第13話
一階(我が家)に戻ってきた私達は、露天風呂に入って、疲れと緊張をほぐした。
ダーリンは、後でお風呂に入るって。やせ我慢しちゃってさぁ~。可愛いヤツですよ、まったく。
「それにしても…………ほぉ。これは、なかなかですなぁ」
「ど、どうしたの? 早く入ろうよ」
鮎ちゃんの裸体は、女の私から見ても惚れてしまうような体バランスだった。
ダーリンが好きになる気持ちも分かる。
それに比べて、ロリミー(小さい私)のことは妹くらいにしか思ってないし………。
「痛いっ、痛いよ! ネムちゃん」
「この胸かっ! この胸のパイ力で男を釣るんか!! この淫乱め」
「淫乱じゃ……な…ぃ…。やめ、て」
私は、鮎ちゃんを後ろから抱き締めて、胸を揉み揉みしまくった
。
「っもう! 怒った」
鮎ちゃんは、私の魔の手からスルリと逃れると私の尻尾を石鹸で泡だらけの両手で上下に擦った。
「ひゅ……やっ、ん」
しばらくして、お互いの体を触りっこした私達は、広い湯船に浸かり仲良く夜空の星を数えた。
「鮎ちゃんとダーリンって、こことは違う世界から来たんだよね。どんな場所なの? ジャんパンって」
「ごめんなさい。……前の世界のことは全然覚えていないの。……でもね、こんな風に星を見てた気がする。こうしてると……懐かしい気持ちになるから」
「そっか……。何か思い出したら、教えて。アイツはさぁ、たまに元の世界のことを私に教えてくれるよ。楽しい話ばかりじゃなかったけど、面白いことも多くて………いつか行ってみたいなって………。まぁ、でも絶対に無理だろうけど」
私を優しく抱き寄せた鮎ちゃん。頭をナデナデしてくれた。
とっても優しい。
ーーーだけどね、鮎ちゃん。
私、本当は気づいているんだよ?
鮎ちゃんが嘘をついていること。
人間よりも何倍も耳がよく聞こえるから。嘘をついた時の心臓の音は、普通とはちょっと違うんだよ。
「鮎ちゃんは、優しくて胸もあって、ズルいよ……」
「ネムちゃんは、可愛くて、面白くて、ズルいよ」
私達は、笑いあった。
嘘つきは、私も同じだし。
同じ嘘つき同士、仲良く出来そうだねーーー
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