【魔界遺産】竜騎士と勇者騎士【レグ×プラ】


「ダーク」


 ひとしきり話に区切りが着いた頃、シルヴィがダークに駆け寄った。


「シルヴィ、やっと会えた」


 感動の再会までに命の危機がいくつもあったので、とにかく皆無事でよかった。抱き合うときも決して娘シャインの手を離さないシルヴィを見てダークは反省した。


「オレが目を離したせいでシャインを危険に晒した。ごめん」

「シャインはそういうとこあるのじゃ。思い立ってから実行までにおよそ無駄がない。余も度々出し抜かれてきた。幼子と思って侮ってはならぬ、レベチぞ」

「レベチ?」

「ヤバい奴ってことよ。後の太陽魔界を背負って立つ大物になるんですもの。あのジークちゃんを太陽騎士にお迎えしちゃうんだから大したものよ」


 この父とこの母から産まれたとは思えない優秀な人材よ☆とは流石にディープも口にしなかったが、ダークもシルヴィも同じこと思ったので、口に出してても問題なかった。


「でもね、ヴァインがまだうんって言ってくれないの」


 お手柄と褒められてもまだ目標の達成には至らない。


「ヴァイン。お前何で急に勝手に大人になってんだよ」

「愚問だな。ダーク」


 ヴァインは薄っすらと笑ってダークを見下ろした。


「君がもう少し早く着いていたなら、違う未来もあっただろうね?」

「ぐ、なんかムカつくな全面的に嫌味か」


「ヴァインはシャインを守ってくれたんだよ」

「いつだってお姫様の真実の愛は呪いを晴らすものだからね」

「なあアイツムカつくから殴ってもいいか」

「ダーク、我慢じゃ。返り討ちにあうぞ」


 ヴァインはまだ回復待ちのジークに視線を移した。


「竜騎士の有言実行には恐れ入るよ。実際彼が九割は持っていった。残り一割すら少年体では凌げなかっただろうからね。守りきるためにはこれしかなかった」


 それでも前回は同じ威力で魔界勇者ブラッドは消し飛んだ。やられる前提で挑んだからか。守るものがある時の方がずっと強い。


「ヴァインもシャインの騎士になってよ」

「君は優しいね。こんな罪人にも情けをかけてくれる」


「は。オレも罪人だが?」


 ダークはシラケた顔でヴァインをみた。


「…………そうだね。君は面の皮が厚いところがあるよね」


 罪人のくせに太陽騎士だなんて栄えある名誉を。否。絶世の美女シルヴァンス・ソレイユを娶ったんだからもう誰より高慢ちき野郎と言って過言ではない。


「どういう神経してるのかな」

「関係ねえだろ。オレがどうであろうと相手が望んでくれてるなら。断る方が頭おかしくない?」


「そーよそーよ。断るなんて頭おかしいわ」

「おやめなさいディープ。太陽魔界の品格が疑われます。本人の意志を尊重しなさい」

「断るなんて頭おかしい♪」

「貴女は一応太陽の部外者なので何を言っても自由です」


 オレットちゃんのジャッジをくぐり抜けたのでル・シリウスはディープにピースサインをして見せた。イヤイヤ期のヴァインを太陽騎士の椅子に座らせるためのチームプレー、ここで手を弛めるいわれはない。


 ゴルダも何か太陽魔界のために一言添えようか思案したが、部外者ではないので黙ってた方が無難か。


「自分の頭がおかしいことくらい知っているよ」

「そうじゃなくて。お前だって、自分の意思でシャインを守ったんだろって話だ。誰も今さら過去の罪状をとやかく言って難癖つけたりはしないのに、いつまでもグズってんなよ。身体だけ大人ぶっても中身がずっと幼児なんだよな」


「パパ!」


 ダークの足許でシャインがぷんすこしていた。


「ヴァインをイジめるパパなんかきらいだからね!」


「!!!!!!」


 ダークにクリティカルダメージが入った。これではもうダークは戦えまい。


「……言いすぎました……すみませんでした……」


 あまりにも打ちひしがれていたのでシルヴィはダークを不憫に思い目頭を押さえた。その一瞬の隙、目の前にまっすぐこちらを見ているブラッドがいたのでたまげた。


「王よ。」

「なんじゃ!?」

「君はずっと僕を恐れているのだろう? 君は僕なんか太陽騎士にそぐわないと言ってくれるよね」


 太陽魔界のトップソレイユがノーと言えば雑魚ダークがガタガタ騒ごうが関係ない。


「余が恐れておるのは魔界勇者ブラッドであってヴァインレッドではない」


「同一人物だけれど」

「そうじゃな。しかしヴァインよ。ダークとの旅やその後の諸々、特に、シャインとの交流は有意義であったか?」


 じっとお姫様が大きな目で見ている。


「……はは、参ったな」

「だから言ったろヴァイン。めんどくせえし勝ち目ねえから。抵抗するだけ疲れるだろ」


 ヴァインは空を仰ぐ。キラキラの星屑がそこにはずっとある。まるで夜空だ。夜明けを待つ幾星霜もの欠片たち。ざわざわと広がるステージが呼んでいる。


『勇者様は私たちの光なんです』


 こんな紛い物を光と信じて使い捨てされた哀れな魂たち。


『勇者様。お役に立てて嬉しいです』


 ──僕もだよ。僕も同じ哀れな魂さ。存分に使ってくれたまえ。



「シャイン・ソレイユ」


 跪く姿に小さい太陽はあたたかくにっこりと笑った。


「君との有意義な時間に忠誠を」



 ✂︎-----------------㋖㋷㋣㋷線-------------------✂︎


【レグ×プラ】


「勇者騎士ゲットです!! 魔法使いプラウです」プラウ

「幼女おそるべし。戦士レグルスだ」レグルス


「大人姿ブラッドモードのヴァインはですねえ、だいたいいつも悠然としていて、ゆったり圧をかけてくる感じの悪役オールフォーワンですね」プラウ

「特にダークに対していつも煽りを忘れない」レグルス

「こんなの父親だったら最悪です」プラウ

「しかし一方で、どんなピンチの時も泣き言や文句のひとつも言わない鋼のプライド持ちでもある。死ぬ瞬間まで相手に嫌味を言えるクソ野郎だ」レグルス

「敵にもしたくないですね」プラウ

「そんな奴がひたむきに幼女を守って自分のすべてを捧げていくとか、ちょっと萌えるな」レグルス

「急にギャップ萌え!?」プラウ

「しかもおくびにもださないだけで、内心脳内ではこどもヴァインみたいにジタバタしているかもしれないと思ったら堪らないな。この先ヴァインがカッコイイ場面になる度に副音声がきこえるわけだ」レグルス

「腐女子眼鏡みたいな特殊フィルターじゃないですか」プラウ

「これが解像度だ。」レグルス


「一方竜騎士は」プラウ

「本当は竜騎士の話まで一気に書きたかったんだがまたも字数が」レグルス

「前回1ページあたりの字数目安を書きましたが、あれは初稿の目安です。主にセリフだけ並べて大体の流れだけ垂れ流してる状態」プラウ

「あとから地の文を書き足していくからどんどん増えるわけだな」レグルス

「今回は最初からちゃんと地の文意識して書いたので推敲も楽だと思います」プラウ

「甘いぞ。推敲は永遠に終わらないんだ」レグルス

「延々?」プラウ

「永遠」レグルス


「これからも永遠に「『再見』」」レグプラ

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