四話 「手を握って……仁の手の体温が欲しい」


 桜がシロクマのぬいぐるみを抱きしめていて顔を隠していた。

 俺も少し離れたのところで座った。

「……―んっ」

 桜が深く息をし、ぬいぐるみに声の息が漏れていたのが聞こえてきて、チラッとこっちを見てきてすぐにぬいぐるみの方に顔を素早く隠した。その仕草と真っ赤になっていた桜が顔がとんでもなく可愛いかった。

 可愛すぎて今すぐ触れたい。

「――スゥ」

 俺は天所に上を向き眩しい蛍光灯に目を細めながら何度も息を吐いては吸い込みそして吐く。心音だけがうるさく自分の耳元が真っ赤だというのがわかっていた。

「じゃあ……触ってもいい?」

「……うん」

 桜が小さく頷いた。

 こんな桜の胸を堂々と触るなんて初めてだ。それで正しい触り方なんて知らない……。

 そのまま手を桜の胸の方に、

「――あっ! あぁっ」

 ギュッ!

 持っていたシロクマが俺の顔面に押し付けてきた。

「その……ごめん。後ろから、後ろからだったら大、丈夫だと思う……」

 桜がこっちに背を向けてきた。

「……本当に良いんだな?」

「うんいいよ。仁の体触れたら嬉しかったから仁が私の体で喜んでくれるなら……」

「……わかった」

 俺は今度こそ桜の方に体を伸ばした。

「――んっ!」

 背中が当たっただけだが桜の声が漏れていた。

 ブラのホックが、指先に当たり脇腹の方へと手を伸ばした。

「――っ!!」

「っ!!」

 その先に先程の肉付きから一瞬で柔らかいもの変わり指先の全神経がそれらを伝えていた。

「……っ! はぁ、はぁ……はぁ」

 これが、桜の……。

 そう思った瞬間。呼吸がどんどんと乱れていき冷静なんていうのはもう消えていった。

 そして両手で桜の胸を掴んだ。

「――んっ!!」

「あぁ……」

 想像以上に、思っていた以上に柔らかくそしてあったかった。

 少し指先にを動かすだげても柔らかいのが指に吸い付く。

 もう、心臓がバグったかのようにバックンバックンと高速で動いているのがわかった。

 胸だけじゃない。全身で桜の体温を感じたい。

「……もう少し、寄ってもいいか?」

「うん」

 こっちを向かずぬいぐるみに抱きつきながら桜は頷いた。

 桜の了承を得て俺は桜に近づき、体を桜の方によりかった。

 体制的に楽になり。さくらの胸がよりわかるような気がした。

「……ねぇ仁」

 桜が物凄い顔が真っ赤でこっちを向いた。

「手を握って……仁の手の体温が欲しい」

「わかった」

 桜の差し出された手を左手で手のひらを掴んだ。

 けれどなにか感触が違う。優しく、あったかい……桜の方を見るとまでの桜じゃなかった。

 顔をみると女性の顔。俺がこの世で愛している桜の表情をしていた。

「……桜」

「――っ!」

 思わず桜を名前が声に出してしまいそれを聞いた瞬間。さらに耳が真っ赤になっていた。

「仁っ……」

 桜がぬいぐるみから顔をあげ、

「……んっ」

 目を瞑って唇を突き出していた。

「――っ!」

 これはいわゆるあれだよな。キスだよな……。

 そう考えていた頃には桜の顔に近づいていて、俺もゆっくりと目蓋を閉じた。

 長年、夢にまでみた桜との念願の――。


 

『『お風呂が沸きました』』



「―――っ‼」

「――っ!?」

 その声につられて反応でビグッと驚いてしまい。桜の方も体がピョンと体が跳ねていた。

 二人しかない部屋を見渡していた。

 冷や汗が背中にじんわりと流れ出し冷えている。

 悪いことをしているそんな気分だ。

「……」

 さっきまでよくわからない気分と不安が交互に混ざり合って心臓がクルマのエンジンがかかっているかのように爆速に動いていた。

 あぁっ。お風呂が沸いたのか……。

 ようやく風呂が沸いたのだと落ち着けるようになった。

「……んっ」

 桜が手を強く握ってきた。

「――っ!」

「ちょっと恥ずかしいね」

「……そうだな」

「桜、先にお風呂入っていいよ」

「えっうん。……仁が先で良いよ。お風呂に今、入っちゃったらのぼせちゃうかも」

「……あっ」

 さっきのキスのが頭に過った。俺も多分、今は風呂に入ったら茹でタコみたくなってしまうかもしれないけど、今この場に桜と一緒にいたら多分ずっとキスのことが過ってしまい会話が出来ないかもしれない。

 それと心臓と思った以上にが敏感になってしまっている。

「……わかった」

 俺は着替えを持ってお風呂の方に向かい。体を洗って湯船につかった。

 思った以上に体が熱い……。心音がバックンバックンと鳴り響いて収まりどころがつかない。

 桜の顔の表情が脳裏に焼き付き何度もキスをしようとした顔にふと過ってしまう。

「あぁ……可愛すぎだろ桜」

 それと桜の柔かった胸の感触がいまだに残っていた。

「柔らかかったな」

 本当に想像以上に柔らかく。嬉しいかったという感情で気持ちが溢れていた。

「……熱っ」

 ずっと心臓が爆速で動いていて呼吸の感覚を忘れてしまう程だった。

「すげぇぇえ可愛すぎるだろ桜!!」

 一時間ぐらい入っていてお風呂でのぼせてしまった……。

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