第14話 ヒーローショー②
ヒーロー。
その実態は
彼らの仕事は一つ。許可なくイベントを開催するラクダインの活動を、物理的に
「
ピエロ仮面が大げさに反応すると、ブルーはその反応を待っていたかのように、ポーズを
飛び降りたのだ。
言っておくが第二一般講義棟は4階まである。普通に考えて飛び降りられる高さではない。もしも飛び降りたとしたら、それはただの自殺。
しかし、ブルーはこともなげに地面に着地した。
「何度見てもすごい性能のスーツだよな」
俺は素直に驚いていた。
ゆえのヒーロー。
ピエロ仮面は、ヒーローの方に視線を向け、そして
「ふん! 一人で来るとはなめられたものだな! おまえら、やってしまえ!」
「「「ききぃ!」」」
掛け声と共にどこからともなくヘルメットの軍団が現れる。ヘルメットにはラクダのマーク。つまるところ、下っ端戦闘員だ。ききぃ、という掛け声は絶対悪ノリだと思う。
戦闘員の動きも人の
「ゴミが私に触るな!」
しかし、ヒーローにはまったく及ばなかった。
文字通り
戦闘員のやられっぷりを見ることなく、ピエロ仮面はくるりと向き直り、オーディエンスに語りかけた。
「さて、皆さま。突然ではございますが、本日のオーディションはこれにて終幕となります。お楽しみいただけましたか? しばらくすると自治会の保安隊がやってきますので、それまでに仮面の方は処理してください。捕まって停学になってもラクダインは責任をとりませんのでご注意を」
ピエロ仮面が告げると、参加者は
逃げていく一般生徒。その中を割るようにして、ピエロ仮面の元に青いスーツが向かっていった。
「観念なさい。
「ピエロだと言っているでしょ。鼻が赤いのは血が出ているというわけではありません」
呆れたように言うピエロ仮面を意に
「今日こそは殺す」
「それは
「黙りなさい、ゴミ虫。あなたは、はい死にますとそのクソの詰まった頭を差し出せばいいの」
「
「……殺す!」
ブルーは剣を
「ボウリョク、ダメ、ゼッタイ」
「
ブルーの舌打ちは、目の前のモノには届かない。ロボなのだから仕方ない。
「サソリさん、ブルーさんの相手をお願いします」
「サンドバック、デスカ?」
「時間稼ぎです」
「ダイジョーブ、ドエム、デスカラ」
「……お願いしますよ」
「リョーカイ、デス」
二つの大きなアームと無数の足、それからバランスをとるための
「
ブルーは剣を叩き込み、サソリはアームでその攻撃を受ける。ヒーロースーツの力は強大で一撃ごとにハンマーで殴ったような音が鳴るが、サソリの方は重量と姿勢制御機能で
しかし、ブルーは
「
ブルーがトリガーを引いた瞬間に、
「相変わらずおっかないですね」
「
「そうですか」
「それより逃げるのを忘れているわよ。これじゃ、この
「いえ、十分時間は
「逃がすと思っているの?」
「おっと、例の
「次なんてないわ」
「ふふふ、それでは、ヒーロー。またどこかでお会いしましょう」
ピエロ仮面が深々とお
次の瞬間、
「くそっ! またこんなやり方で!」
ブルーの
「ヒーローがやってきて非認可オークションは終了。しかし、ラクダインは逃亡。いつも通りだな」
階段に座って一部始終を見ていた俺は、パンと膝を叩いて立ち上がる。彼らの抗争は今日に始まったことではない。それぞれはまじめにやっているのだろうが、一般生徒から見ればただのヒーローショー。いい暇つぶしだ。
「それにしても、良子、遅いな」
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