第10話 決着!

俺は木々の間を素早く駆け抜けると開けた場所に

飛び出してわざとやつらに身を晒した




上空で警戒していた攻撃ヘリは直ぐにこっちに気づくと

急速に右に旋回して機首をこちらに向けてきた



手の中の魔銃はエネルギーチャージが済んだのか

小刻みな振動を止め静かになっていた。


ズザッ



俺は急に立ち止まると左足を前に右足を引いて

立ち撃ちの姿勢でしっかりと銃をホールドして

銃口を上に向けて、敵ヘリが向かってくるのを待ち構えた



照準をサポートしてくれるドローンからのビジョンによって

エイムポイント(狙うべき箇所)であるヘリの機体の下部を

クローズアップして見せてくれている


ここまで、ほんの僅かの時間に過ぎないのにとても長く感じる

爆音も遠くにボワ~ンと響いて まるで耳鳴りがしてるみたいだ


攻撃ヘリは完全に旋回を終えるとホバリングして機首を

やや下げて射撃体勢に入った。


「やっぱりな 思った通りだっ! いけるぞ

 眼をそらすな 眼をそらすなっ! 俺!!」



真っ黒い巨大な攻撃ヘリはまるで空の支配者のように

悠然と空中に静止して、こっちを見下していた

機内のガナーはスコープで完全に俺を捉えているだろう



戦車上面の鋼板を打ち抜ける威力のチェーンガンが

銃撃するために鎌首をあげて俺を狙っているのが見える。



「よしっ! 今だっ!!」


カチッ! 


俺は魔銃の引き金を引いた。 


バシュン!!


空気を引き裂く 凄まじい音が響いて耳がキ~ンとなった

何か白く光る弾がグレネードランチャーから飛び出して

一直線にヘリに向かっていった。


ズガァガ~~ン!!


その直後に攻撃ヘリはその白い閃光に貫かれたんだ!


弾の打ち込まれたチェーンガンが搭載されている辺りから

ローターを回転させるエンジン部まで貫通して

機体から光る弾が飛び出していったのが見えたんだ


もちろん、普通の肉眼ではそんなの捉えられないだろう

ビジョンの助けがあるので見ることができたんだ。


グワァ~ン!


次の瞬間、航空燃料に引火したんだろう

ヘリは炎に包まれると大爆発を起こして落下していった

完全にコントロールを失ったヘりは炎を噴き上げ

折れたローターやハッチなどのパーツをバラバラと

落としながら密林の中に墜落していった。



ポ~ォォウ!!


弾幕弾が再び発射されて、爆発し飛び散るヘリの破片から

俺を守ってくれた


ゴォゴォ~


そして積んでいた弾薬が誘爆を起こして、怪鳥の断末魔の

叫びのように爆発を繰り返して大きな黒煙を上げた。


「はぁはぁ やった・・・やったぞ」


撃つのが一瞬でも遅れていたら、俺のほうが引き裂かれていただろう

だけど不思議と突き上げるような喜びは無かった

だから勝利の雄たけびもガッツポーズなんかもとる気になれない

ほんと、ホッとした安堵感 ただそれだけだったんだ・・


興奮した時に分泌される脳内物質 βエンドルフィンは

モルヒネ以上の高揚感や沈静作用があるっていうけど

まさにそれだ 興奮が冷めると急に力を抜けてきたよ


俺は膝から崩れてヘタリ込むと燃え上がる墜落地点を呆然と眺めた。


暫くして、俺は開けた場所に留まっているのは

危険だと思って、また木の間に身を潜めた


昼でもうす暗い巨木の間に入ってようやく落ち着いてきたので

さっきのシーンを思い出してみた。



「ふ~ なんか10Lv分くらい一気に経験値を得た感じだなぁ・・

 だけど、あの白く光る弾は一体なんだったんだ・・?」


現用の軍用ヘリでも、最も狙われ易い機体の下部は相当に

強化されていて主に輸送用のUH-60ブラックホークヘリでも

ブローニングM2やデグチャレフなんかの12.7mm重機関銃の

射撃に対しても耐えられる設計だといわれている


まして、あのヘリは元の世界の攻撃ヘリよりもかなり進んでる



「そんな装甲をぶち抜いて、更に機体を突き抜けて飛び出すなんて

なんて強力な弾なんだろう・・」


ぐぅ~~


これは? 安心したら急に腹が減ってきたSignだぞ。





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