第6話 魔滅刀

『今年の節分は2/3なのね。去年は2/2だったから少し混乱するわね。』

「ちゃん美優。気持ちが緩んでるぞ。常に気を張って行動しないと喰われてしまうぞ。」

『食われるって誰によ?』

「鬼にだ。奴等は非道だ。人間を玩具のように扱う。だから、柱たる我々がこの刀で鬼の脅威から民を守るのだ。」

『誰が柱よ!』

「人柱のちゃん美優!」

『私犠牲になってるわよ!』

「ちなみに私は火柱だ。煉獄さんの意志を継ぐ者だ。」

『あ、だからさっきから煉獄さんみたいな喋り方をしてたのね。くだらない。』

「誰がくだらないだとおおおお!!この刃の錆にしてやろおかぁぁぁ!」

『煉獄さん、そんな事絶対言わないわよ。』

「今日は節分だ。いついかなる場合をも想定して行動するのだ。どこに鬼が潜んでいるか分からんぞ竈門少年。」

『私、竈門でも少年でもないわよ。』

「オードリーだって油断したからここ2週連続でヒルナンデスに出てなかったじゃん。」

『鬼関係ないわね。コロナにやられてただけよ。なんなら今日のヒルナンデスには春日さんだけ復活してたじゃない。』

「そうやって適当な言い訳をする!そういう他人の言葉を受け付けれない弱さが後々身を滅ぼすのだ!」

『何よこのエセ煉獄さん。果てしなく鬱陶しいんだけど。燃えて消えてくれないかしら。』

「今日という日が終わるまで警戒は緩めるな。集中を切らした時、奴等は首元に噛み付いてくるぞ。」

『鬼って首元に噛み付いてくるんだっけ?鬼なんて豆でも撒いとけば大丈夫よ。』

「たかがコーヒー豆を撒いたところで鬼が退くわけ無いだろ!馬鹿か貴様!」

『だから煉獄さんはそんな口調を荒げないわよ。あと何で撒く豆の種類はコーヒー豆に決定してるのよ。』

「苦味があるのかと思って。」

『言い方は煉獄さんなのに、頭が奈緒なのよ。それじゃあ魘夢(えんむ)にも勝てないわよ。』

「誰がサキュバスだ!!!!」

『淫夢って言ってないわよ!耳も悪いの!?』

「く、この調子じゃ俺は今日という日を乗り切れない気がする。どうすれば良い?黄色い少年。」

『私、黄色い少年じゃないし、煉獄さんはそんな弱音も吐かないわよ。』

「く、昨日からできてる口内炎は痛いし、朝寝違えて首は痛いし、遅刻して先生に怒られて心ズタズタだし、この燃え上がる感情は何?心が叫びたがってるんだ。」

『身も心もボロボロじゃない。道中だから叫ばないでね。恥ずかしい。』

「恥ずかしさなんて感じてるから君は弱いんだ。私なんて毎日二時限目には早弁かましてるから、早弁女ってあだ名が定着したが、ちっとも恥ずかしくないぞ!」

『ほんと、なんで早弁女が煉獄さんになろうなんて思ったのよ。共通点"お弁当を美味しく食べる"しかないわよ。』

「それでも民の平和を守るんだ。」

『豆でも撒いとけば良いのよ。豆って魔目(まめ)を鬼の目に投げつけて鬼を滅する。魔滅(まめつ)ってところから来てるのよ。豆をぶつけるのは邪気を払う意味もあるから、効果絶大よ。』

「そんな事しても無惨は倒せないだろ!」

『とうとう無惨を目標にし出したわね!!!!』

「俺は今日、魔滅刀で無惨の首を落とす。」

『魔滅刀って何よ。奈緒みたいな走り幅跳びで跳ぶ線の寸前ですっ転んで頭から砂場へダイブするような運動音痴には無理よ。』

「あれは、炎の呼吸、120の型だな。」

『そんなに型ないでしょ。』

「炎の呼吸120の型 七転八転!」

『転んでばっかじゃない!』

「立ってるのに力が入らないんだ。上弦の鬼のせいか!?」

『奈緒の体力の上限のせいよ。猗窩座のせいじゃないわよ。』

「だが今日は早弁してないから調子良いんだ!きちんとした時間帯に食事したから今なら猗窩座倒せる!」

『口内炎だから、早弁できないのね。』

「まずは人柱のちゃん美優に先陣切ってもらって、私の魔滅刀でバッサリだ!」

『それ、私もバッサリいってない?』

「犠牲は厭わない。それが人柱としての使命だろ!」

『よし、このエセ煉獄、そろそろシバくわ。』

「え?ちゃん美優?無言でシャベル持って近づいてるけど何する気?え?ちょっと、え?」

『私の魔滅刀で滅してあげるわよ。その民を守る使命から会はありしてあげるわ。』

「ちょっ、魔滅刀というかソレはシャベル…。ぎぃやぁああああ!!!!」

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