第17話 何かご褒美があれば人は頑張れる
涼と美萌が朝7時というはた迷惑な時間に家に来たものだからドタバタしたが、準備だけ済ませてみんなは宿題を始めた。みんなはというのに俺は含まれていない。実は俺は二人が来るまでに全て終わらせてしまっていた。掃除とゲーム以外にやることが無かったから終わらせた。それを聞いた涼は、
「宿題をやろうって思うだけすごいよ…。」
と、ぼやいていた。今日家に来るまで宿題をやる気がなかったことが見え見えだった。
「っていうか、ほのちゃんもほとんど終わってない?」
突然穂香の課題の残りを見ていた美萌が聞いた。
「うん、裕司と一緒にしてたからね。」
そう、穂香は俺と一緒に課題をしていたためまだ完全ではないにしろ、ほとんど終わっていたのだ。俺も穂香の分からない部分を教えることで俺自身も結構良い勉強になるため助かっている。
「何気に二人って一緒にいるんだね。」
「え?ま、まあね。」
「でもそんなに頑張れる?」
「まあご褒美あるからね。」
「ご褒美?」
「食事とか、おやつとかね。」
「養われてるじゃん!」
言われて気がついた。俺はただただ穂香の世話をしているだけだと。
「ユージはそれでいいのかい?」
涼が聞いてきた。
「何が?」
「お世話してることにだよ。」
「まあいつものことだし別に構わねえよ。」
どうせ家の食費が一人分増えるかどうか、ほとんどそれだけの話なのでどうってことない。両親からの仕送りでほとんど生活しているし、余ったら貯金として使っていいと言われているのでその貯金がすこし減るだけなのでほとんど問題はないのだ。
「でも、ずっとそんな生活だったらほのちゃんが駄目人間になっちゃうよ。」
言われてみればそうだ。考えたこともなかった。親御さんにも失礼だ。穂香のほうを見ると穂香も少し慌てている。自分の将来を心配しているのだろうか。
でも考えてみれば、今まで穂香を駄目人間状態にしたのは俺だ。だったら最後まで責任を持てばいいのではないか。我ながらバカだと思うがそんな考えが頭をよぎった。
「穂香を駄目人間にしたのは俺だ。だったら最後まで責任持って世話してやるよ。」
気がつけばそう言っていた。なんで多少頭によぎっただけの案をあんな簡単に口走ったのか今でも分からない。
そしてそれを聞いた三人は一斉に黙りだした。穂香にいたっては頬を赤くしながらこっちを見つめている。
「ユージ、それってもうプロポー…」
「涼くん、それ以上は言わなくていい。」
涼の発言を慌てて美萌が遮る。何があったのだろう。
「まあいいや。それよりもお前ら早く宿題やれ。」
「「「はーい」」」
やる気があるか微妙な間の抜けた返事が返ってきた。
「そういえば、裕司は何するの?」
穂香が聞いてきた。
「ちょっと早いけど昼ごはんの準備にかかる。」
「じゃあ終わったら手伝うね。」
「おう、ありがと」
俺が礼を言うと穂香は優しく微笑んで宿題に取り組み始めた。
さてと、穂香も頑張ることだし俺も頑張って料理しよう!
〈あとがき〉
次回、ようやくお料理コーナー
4月に入っていろいろごたごたしてるので、更新は気長に待っていただければと思います!
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