第2話誕生

今の地球の遥か未来。科学の代わりにアーティファクトという魔法の道具が日常的に使われるようになった時代。多くある国の一つであるシリウス帝国のとある村に、一人の少年が生まれた。


「おぎゃあ、おぎゃあ!」


よくある一軒家の階段を誰かがどたどたと駆け上がる音が聞こえる。


「シル!」

「ああ、ヴァリス。生まれたわよ。元気な男の子よ。」


母親と父親が話す声が聞こえる。


「そういえば、この子の名前は決まったの?一晩中考えていたんでしょう?」

「ああ、決まったよ。この子の名前は…。」



八年後、アルベガは立派に育っていた。今日は知り合いと釣りに出かけていた。


「この魚はクラードフィッシュっていって、食べると美味いんだよ。」

「そう?じゃあ持って帰ったら母ちゃん喜ぶ?」

「喜ぶと思うよ。」

「よっしゃー!」


アルベガが釣り上げた魚を持ち帰るたび、母親のシルはとても喜んでいた。


本人曰く、「毎日釣って来るので、飽きないように、調理法を毎回かえないといけないのが難点ですけどね」とのことだ。


食べられる魚を毎日釣って来るというのは至難の業であり、そんなことができるのは、やはり釣りに詳しい知り合いのおじさんの存在があってこそだろう。

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