第52話
気分転換を兼ねて、ネムと鮎貝と三人で海に遊びに来た。
「結構、人いるね~」
「そうですね。ネムちゃん、海に入る前に肌にクリーム塗ろうね。キレイな肌を守らないと」
「うん。塗りっこしよう!」
微笑ましい光景の遥か先。僕が逃亡しないように警備責任者のハルミが遠くから目を光らせ、監視していた。
「……………心配し過ぎだって」
水着に着替えたネムと鮎貝。こちらに走り寄る美少女二人。その姿が、プロモーションビデオのように輝いて見えた。
海岸にいる輩は、彼女達が放つ華やかさにざわめき立っている。
こちらにくる数十メートルの間に何度も色黒の男達にナンパされていた。
そんなしつこいナンパ男にキレたネム。容赦のないネムの小さな拳に顎を撃ち抜かれて気絶していた。
「だ、大丈夫?」
「もうっ! しっかり私達を悪漢から守ってよ。ただ突っ立ってないで。お前は、案山子かって!!」
「前田さん。最低限の男気を私達に見せてください」
鮎貝も少し怒っているみたいだった。
「ごめんね、なんか……」
一応、謝っておくことにする。
「童貞の案山子かって!」
「しつこいなっっ!!」
その後、海の家で買ってきたフルーツジュースと焼きそばで何とか二人の機嫌が回復した。今は、二人で仲良く砂遊びをしている。
僕は、三個目のジュースと焼きそばを鋭い視線を放つ長身美少女まで配達した。
「ただ見てるのって疲れるだろ? せっかく来たんだし、少し遊んだら?」
「いえ、仕事中ですので」
「じゃあさ、こんなんで良かったら飲み食いしてよ。水分とらないとマジで熱中症になるよ?」
「………」
「ほら」
「…………ありがと…ござい…ます…」
強引にハルミに手渡すと、僕も水着姿になって久しぶりに海に飛び込んだ。
「どうした? 急に股間を押さえて。私達に欲情しちった?」
「前田さん。さっきから私の胸ばかり見てますしね」
「私の胸は、ずっと行方不明かってか?」
「ち、ちがっ!」
ネムに尻尾で首を絞められるわ、股間をクラゲに刺されわで。
まぁ………でもさ。何だかんだで、すっごく楽しかったですよ、はい。
この『運』は、キミを救うらしい カラスヤマ @3004082
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