第12話 納得!

「う~ん 凄い威力なのに反動がほとんど無いなんて

そんな都合のいい弾なんてあるのかなぁ??」


俺はちょっと真剣になってこれまで見てき

た軍事やテクノロジーの記事とかを思い出してみた。


「あ~ そういえばなんかミリタリーじゃなくて

科学系のサイトで見たなァ

日本の宇宙探査機に凄い威力の弾が積まれてるって・・」


それは前に武器や軍事と直接には関係ない

宇宙関連のサイトで見た記事だった。


そういえば日本の探査機はやぶさ2が小惑星

になんか打ち込んでクレーターを作ってたけど

あの弾はえ~と自己満足じゃなく、 なんだっけ?


"自己鍛造弾(じこたんぞうだん)"


「そう! それそれ 自己鍛造弾」


俺はすっかり銃との会話に慣れっこになってきていた


するといろいろな情報が脳内にイメージされてきたんだ

得られた情報を全部見せると長くなるので、ちょっと

一問一答形式にしてまとめてみたよ。


教えて!アルマルージュ 

やっぱ気になるぅ? 銀ボタン弾のひみつ・・


Q

あの銀ボタンみたいな弾の正体は?

A

ズバリ! ハイパー自己鍛造弾


Q

そもそも自己鍛造弾ってなに?

A

Self Forging Fragmentsは強力な爆轟によってセット

されていた金属版が爆轟波の方向に絞り込まれるように

(ミスナイ・シャルディン効果による爆轟波の集中による

圧力)して球状に変形して飛び出して、目標の装甲を貫徹する


Q

衝撃が少ないのは?

A

発射時のエネルギーが砲弾となる金属ライナーの変形に

瞬間的に使われるため

その変形プロセスはわずか400マイクロ秒である


Q

はやぶさ2の自己鍛造弾はどうだったの?

A

JAXAのはやぶさ2に搭載されたインパクター(自己鍛造弾)は

質量2kgで直径13cmの銅製金属ライナーが打ち出されて

目標の小惑星リュウグウに直径10mを超える人工クレーターを作った


Q

このハイパー自己鍛造弾はどんな性能なの?

A

はやぶさ2のインパクターは速度2km/s(約マッハ5.8)程度だったが

このハイパーインパクターは火薬ではなく、小型レーザーの収束に

よる爆轟によって8km/s(約マッハ24)で発射される


具体的に運動エネルギーとしてF=maを用いると


インパクター

F=(2kg)×(2000m/s^2)=4000

4000N


ハイパーインパクター

F=(0.8kg)×(8000m/s^2)=6400

64000N


これは、はやぶさ2のインパクターの1.6倍の威力である


Q

速度だけであんなに威力があるの?

A

はやぶさ2の金属ライナーは銅製(比重約9g/cm^3)だったが

ハイパーインパクターの鍛造弾自体には800gの

Degenerate metal/縮退金属が使用されている


これは劣化ウランより比重が重い金属で鉄原子に

匹敵する非常に安定的な物質で毒性と放射性も低い

この超高密度金属がライナーに使われており

更に射出時にセルフシャープニング現象により

先鋭化しながら目標を貫通する



だいたいこんな感じのやりとりを銃としましたよ

語り合ったっていうところですかねぇ プフフフ



「あ~そうなんだ この弾は4cm程度の直径しかないけど

そこに巨大な運動エネルギーが集約されたから

ああして攻撃ヘリの機体をぶち抜くことができたんだな

こんな小さな弾が現在の120mm戦車砲の徹甲弾にも匹敵するんだ

完全に理解したのでヨシ!」


腹も膨れたし、気になってた謎もひとつ解けたので

俺はそろそろ辺りを調べてみようと思いたった

立ち上がって、キョロキョロと周りを見回してみたけど

どっちも似たような密林で方向も良くわからなかった。


「だけど、どうしようかなぁ? 無暗に歩き回るのは

危険だし地図も無いしなぁ」


そうしたら、なんか急に視界が暗くなってきたんだ。


「あれ? なんだろ 眩暈もしてないのに・・どうなってんだ?」


俺は呆然と立ち尽くしてしまった。











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