第5話 ダンス・ダンス・ダンス。

喫茶店を改造したようなタバコくさい店で向き合った。

僕はこのジンジャーステーキにするけど。

私はキノコの和風ハンバーグにする。

それも美味しいですよ。


二人は一度も手を離さなかった。


もう会えないかな?

どうして?あったばかりなのに。

だってあなたは早稲田でしょ。


ちゃんと勉強して、いい会社に入って偉い人になるのよ。

早稲田じゃ無理ですよ。

僕はそもそも会社になんか入りたくない。

文学部じゃ就職ないっすよ。


今は演劇を学んでるけど、

将来はわからない。

演劇を学んでるから劇場に来てたの?

ニューアートの照明は面白いんですよ。


演出もハプニングの要素が

現代演劇の要素が入ってるんです。

「踊り子があなたの股間を襲います」

あの部分は特に。


渡たち、演劇で出会ったのね。

ストリップじゃなくて。


そうこんな美しい女性と。

このご飯は奢るわね。

そういう意味じゃないですよ。


ハンバーグを頬張る口元も美しかった。

美味しいでしょ。


彼女は目だけで微笑んだ。

バイトの時間は大丈夫?


実は僕も踊り子なんで、

一緒にどうですか?


え?

ディスコで踊ってるんですよ。

フロアを盛り上げるサクラなんですよ。


二人でチークダンスなんかしたら

お店からご祝儀もらえると思います。

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