2-9.フィリップは事件の犯人を知っていたか?

前回からの続き。また、2-10の内容もふくみます。


なくしたはずの指輪が出てきたことにつづいて、絶対に触っていないはずの勲章の位置が変わっていることで、ついにクルムはダウンしてしまいます。文字にすると、えらい地味ですね……。


彼の苦悩がわかりやすいように、ジェイデンが解説してくれます。ものがなくなっても、最初は気にも留めない。だがくり返されるうちに徐々に疑心暗鬼におちいっていく。今度はもっと重要なもの、取り返しがつかないものがなくなるんじゃないか。今度こそ、もう見つからないんじゃないか……と。


ここでスーリに話しているとき、ジェイデンはもうだいたい事件の想像がついています。あとは、家令の関与を確認するだけという感じでしょうか。ただ、彼はここでは客人の立場なので、聴取には慎重になっただろうと思います。フィリップにも報告しないといけませんしね。


これは本編では書かなかったんですが、クルムをこういう手段でリストラすることについて、フィリップは事前にうっすら聞かされていたのではと思います。家令が独断でやっていたら、彼も処分されていたでしょうから。


スーリと最初に会話したとき、クルムについてフィリップが「父の代から勤めてくれている」と言ったのをご記憶でしょうか? つまりフィリップにとっても解雇しづらい使用人ということですね。なので、こういう手段もやむなしと、許可まではいかなくても黙認くらいの立場だったのではないかと想像していました。


なので、こういう主人と使用人の機微にさといジェイデンは、フィリップには家令をかばうようなあいまいな形で報告したんじゃないですかね。(そうでないと、立場上、フィリップは家令を処分しないといけないので)


そのへんをスーリに説明するのは難しいし、またフィリップへの配慮もあり、ジェイデンは上記のことは彼女に話しませんでした。


読者さんがそのへんを推測できるような情報があるとよかったでしょうかね? でも、蛇足といえば蛇足ですよね。

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