【魔界遺産】構文エラーと例外【レグ×プラ】


 感情とは厄介な獣だ。自身の中でいかに飼い慣らすかを求められる。すぐに沸騰する情熱的なそれを、ただ闇雲に放っては知性はないし、品格もない。結果ついてくる代償と責任を先に想像くらいできる程度には余裕が欲しい。


 ぺットの躾もできないようでは笑われてしまう。誰に?


「自分自身にだ」


「は、貴様はさっきから何を」

「うっせえな。人生はいつだって自問自答。この決断は誰のせいでもねえんだよ」


 抑えようとして、余計に滾る。眼光が赤々と揺れた。


 自分が何者で、どこでどうしてきたかもわからないというのに。こうも簡単に心は起動してしまうものだろうか。起爆剤。いや、どちらかといえば太陽だ。


「ああそうか、夜空で一番眩い星が。どんなに涼し気に見えたとして。太陽と同じ」


「ごちゃごちゃと、」

 シンセカイの覇者は『飼い慣らすことを放棄した狂犬』を丸出しに牙を剥いた。やはり知性も品格もない。強者の風格はあるが、そんなのは相手をビビらせるためのハッタリと大差がない。こちらが退かなぃ場合にはあまり意味がない。思考は単純で感情を放し飼い、さしたる策もなし。


 相手のことはこの際どうでもいい。問題はこの手にどれだけの破壊力があるかがまったくの未知数ということだ。壊れやすい、というか既に粉々に砕け散ってしまった硝子の世界を再建するという目下の方針がある以上は、迂闊な真似で好き勝手はご法度だ。


 だというのになおも湧き立つ魔力が留まること知らない。ステイ、いったん落ち着け。


 ル・シリウスからの火種でこうも簡単に燈る、チョロインじゃねえんだわ。燃え上がった篝火を掲げ、そして包み込む。鎮火ではない。覆い尽くして見えなくしただけで熱はちっとも引いてなんかはいないのだ、それを知ってるのは自分だけで周りには悟らせない。さて。優しく大事に愛情を込めて。無限を一点に集める。


「今度はちゃんと一撃で仕留める」


 目を閉じて。魔眼は開かれる。見えざるものが本質として形あるものに描かれる。もうどこを狙えばいいかはわかっている。


「玩具の銃を大事にしねえとな」


 耐久性が最低ランクの武器で。針の穴に糸を通すような無音のBang。


 気が付くと無様な大の字で倒れている敵がいた。ル・シリウスは瞬きをした。


「アレ? もしかしてだけど、もう倒した?」

「もしかしなくてもとっくに倒してやったわ」


 だから感謝しろよ、と恩着せがましく宣うつもりだったのに、憎まれ口より先に駆け寄ってきた満面の笑みに余計な言葉は引っ込んだ。


「偉い! さっすがジーク、男前」

「アラアラ、ル・シリウスちゃんてばご機嫌ねえ」

「くうぅ、オイラも早く役所魔界再建を果して褒めちぎってもらいたいッス」


「最後ぜんっぜんいつ倒したかわかんなかった、すごい静かで。きっとお見事な一撃だったはずなんだ」

「そっちだべってばっかで見てなかったんだろ」

「だとしても。アタシが見落とすとか見逃すとか、ホントありえない。アタシはアタシを信じてる。ジークはアタシよりやっぱ凄いんだよ」


「……嫌味抜きに人を褒めることも出来るんだな」

 これは素で感心した褒め言葉で嫌味ではない。本当だ。


「素直が一番だよ。貶すときも褒めるときも思ったままに」

「貶すときも素直って一番痛えわ」


「何にしても良かったわねえ。一安心よ」


 ディープがうふふと笑って、シンセカイの覇者が塵と化して混沌に還るのを見届けた。


「ディープは何にも心配してなかったじゃん」

「そおね、この程度でわたわたしてたら身が持たないもの。ちょっとじっとして、可愛いお顔が台無しよ」


 ル・シリウスの顔を水で洗い風で水滴を飛ばした。理屈は簡単で単純な元素魔導だ。ささやかな。微力な。


 目の当たりにしたル・シリウスとジークが黙り込んでしまった。


 ディープは丸腰で手ぶら、武器もアイテムも一切所持していない。最初から。今も。


(杖も本も無しに複数属性を)

(相手に怪我をさせない適度な加減で)

(まるで手足のように当たり前に)


(使いこなしているなあぁぁぁ……)


「ときにディープさんは、どこでナニシテル人だったのかなあ。。自己紹介?とか、さっきはちゃんと挨拶出来なくてえ」

「いやねんル・シリウスちゃんたら。急に他人行儀なんだからぁ」


「ジークより? 強かったり?」

「俺をモノサシの基準にするな」

「やぁだ、あたしってば基本は非戦闘員みたいなものよ、ジークちゃんには誰も敵わないわ」

「は? 背中が弱点の変態なのに?」

「おい、急に俺の強さを疑うな」


「世界がこんなですものね。今さら何を隠そうって魂胆もないわ。あたしは貴女の味方でいてあげる。なんでもきいてちょうだい」


 やんわりと女神のように微笑むオカマに。ル・シリウスは真顔になった。


「絶対だぞ。裏切ったら


 ✂︎-----------------㋖㋷㋣㋷線-------------------✂︎

【レグ×プラ】


「コンプライアンス。仮に口にしても放送しなければ大丈夫、プラウです」プラウ

「悪い、よく聞こえなかった。もう一度巻き戻していいか、レグルスだ」レグルス


「やめてください。お茶の間のビデオじゃないんです」プラウ

「今はもばいるではいしんされてるどうがをみる時代だろ」レグルス

「自分でもよくわからないことを知ったかぶりで言おうとするからそういう顔になるんですよ」プラウ

「もばいるってなんだワカラナイ」レグルス


「ディープが仲間墜ちしたのでもう勝利確定ですね」プラウ

「え。待て。ここそんな大事な回なのか」レグルス

「トランプにおけるJOKERなので勝ちです」プラウ

「ババ抜きだったら負けじゃないか」レグルス

「最後に手元になければいいだけです」プラウ


「とりあえずエースの話からしよう」レグルス

「ところがあれはキングなのです」プラウ

「???」レグルス


「次回、作者は『かれここ』を書きたがっている」プラウ

「これは予告じゃなくて願望だな」レグルス


「「『再見』」」レグプラ

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