第5話 にんげんだもの

「はあ、今日も私はモテなかった。」

『今世は諦めなさいって。』

「みちょぱだって彼氏いるんだよ?私に居ないのおかしくない?」

『おかしくないわよ。』

「そうか、世界がおかしいんだな。」

『遠い目をしてる所悪いけど、おかしいのは奈緒の頭よ。』

「ちゃん美優は今日も私に冷たい。今日の気温よりも冷たい。いつから貴方は北風になったの!」

『北風になってないわよ。でも、奈緒。今日筆箱と間違えて家のリモコン待ってきてたわよね。流石の私も呆れて声が出なかったわ。』

「ほら、猿も木から落ちて死ぬって言うし。」

『死んじゃうのね。』

「カッパの川流しって言うじゃん。」

『拷問かなぁ。』

「弘法筆の誤り、でも間違えたって良いじゃない。人間だもの。」

『相田みつを出てきたわね。』

「家のリモコンを筆箱と間違えて持ってきても良いじゃない。人間だもの。」

『良くはないわよ。みんなから笑われたじゃない。』

「笑われても良いじゃない。人間だもの。」

『良くないのよ。あと相田みつをの人間だものの人間はひらがな表記よ。』

「みちょぱ好きな男性に限ってヘアワックスつけて遊んでるって思っても良いじゃない。偏見だもの。」

『とうとう人間って言わなくなったわね。相田みつをの言い方してディスり始めたわね。』

「バットで殴られると痛すぎて立てないんだよなぁ。弁慶だもの。」

『みつをに何があったの!?弁慶バットで殴られたの!?』

「みちょぱ好きになれないなぁ。陰険だもの。」

『偏見よそれ!』

「胡麻和えにすると美味しいんだよなぁ。いんげんだもの。」

『そんな暴挙が許されて良いの!?いよいよルール無用なわけ!?』

「ちゃん美優テンション上がりすぎー。息遣い荒いけどどうしたの?」

『いやちょっと、ボケの千本ノックみたいなのが来てね。律儀に全部捌いたらこの様よ。』

「なるほど、そんな恐ろしいこともあるんだね。」

『ええ、筆箱と間違えてリモコン持ってきた友達が居るんだけど、その子が腹いせにボケのラッシュをかましてきてね。』

「まあまあ、良いじゃない。許してあげなよ。人間だもの。」

『千本ノック再開!?』

「篠原だって良いじゃない。涼子だもの。」

『ルールどこいったの!!!!』

「愛しさと切なさがあっても良いじゃない。涼子だもの。」

『心強さは!!!』

「不貞妻でも良いじゃない。涼子だもの。」

『それは言っちゃいけないわ。』

「文字通りアンフェアだよ!韓流アイドルと付き合えるあの美貌アンフェアだよ!私によこせ!」

『傷口抉らないの。というかここ数話ずっと小室ファミリーをネタにしてない?華原朋美さんにSAMさんにglobeに今回は篠原涼子さん。奈緒は小室ファミリーに身内殺されたの?』

「小室ファミリーって極道じゃん?」

『違うわよ。ファミリーって単語だけでそう言うこと言わないの。』

「長く築いた愛も、ジェンガのように崩れるのさ。本当の愛ってなんだろうね。」

『少なくとも"今日も私はモテなかった"とか言ってる人には一生わからないわよ。』

「分からなくて良いもん!私はただモテたいんだもん!愛を築きたいわけじゃないもん!」

『何がしたいのよソレ。問題集を買って、買っただけで満足して勉強しない受験生みたいなものよ?』

「私はチヤホヤされたいの!それだけなの!!」

『もう薄っぺらすぎて理解できないわ。』

「女々しくてが発売された時のゴールデンボンバーみたいな、爆発的にモテたいの!」

『今や見る影もないわよ。メンバー二人スキャンダルで再起不能じゃない。』

「不倫したって良いじゃない。バンドマンだもの。」

『確かに、不倫してことバンドマンって文化は昔はあったけども!令和よ今!』

「メンバー二人も不倫したせいか、樽美酒さんテレビでても顔面蒼白だもんね。」

『元からよ。あとあれは白塗りの化粧だから。』

「不倫に比べれば、私の筆箱とリモコンの間違いなんて可愛いもんだよね。」

『当たり前でしょ。向こうは人間関係が壊れたのよ。奈緒は元々頭が壊れてるから失うものなんて無いでしょ。』

「あるわー!尊厳とか失われること考えると怖くて朝も起きれない。」

『だらしないだけでしょ!!』

「あともう一つ怖いのは今回見切り発車だからオチがない事だね。」

『嘘でしょ!?』

「オチが無くて良いじゃない。見切り発車だもの。」

『みつをで乗り切ろうとするなー!』

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