第28話⁂章と鈴子!⁂



「悪かった許してくれ!もう終わりにしよう」

雅彦の衝撃の一言!


丁度その時、この昭和レトロな喫茶店の有線から、あの当時一世を風靡した山口百恵の横須賀ストーリーが流れてきた*✰・*✶


何ともセンセ―ショナルな………イントロが鳴り響いたかと思うと・・・

トランペットとエレキの融合で都会的かつ洗練された⋆⋆ブル―ライトに輝く港町横浜が、パ~ッと蘇る。


丁度その頃、1970年代後半「横浜トラディショナル」の略でハマトラファッションが一代ブ-ムを巻き起こした。



更には、横浜中華街や横須賀中心部にあるスカジャン発祥地、どぶ坂通りは異国情緒あふれるディ―プな街並みである。



真夏の太陽と海が眩しい横浜🌊

夜の帳が下りる頃、ディ―プな都会的な大人の世界、ナイト&ミッドナイトタウン⋆⋆ヨコハマ・*⋆✶



 🌌⛵ 🎺 🎸~~🌊~~~~~🎵👠 🕶️   

「悪かった許してくれ!もう終わりにしよう」


「エエエエ————————ッ!」


””ガガガ――――――――ン””


そう言って彩の言葉も聞き入れずに、百万円の入った封筒の束をテーブルに置き、彩を振り切り喫茶店を後にした雅彦。


「マママッテ――――――――ッ!」


必死に後を追う彩。


だが雅彦は泣き叫ぶ彩を置き去りに、超高速で大都会東京の煌びやかな夜景の、美しさに吸い寄せられるように消えてしまった。


「どんな事をしても雅彦を離したくない!その思いだけに囚われて来た私の一番恐れていた事が起こってしまった。雅彦~何で私から離れて行くの~?私が何をしたって言うの~?私は只々愛する人と幸せになる事だけを望んでいたのよ。その為に雅彦を大切にしようと全力で頑張って来たのに、何でこんな目に合わなければならないの~?お願い帰って来て――――――――ッ!」


恋愛には三者三様の、自分に都合のいい正義が有る。

その為取り返しの付かない悲劇が、日夜繰り返されている。


こんな急に、何の前触れもなく別れを切り出され、彩のショックはいかばかりだった事か………?

「これからは実務補修所終了の試験が待っている。公認会計士の仕事に打ち込みたいからもう会うことは出来ない。別れてくれ!」


理由にもならない理由で別れを告げられ、呆れて空いた口が塞がらないどころか、てんで話にもならない、と言った状況の彩。


到底諦められる訳もなく、早速連絡を取ろうと雅彦の実家に電話したのだが、{もう家にはいない}との言葉に啞然とする彩。


一方の雅彦とリンダは結婚する為に、あの父大蔵に知られるのを恐れて、連絡場所も教えず同棲を始めていたのだ。



彩は死にもの狂いで何とか、雅彦との連絡手段は無いものか、必死に模索し続けるが………?


それから……またあんなにデパート狂いだったリンダも、最近はトンと✰三光百貨店に顏を出さないし、雅彦との連絡を完全に断たれた彩は、ショックのあまり食事も喉を通らず、更には夜も一睡も出来ずに、異常な精神状態に追い込まれてしまったのだ。


身体は日増しに衰弱してやせ細り、尋常な精神状態ではなくなった彩は、等々この苦しみから逃れるために、睡眠薬を大量に服用して自殺を図ってしまった。


だが、彩の異常にいち早く気付いて居た男が居た。


それは、誰有ろう、あの時彩が気分が悪くなって退社した日に、女子寮に様態を心配して訪ねてきた上司で、✰三光百貨店の近藤という人事部の係長を務める彩の上司だ。


前々から異変に気付いていて、あの日も{何か有れば大変だ!}

そう思い、様子伺いに出向いていたので、事なきを得たのだった。


この近藤史郎と言う男、実は彩に密かに思いを寄せているのである。

だが、彩が結婚した相手はリゾート開発を手掛ける会社の、社長の御曹司だったのでは………?


実は〔SKリゾート〕の御曹司である長男が、飛行機事故で運悪く亡くなってしまったので、次男✰三光百貨店勤務の近藤史郎が、跡を継ぐ事になったのだ。


こうして不幸から一転、何が幸いするか分かったものでは無いのだが………?

雅彦に捨てられ地獄の責め苦に有った彩ではあったが、以前から彩に好意を寄せ、密かに彩に思い焦がれていた✰三光百貨店人事部の係長史郎の優しさと、度重なる厚いラブコ-ルに、次第に傷も癒え超玉の輿に乗った幸せ者なのだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇

時代はまさにバブル全盛期。

【バブル景気は、好景気の通称で景気動向指数(CI)上は、1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までの51か月間に、日本で起こった資産価格の上昇と好景気】


バブル期に建設・不動産・ホテル業界は、リゾート地やゴルフ場を次々と開発した。


この〔SK建設〕改め〔SKリゾート〕✰三光百貨店人事部の係長近藤史郎一家もご多分に漏れず、元々は大手建設会社の下請け業務に従事していたのだが、うまく時代の波に乗り、あいにくそれまで見向きもされなかった土地を、大量に所有していた為に相当な価格で取引されるなど、地価の上昇に拍車が掛かり、好景気と共にホテル建設、リゾート地やスキ—場、ゴルフ場を次々と開発していったのだ。



一九九一年新年早々〔佐々木不動産〕が〔SKリゾート〕の伊勢志摩に有るリゾートホテルに招待された事が有ったのだ


それは〔佐々木不動産〕に〔SKリゾート〕が土地を高値で取引して頂いたお礼方々招待したのだ。

〔SKリゾート〕にして見れば、あちこちのリゾートホテルやスキ—場、ゴルフ場の上客で尚且つ、土地購入に尽力して下さった上客中の上客。


その時に父で〔佐々木不動産〕社長の雅彦に連れられやって来た十一歳の章と〔SKリゾート〕史郎の父で社長Ⅹ氏に連れられやって来た九歳の鈴子が、お年玉とお気に入りのお土産が貰えるのでやって来ていたのだ。


〔佐々木不動産〕と〔SKリゾート〕は仕事関係で深い繋がりが有るので、父雅彦とⅩ氏は、何やら雑談中。

その時に章と鈴子は顔見知りになり、以降も折にふれて会っていた。


だが……受験勉強に追われ、又公認会計士の勉強などで忙しく、自然と会わなくなった章と鈴子なのだが、偶然にも百貨店で再開して、自然と付き合うようになり、

そして結ばれた。



【時代はまさに狂喜乱舞、ゴルフ場会員権の価格が高騰するとともに、豪華な設備を持ったゴルフ場の開発が全国で進められた。当時のゴルフ場のテレビCMでは、バブル景気崩壊後なら「○○自動車道○○インターから車で○分」などとするところを「東京ヘリポートから○○分」などと案内するほどであった。

(ヘリコプターで移動する人達が大勢いた)】











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