第33話⁂共同経営!⁂
大蔵の異常性、それは幼少期から既に現れていたに違いない………。
また大蔵の孫である章の妻や子供達が火事で亡くなった事も、大蔵の異常性が関連しているのか?
それを紐解く為にも、過去の諸々の事件の謎を紐解く必要がある。
それには先ず、リンダを付け狙う怪しい影と靴音の正体。
一九八〇年代の事だ。
コロナウイルス等が発生している訳でも無い時代なのに、冬でも無いのに目深に帽子を被り、マスクで顏を覆っている人物など皆無に等しい時代。
けれどもいつも逃げ足が速いので、ハッキリは分からないが、薄っすらとではあるが、見掛けると必ず帽子にマスク姿なのだ。
それなので、男女の性別すら困難なのである。
只女性にしては高身長で短髪な為に、男性と思わざるを得なかった。
犯人は一体誰なのか?
全く犯人の正体が分からない。
只々不気味な影に怯えるリンダ。
そんな時に、リンダはいつもやってくる迷惑な男、リンダの勤務先〔レストランFarm garden日間賀島店〕社長横井に目を付けたのだ。
頻繫に食事の誘いとプレゼント攻撃で訪れる、煩わしい横井なのだが{そうだ!こんな時こそ力になって貰おう!}
そう思い、今のこの恐ろしい現状、歩いていると感じる不気味な影と靴音の事を全て話したのだ。
横井にして見れば自分が大切に思っている女性の一大事。
{スト-カ-被害で殺されでもしたら大変!}
心配になりリンダの日常行動を見張った。
すると早速、後を付け狙う人物の正体を発見。
「エエエエエエ―――――――――――ッ!アアアアアアッ!アレは?‥アレは…!}
真っ青になる横井!
横井が真っ青になったという事は………それは横井がよく知る人物という事になるが………?
それは一体誰なのか?
◇◇◇◇◇◇◇◇
{アアアァ―――ッ!横井が憎い!結局私と結婚したのは、私の父で日本料理界の重鎮〔割烹・味庵〕の暖簾が欲しかっただけなのね。父直伝の秘伝の料理を教わって、やっとのこと世間様から、日本の料理界の鉄人とまで呼ばれ、認められるようになったのに………?誰のおかげなのよ。あれだけ父にお世話になっておきながら、父が死んでしまえばもう私の事等どうでも良いのね………?また元の悪い癖が出て、私をないがしろにして………それではあんまりじゃ~ないの!この裏切り者、許せない!残念な事に父は去年糖尿病の悪化で、あっけなくこの世を去った。父が死んだ事を良い事に、早速あんなに美人の〔レストランFarm garden〕きっての美人に手を付けるなんて、許せない!絶対に!絶対に!アアアアアアア―――――――ッ!許せない!}
こうして横井の妻美智子が、リンダの跡を暇に任せて付け狙っていたのだ。
「あなた、〔レストランFarm garden日間賀島店〕に勤めているリンダって娘と付き合っているでしょう?お願い別れて!」
「バカだな~そんな事は無いヨ!只の従業員だけさ!」
「だって~?私知っているのよ。あなたが頻繫に彼女のマンションに入り浸っている事?もしこれ以上続くようだったら、私がこの〔割烹・味庵〕の実質上の社長で全ての権限を継承されているのだから、只の名目上の社長のあなたなんか追い出してやる!」
「お前―――ッ!誰のおかげで〔割烹・味庵〕や系列のレストランが繫盛していると思っているんだ。全て俺のこの腕と、経営手腕が物言わせている事を忘れるな!お前のような子供も産めない、冴えない女と結婚してやったのに!」
こんな事を言われた美智子は、自分の一番言われたくない真実を言われて、プツン!と張りつめていた糸が切れたのだ。
{確かに私は、子宮癌で子宮全摘出手術を行ってしまった為に、子供の産めない身体になった。そんなこと言ったって仕方ないじゃないの、摘出しないと死んでしまうかも知れなかったんだから?・・・それなのに思いやりの言葉どころか『子供も産めない女だと―――ッ!』散々父からノウハウを教わってここまで成れたのに……その恩も忘れて女狂いの果てに『子供も産めない冴えない女だと―ッ!』お前のようなブ男こっちからお払い箱だ!父が『才能のある男だから、あの男を婿にしろ!』半ば強制的に結婚させられただけだ。チェ―ン店を見渡せば若くて有能なイケメンは幾らでもいる。『私が結婚して』と言ったら首を横に振る男などいない。分かったか!}
こうして美智子は離婚に踏み切った。
最初はリンダの事を、自分の旦那に手を出す女狐ぐらいに思って、疎ましくも迷惑な女ぐらいに思っていたのだが、存外、利用価値が有ることに着目した美智子。
それはどういう事かと言うと時代はまさにバブル全盛期。
店を出せば金になるそんな浮かれた時代。
評判の『ホテルパシフィックOCEAN・内海』の売れっ子スターリンダが、まさか自分の店〔レストランFarm garden日間賀島店〕の店員如きにクスぶっていた等、知る由もなかったのだが、夫の浮気相手かも知れない女の存在に気付き、チェックし始めた矢先に、あの『ホテルパシフィックOCEAN・内海』の売れっ子スターリンダと分かり、これはまたと無いチャンスと思い、付け狙い、様子を伺い話しかけた美智子。
こうして仕事は出来るが女好きな夫横井と離婚をして、リンダと共同経営の『レストランポエム』をオープンしたのだ。
それはこの一九八〇年代は、ディスコソングを振り返る前に、まずは八〇年代の東京のディスコシーンはどのようなものだったのか、
バブル全盛だった一九八〇年代、ディスコの象徴的存在といえば、高級ディスコチェーン「マハラジャ」
豪華な内装、煌びやかな照明、何よりも抜群な音響は、まさに現実離れした大人の空間、また服装チェックや男性同士の入店禁止など、敷居が高かったことも有名だった。
そのため、ディスコデビューは気軽に入ることのできる新宿のディスコで、という若者が多かった、中でもキーホルダーが会員証だった「ゼノン」や「ニューヨークニューヨーク」、通称ディスコビルと言われていた東亜会館のお店が有名だった。
そんなディスコブ-ムに乗り、芸に秀でたリンダを採用して、商売を盛り上げようと考えた美智子。
そこで歌って踊れる華のあるリンダとタッグを組んで、名古屋市中区にディスコ【クイ-ン】をオープンした。
そこで店のマネージャーとしてドリンクやおアルコ-ルの提供、更にはダンスを先導する役目、また生バンドを招いてディスコソングを歌って踊っての、リンダのショ―も月一で行なわれた。
生演奏でのディスコソングは、それはそれは迫力があり大盛り上がり。
当時流れていたディスコソングは、アバ の ダンシング・クイーンが有名。
リンダは、ダンシング・クイーンを歌い踊り、場内を走り回り、お客様を喜ばせ盛り上げた。
夜な夜なフラッシュダンスやブレイクダンスに明け暮れた大舞踏会。
✶ワンレン髪と高価なボディコンドレス
そしてメルセデスやBMWの馬車で送られた先には
眩しいくらいに華やかな宮殿ディスコ✯
⭐ユーロビートの大舞踏会が毎夜毎夜
大理石のお立ち台に上ったシンデレラたちは
宮殿に仕える男たちに見守られながら
夢とロマンスが流れる時間の中で踊り狂った✶
それは午前零時の約束の時間(風営法)まで続いた。
こうして、すっかり美智子のお気に入りとなったリンダは、やがて共同経営の話を持ち掛けられ………。
知多半島の高台の海沿いにヨーロピアン風「カフェレストラン・ポエム」を共同経営でオープンする事になった。
そのレストランで、歌って踊れるリンダのデイナ―ショ―が週末に行われ大盛況。
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