第21話

今の状態なら、あのカードを最低でも2~3枚召喚出来るはず。ただ、その為には情報が必要で。無駄なリスクは犯せない。兄さんにあんなに協力してもらってるし………。結局、ダメでした~~。許してぇ~。テヘッ。は、流石に通用しない。


僕は、ネムの部屋を3回ノックして、中に入った。ネムは………キングサイズのベッドの上で布団を蹴飛ばし、可愛いおへそを出して、大の字で寝ていた。


「おいおい…………相変わらず、すごい寝相だな………。ネム? 起きて。ちょっと聞きたいことがあるんだ」


「ぅ……ゅ………」


「ほら、起きて」


ベッドからだらんと垂れ下がった尻尾を左手で握り、腹の辺りをくすぐる。


「んっ …………だ……め……」


寝ぼけ眼のネムと目が合った。


「おっ! 起きたな。あのさ」


「朝から……する…の? ドア、ちゃんと閉めてね………。いけない声……出ちゃうから」


「そんな、トロンとした目で見るな! 聞きたいことがあるから、早く起きて!!」


「わたし……なぜか下着なんだけど……。脱がした?」


「お前は、いつも寝るとき下着だろうがっ!! 何度、注意しても直さないし」


「じゃあさ、その尻尾は何? そんな汗ばんだ手でぎゅうぎゅう握ってさ……痛いよ……大事な…マイ尻尾なのに……」


上気した顔、潤んだ瞳で見つめてくる。

慌てて、握っていた尻尾を投げ捨てる。


「あっ、ごめん……。強く握り過ぎた」


「ダーリンなら……いいよ。………触るのは、尻尾だけでいいの?」


「なっ、なんだよ。それ……」


その時、感じた気配。背後に立つ、第三者。ドアからのすきま風が、やけに冷たい。


「ネムさん? 朝からおふざけが過ぎますよ。前田さんが、困っているじゃないですか。さぁ……二人とも、朝御飯できてるので、早く顔洗って来てください」


「うん。すぐ、行きます……」


「ふぁ~~…………………ぅ……」


二度寝しようとしたネムの頭をペチッと軽く平手打ちした。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



片付けたテーブルの上に前のようにカードを広げた。今度は一枚、一枚、キャラ(?)の顔が見えるように丁寧に置く。


「まず、聞きたいのはさ。前に言っていた懸賞金の話なんだ。ちなみに、あのゾンビにも懸賞金ってあるの?」


「もちろんあるよ。討伐対象だからね。確か、ゾンビ君は300ルックだったかなぁ」


300ルックって言えば、1ルックが、千円くらいの価値だから……三十万か。


意外とゾンビ安いな。まぁ、レア度も一番低かったし、こんなもんか。


ゾンビを召喚する為に消費した運の量は、覚えている。ゾンビを参考に懸賞金の額から、今自分が召喚出来るカードが分かる……はず。一度、召喚を始めたら途中で止めることが出来ない。


だから、慎重に。


死かーーーー。


召喚。


命懸けの二択。

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