こういう男を夫にするのはたいへんだろうな~と思います。

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