第17話 毎日が誰かの記念日
「"この味がいいね"って君が言ったから、七月六日はサラダ記念日。いいよね、これ!俵万智さん良すぎる!」
『急にどうしたの?』
「私もこー言うのが言いたいんだよ、ちゃん美優ー!」
『言えば良いじゃない。』
「このツイートにいいねしてくれたから、四月二十二日はファボ記念日。」
『Twitterの事!?!?』
「今風に言ってみたよ!」
『ファボって死語じゃない?いいねが星の頃のお話よね。今は星が滅んで世界は愛に包まれたのよ。』
「いや、言い方!!!確かにハートマークになったけど、というかお話し逸れてる!」
『いつもの事じゃない。他にもないの?俵万智さん的言葉は。』
「この阿部の演技が良かったから、四月二十二日はサダヲ記念日!」
『舐めんな!!!』
「男女の子役とエンディングで踊ったから、四月二十二日はサダヲ記念日!」
『どちらかと言えばマルモリ記念日なるんじゃないかしら?』
「君にジュースを買ってあげたから、四月二十二日はサダヲ記念日!」
『グループ魂出てきた!?』
「阿部サダヲ駄目かー。語感は似てたのになぁ。」
『俵万智さん的な"日常の中に紛れる良さ"ってものが全く伝わって来ないのよ!』
「日常の中に紛れる良さ?卵を割ったらカレーが出てきたとか?」
『ファンタジーよねソレ!?』
「自転車のサドルが盗まれたけど、そのサドルの抜けた穴にお花が入れられてた事とか。」
『奈緒ソレ、いじめられてない??』
「ティッシュで鼻かんだら鼻の中からバッタが出てきたこととか?」
『もはや怪談話じゃない?』
「黒板消しを窓の外でパンパンして叩いてたらピンク色の煙が舞ったとか?」
『黒板消しで桜澱粉でも拭いたのかしら。』
「くしゃみしたら口からバッタが出てきたこととか?」
『ねえ、奈緒はバッタを丸呑みしてる化け物とかじゃないよね?』
「"このバッタがいいね"って君が言ったから、四月二十二日はサラダ記念日。』
『バッタをサラダ代わりにしてるの!?やっぱ化け物じゃない!!!!』
「待てちゃん美優。いや、ちゃんぽん!」
『長崎のソウルフードになってるわよ。美優よ私。』
「まあまあ、冗談は書き置き。」
『さておいてよ。』
「今のちゃん美優との会話で何か掴んだよ!」
『バッタしか掴んでないでしょ。』
「俵万智さん的な詩人に私はなる!」
『あれ?詩人だっけ俵万智さん!?まぁ、歌人は詩人か。』
「"この青春の光がいいね"って君が言ったから、四月二十二日はさらば記念日。」
『お笑い芸人さんよね?さらば青春の光さんじゃない。』
「"この蟹がいいね"って君が言ったから、四月二十二日はタラバ記念日。」
『タラバ蟹でしょ?ねえ、何の時間これ?私帰りたいんだけど。』
「まあ、待てちゃん美優。いや、ちゃんこ鍋。」
『何よ、バッタが主食さん。』
「そんなラジオネームみたいで私の事を呼ばないでよ、俵万智さんみたいにハートフルでウォーミングでサミングな事を言いたいんだよ。」
『何で最後目潰ししたのよ。』
「私の事を笑う世間の目を潰したいんよ。」
『酔っ払った会社の上司みたいな事言うわね。』
「どうやったら、あんな事を言えるんだろ。センスなのかな?生まれ持ったものなのかな?私に足りないのはセンスなのかな?」
『頭じゃない?』
「ちゃん美優ぅぅぅぅーーー
!!!!私は本気で悩んでるんだよ。私は本気で悩んでるんやで!」
『何で最後関西弁で伝えたのよ。良い?バッタを捕食さん?』
「バッタ食べる前のラジオネームになってる!?」
『そもそも俵万智さんみたいには、なれないわよ。日常の中で過ごす自分の目。その自分込みの日常を観察する目。この二つの目がまず必要なのよ。分かる?』
「鈴木福くんと芦田愛菜ちゃんってどっちが誕生日早いのかなぁ。」
『毛ほども聞いてないわね。』
「"この踊りがいいね"って世間が言ったから、二日後の四月二十四日はマルモ記念日。」
『調べたら本当に四月二十四日はマルモのおきての初回放送日じゃない。』
「結局そんなもんなんだよ。世界っていうのは毎日が何かの記念日なんだよ。」
『うわ、酔っ払ったサークルの先輩みたいなつまらない事言った。』
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