第34話⁂彩が死亡⁈⁂


一九八〇年代後半の事だ。


章も小学生高学年になり母のリンダは、ヨーロピアン風「カフェレストラン・ポエム」を知多半島の高台の海沿いにオープンさせた。



遡る事半年前の冬のある日の事だ。

雅彦は、やっとの事リンダのマンション〔★グランドメゾンU〕を探し当て、ある日〔グランドメゾンU〕の向かいの喫茶店でリンダの帰りを待っていると……。


夕方五時頃リンダの姿がマンションの前を横切ったので、慌てて喫茶店を後にして、リンダに声を掛けた。

「リンダ久しぶりだね!」


リンダは、いかにも不愉快そうな顔を向けたが、章が待っているので出歩く訳にもいかず、まだ離婚している訳でも無いので仕方なく自宅マンションに上げた。


すると……章は幼い頃に別れていた父では有ったが、父を覚えていたらしく、久しぶりに会った父に飛び付いて喜んでいる。


「私も今レストランの共同経営をしないか、と話を持ち掛けられているのよ。忙しっくて、てんてこ舞い!」


「騙されているとか………?そんな事は無い?」


「アア…もう工事に入っているから心配ない!…ところで…何よ?話って?」


「…俺……俺…親と別居するから……お願いだ!一緒に生活しよう!それから……オヤジもそんなに長くないと思うからさ~?」


「それどういう事?」


「胃がんでステージ四だから、もう何年も生きられないらしいんだ?」


「本当に~?それは大変だわね?」


「お願いだ!もうオヤジも長くないし、お袋とも別居するからさ~」


「……あんなお父さんだったけど時期を見計らって、私も近くに引っ越すわ!」


「そうだね!スープの冷めない距離に家を建てよう!」


こうして家の一大事、スープの冷めない距離に引っ越した、三人の生活が始まった。


◇◇◇◇◇◇

一九九一年新年早々〔佐々木不動産〕が〔SKリゾート〕の伊勢志摩に有るリゾートホテルに招待された事が有った。


それは〔佐々木不動産〕に〔SKリゾート〕が土地を高値で購入して頂いたお礼方々招待したのだ。


その時に父親で〔佐々木不動産〕社長の雅彦に連れられやって来た十一歳の章と〔SKリゾート〕史郎の父で社長Ⅹ氏に連れられやって来た九歳の鈴子が、お年玉とお気に入りのお土産が貰えるのでやって来ていたのだ。


その時に章と鈴子は顔見知りになり、以降も折にふれて会っていた。


だが………それ以前に、美しい鈴子の母彩と章の祖父大蔵は、度々仕事関係で会っていたのだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇


「ナッ何を!ナニヲ!ナサルノデスカ――――――――ッ!オヤメクダサイ!キャッ!キャ-――――――――ッ!」


「ウッフフフ~」


「キャ――――――――ッ!」


恐ろしい事に――――

鈴子の母彩は、殺害されたのだ⁈













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