第24話 束の間の平和

第24話 つかの間の平和


 ノーザンベースの中心部に位置する町にサチと子供達と共に3人は歩いて行った。その道中、5月15日に起きた悲劇について話していた。


「あの日、ここで何があったのですか?」


「少ししか覚えてないのですが、それでもいいですか?」


「はい!少しでも情報が欲しいので。」


「わかりました。では、少し長くなると思いますが話します。」

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 時は5月15日に遡る。ノーザンベースでは、祭りの準備が行われていた。そんな最中さなか終末レクイエムの一片が起きたのだった。


「あの日、私はお祭りの出店で出す予定だった『カルーの串焼き』の下準備をしてたのです。」


 カルーの串焼きとはノーザンベースでしか取れない鳥類(カルー)の肉を使った串焼きの事である。


「確か、5時を告げる鐘が鳴ったぐらいに森の方からのようなものが飛んできて、辺りを焼き尽くして・・・その後は全く覚えてなくて、気がついたら町がボロボロになってました。姿は熊の様な感じで、たてがみのような毛が生えてました。そして、この子達は親を亡くし、身寄りが無いのです。」


「そうだったんですね・・・・・情報ありがとうございます。その魔獣は僕たちが倒してみせます。」


「こちらこそ、ありがとうございます。いつかまたここに来る事があったら、お礼をさせて下さい。」

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 サチ達と別れ、船着場に戻ったリュール達は、


「今回の調査でわかったのは、ここを襲った極魔獣は炎を操る。もしくは炎を出せるかで、熊のような見た目でたてがみがあったと。」


「中央都に何人か生き残ってた人達がいたね。みんな、ここを復興させる!って言ってたからまた、来たいね。」


「そうだな。カルーの串焼きってのも気になるな。」


「まぁ確かに気になるけど💦そっちじゃないよ。ザザって食いしん坊?」


「違うわ!ここにしかないなら気になるだろ?だからさ。」


「まあまあ💦そういえば、調査が終わったら帰って報告しに行くんだっけ?」


「いや、報告書を書いて使い魔獣に頼むって言ってたぞ?」


「使い魔獣?どこにいるの?」


「ん?いるじゃんそこに。」


「ひゃぁ!?い、いつの間に私の足元にいるの!?」


「リューラ、やっぱり動物に懐かれやすいね。」


「動物と言うよりかは、友好的な魔獣に懐かれてるんじゃないか?」


「どっちでもいいよ〜それよりもこの魔獣ちゃん猫みたいで可愛い❤️この子に渡したら良いのかな?」


「そうみたいだね。早速渡そう。」


「あ!消えちゃった・・これで届いたのかな?」


「きっと届いてるはずだぜ?それよりも俺は眠い。」


「もう10時だもんね。船が来るのは明日になるみたいだから寝よう。」


「・・・・ふぁ〜・・おやすみ。」

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尭静ぎょうせい大高楼だいこうろうで、調査書をクロノスは読んでいた。


「あいつらの報告書に書いてある情報は正しい。よく調査をしたのだろう。だが、いずれ戦うことになるとは思わないだろうな。極魔獣の中でもだからな。被害の大きさからして、少し暴れ足りんかっただろう。リュール達が我々の計画を知り、止めに来るなら放つだけだ。」


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