第25話⁂二人の関係!⁂
あの楚々とした純真無垢に見えた彩は、本当はあの聖女のような外見からは想像も出来ないほどの発展家だったのではなかろうか………?
そう思いながらも、彩に先導されるがままに、雅彦も完全に興奮状態で今まさに真昼間のこの女子寮で、雅彦と彩がベッドで重なり合い、最終行為に及ぼうとしていると………?
誰かが、””トントン””と部屋をノックした。
「彩ちゃん僕だよ!彩ちゃんが具合が悪くて早退したと聞いて飛んで来たんだよ!」
若い男性の声、一体この男性は誰なのか?
実はこの、✰三光百貨店の近藤という男は、三十三歳で人事部の係長を務める彩の上司なのだ。
二人は意外な訪問者にあたふた!
一体どうなる事か?
彩は、上司の訪問に大わらわ「あああ~!チョット待って下さい!」
一方の雅彦は半裸状態の服装を整え、脱ぎ散らかした服を急遽着て、慌ててベランダ沿いから一階に降りたのである。
その頃、二階の自室では、何とか取り繕う事が出来てドアを開けた彩。
「あら~?どうしたんですか?」
「君が具合が悪くて早退したと聞いて様子見に来たんだよ!大丈夫かい?」
「ええ~大丈夫です」
「ところで明日は出勤出来るかい?」
「ハイ大丈夫です」
こうして事なきを得たのだが、当然あの時代エレベーターガールは百貨店の顏、ましてや彩は、この百貨店一の美人で彩の顔見たさに訪れるお客様も少なからずいる為に、取るものも取り敢えず、飛んでやって来た近藤なのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
リンダは、最近の雅彦に不満を募らせている。
それはどういう事かと言うと、何かしら・・・心ここに有らずと言うか………?
会いに来てくれても話も聞いているのか?いないのか?
更には、今までだったら一泊して帰っていたのにディナ―を食べ終えると、急いで帰る始末。
「もう大学四年だし、忙しいから帰るよ」
「四年生と言っても、まだ後、半年以上あるでしょう?」
「公認会計士の実務補習も有るからさ!」
そう言ってそそくさ帰る雅彦。
そんな雅彦との距離を感じながらも、時は過ぎて行ったのだが、そんなある日、雅彦が又しても週末に会いに来てくれたのだ。
最近は二人の間に隙間風が………?
この日も東京で待ち合わせをして、お決まりの百貨店巡り、例の美人のエレべ-タ-ガ-ル、彩ちゃんの居る銀座✰三光百貨店に行くのかと思いきや、渋谷のパルコをぶらりとした後、大食堂で昼食を取り、ファッションの波が押し寄せつつある原宿を散策。
折角楽しみにしていたのに、一泊もしないで、なんとそれもディナ-をこんな早い時間の午後五時に致し方なく、日頃のルーティンをこなすかのようにパパッと終わらせ、とんぼ返りをした日の事だ。
今日は土曜日の書き入れ時だというのに『ホテルパシフィックOCEAN・湘南』でのショ―が、日本人で最近売り出し中の若手マジシャンによるショ―が有るらしく、久々にお休みを貰えたリンダ。
今日こそは、一日中雅彦との甘い一日を送れると思い、シフトを貰った一ヶ月も前から、浮き浮きしてこの日を待っていたのだが、リンダのこの気持ちとは裏腹にそそくさと帰ってしまった雅彦なのだ。
そんな憂鬱な気持ちを吹き飛ばすべく、お洒落する事が何よりもの趣味のリンダは、{閉店時間が六時だから多分もう閉まっているだろう?}と思いながらも最先端の✰三光百貨店に向かった。
すると………六時十五分を少し回った頃の事。
{折角やって来たのに~?これでは踏んだり蹴ったり!}
それでも…お洒落狂いのリンダは、暫くこの最先端のショ-ウィンドウの、マネキンの衣装やバック更には髪型や靴まで、細部にわたるファッションチェックを行っていた。
すると………どこかで見た柄の服装の若い男の姿が、ウインドウ越しに移ったのだ。
それもかなり離れているらしく小さな姿だ。
{何なのよ?}
思わず後ろを振り向くと、反対側の大通りを若い女性と歩く、雅彦の姿があるではないか………?
かなり離れているので雅彦は、リンダに全く気付いていない様子。
雅彦にして見れば鎌倉に住むリンダが、わざわざ東京の✰三光百貨店に足蹴く通って居る等想像も付かない事。
幾らでも鎌倉や横浜にもお洒落なお店が有るのに………。
一方のリンダは、余のショックにこっそり後を付けたのだ。
すると………?お洒落な最近見掛けるイタリアンレストランに入った、雅彦と若い女性。
女性の顔は分からなかったが、レストランに入る時に横顔をチラリと見たリンダ。
{エエエエエエ―――ッ!アッ!アッ!あれは彩ちゃんじゃないの~?いつものエレべ-タ-ガ-ルの彩ちゃんは、会社から与えられたピンク色のワンピースユニフォームに、ピンクのつば付き帽子姿………✰三光百貨店のお仕事中の彩ちゃんを雅彦が見るだけでも許せない気持ちだったのに………二人きりで会うなんて?………アアアアアア許せない………!又今日のファッションは、花柄のロマンティックな刺繡に独自の柄やフリルがあしらわれた、淡いオレンジ色のマキシ丈の、KENZOブランドを身に着けた、いつもより幾分念入りにしたお化粧が際立って…いつもの彩ちゃんも十分綺麗だが、今日の美しさはまた別格―――アアア…アアア…アアア…私負けてしまう!私とのディナ-の時は軽食のサンドイッチだったくせに………アアアアアア許せない!}
【あの当時一世を風靡した世界的なファッションデザイナーKENZO】
リンダは、十月の終わりで、もうすっかり夜ともなれば冷え込んでいるというのに、寒い夜風を受けながら、二人がレストランから出てくるまで待って、後を付けたのだ。
暫くすると………東京駅が見えて来て、裏手の路地に入ったかと思うと、その近くに有るモーテルに消えたのだ。
一体どうなるのか………?
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