第3話『プレゼント』って、貰うよりあげる側の方が楽しい……と思うのは私だけじゃない……と思う。

 翌朝の登校時、僕は白樺先輩に、お願い事をした。


「……学校に着いたら、朝錬あされんの前に、ちょっと僕の教室に寄っていただく事って出来ますか?」


「え? 輪音りんねがそんな事言うなんて珍しいね! ……まさか、また『この『ちょうちんナメクジ』(←ナメくんの事)が居るから、付きまとうな!』……とか言い出すんじゃ無いでしょうね!?」……と、白樺先輩は鋭い目で僕を睨んだ。


 白樺先輩は、美人でファンも多いのだが、時折、周囲がたじろぐ程、こわい顔をする時がある。


「ち、違いますよ! ……白樺先輩と狭間さんに……ちょっとしたプレゼントがあるんで渡そうと思って……!」……と言うと……


「え!? マジで!? 輪音が……? やだよ! 恥ずかしっ!」……と言って、真っ赤になって、僕の肩を『バッチン!』……と引っぱたいたあと、ほっぺを両手で押さえた。


「……で? で? 何をくれるの? ねぇ、輪音! 教えてよ!」


 ……うわうわ! こんなに食いついて来るとは思わなかった!


「秘密です。 教室に来てくれれば渡しますから!」


「やだ。 今欲しい!」……と言って、白樺先輩は両手を僕に向けた。


 僕は、ちょっと調子に乗って……「駄目! 教室までおあずけです(笑)」と言った。


 白樺先輩は「ぶーっ」……と言って、口を尖らせてスネている。


 へ〜〜!? 白樺先輩って、こんな子供っぽい所があったんだなあ! ……ちょっと……いや、かなり驚いた。


 このあと学校に到着するまで、白樺先輩から、ず〜〜〜〜〜〜…っと、プレゼントはなあに? ……って質問攻めにあった。


 いや〜、うるさかったあ〜〜!


 ……とは言え、目を輝かせてお願いをする白樺先輩はとても可愛らしく、悪い気はしなかった。

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