第11話 旨旨!

強敵を倒して安心した途端にお腹が空いてきたよ


こんなこともあろうかと食料はいっぱい

用意してきたから安心したまぇ!


レトルトに固形燃料も持ってきてるんだけど

戦記ものでも戦場では火を使うことは注意しろという

からいまは我慢しよう


俺はもう少し森の奥に入って、岩陰になっている

窪地を見つけると、平らな所を見つけて座って落ち着いた


そうしたら魔銃のサイドにあるスイッチ類に

白や青の小さなランプが灯っているのに気が付いた


白は例の銀ボタンだったな

俺は白を押して薬室を開くと、もってきた円錐状で

サイズの割にとてもずっしりとしてる銀ボタンを装填した

青く灯ってるのはなんだろう? そう思った時に


セイフティという言葉が浮かんできた。


「あ~ もしかすると」 


そのスイッチを押してから銃口を上に向けて引き金を引いてみた

するとロックがかかっていて、弾が発射できなくなっていたんだ


これは銃全体にロックかけるための予備の安全装置だ。


「ということはひょっとすると・・」


俺は左手でランチャーのバレルを持つと、

ゆっくりと右手をグリップから放してみた 

いままでは銃のグリップを離せば銃がロックされると

同時に元の世界に戻っていたんだ。



「やっぱりだ やはり転送は起こらない


これでしばらくはこっちの世界を探検できるってわけだ よしよし」


更にマガジンキャッチまで黄色のランプが灯っている

マガジンキャッチを押して、弾倉を取り出して

みると残弾は2発しかなかった。


「おっと いっけねぇ マガジンがほとんど空だったよ」


え~とこのマガジンは20発入りだから、最初の戦いで2発 

ヘリに打ち込んだのが16発だったんだな

この銃はユーザーに親切設計だからきっと5発以下になると

黄色になって、残弾0で赤になるんだろ


そういえば、この手の銃撃シーンのあるマンガやドラマとかで

"お前もプロなら、自分の銃のマガジンの残弾を数えておけ"

とかいう台詞があるけど、いや~舞い上がっていて

そんなことすっかり忘れてたよ テヘへ・・


直ぐにマガジンポーチから予備弾倉を取り出すと装填した。


「さて、次の重要問題は何を食うかなんだけど・・・」 


バックパックにはすぐに見分けがつくように青や黄色に

色分けしたビニール袋に入れたレーションセットが幾つか入れてあった。


「う~ん どれにしようかなぁ?

あっ そうだ! せっかくだから俺はこの赤い袋を選ぶぜ!」


ゴソゴソやってスプーンなんかも一緒に取り出しすと

さっそく袋を破って、パクパクやりだした


「これはドイツ連邦軍のレーションでねぇ 

クラッカーやパテ主体なんだけど、ペーストだけでも

何種類か入ってるし、なによりデザートに板チョコや

ナッツバーなんかもついてるんだよねぇ 


単に飯だけのレーションとは違うんだよなぁ 

これにコンビニで買っておいたツナマヨ

おにぎりを付ければ無敵でしょう プフフフ」


俺はふんわりした苔をシート代わりにして、

飯をパクつきながら一人キャンプ気分を味わっていた。 


「んまっ! なにコレ 旨っ!!」


パラパラと上から木の葉が落ちてきてエルフの国みたいな感じだな

あんな戦いがあったなんていまだに嘘みたいだよ・・・


「あれ? あれれぇ?」


おれは舞い落ちる木の葉を見て、ちょっと妙なことに気がついた

あの攻撃ヘリをぶち抜いた強力な弾

だって威力の強い弾 それが砲弾であれロケット弾であれ

かならず反動というものがあるはずなんだ。


普通は弾ってのは炸薬の爆発力の力で進んでいくんだ

だけどその時には必ず作用と反作用というものが働くわけだ


砲弾ではそれは砲身の後退となるんだよな  

例えば、日露戦争とかの頃の映画で大砲を撃つと

ゴロゴロっと後ろに転がるけどあれは弾を

撃ちだした力の反作用で大砲が動いてるんだ。


もっと後では砲身がスライドしてその反動を

吸収するように改良されていって、拳銃なんかも

リコイルでその反動を吸収するようになる


そんで天才技師のブローニングはその力を次弾の装填に

利用するブローバックシステムを開発したんだ

無反動砲と呼ばれるロケット弾ではバックブラストを

噴射してビュ~ンと飛んでいく

だから砲身の真後ろに立っていたらブラストをくらうことになるんだ。


「それなのに、この銃はあんなに強力な弾を発射したのに

あんまり反動を感じなかったぞ! どうなってんだろ?

まさか、いくら異世界だからって物理法則を無視するってのは

ちょっと邪道じゃないのかなぁ?」


レーションを食べて腹が膨れるのと同時に、

俺の中で疑問も膨れ上がっていったんだ。







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