四章 10.交差

西展望台から大きな声が聞こえた。

待避所から展望台を見上げたが、人は見えない。

声が止んだ。


古沢が来ているのか。

藤子さんからの伝言は、西崖の待避所で、古沢を見張るように、との事だ。

待避所で、見張るという事は、西崖の桟橋に古沢が、現れるということだと考えていた。

しかし、上の西展望台で、何かあった。

待避所から、西展望台へ直接、崖を登る事はできない。

何か起こってからでは遅い。


脇道を通って北展望台へ回り、そこから西展望台へ向かうしかない。

須賀は、脇道を走った。


須賀は、脇道を北展望台まで上った。

周遊道を西展望台へ急いだ。

西展望台には、誰も居ない。

争った形跡も無い。

西展望台の東屋へ入った。

ベンチに腰掛けて、真っ暗な海の方を睨んだ。


微かに波が光る。海面に光が近づいて来る。

モーターボートだ。

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