第24話⁂呪文を唱えて”!⁂


ベッドに彩を寝かせ付け、そそくさと帰ろうとする雅彦。

すると………いつ起きて来たのか、彩が後ろからふくよかな胸をギュ~ッと雅彦の背中に押し当て抱き付いて来たのだった。


彩にして見れば{大好きな雅彦を、何としても自分の者にしたい!}その一心なのだ。


こんな楚々とした控え目な彩だが{このチャンスを逃したら、もうおしまいだ!どんな事をしても私のものに………だって………?だって………?リンダちゃんには悪いけど、私だって命がけなのよ!}


すると………彩は抱き付いていた手を放して、突拍子もない事を言い出した。


「ねえ~雅彦さん、あなたもっと幸せになりたいでしょう?」


「そりゃ~そうだけど?」


「あなたが幸せになれる様に呪文を唱えてあげる!」



実はこの呪文は💛好きな人と両想いになれる呪文おまじない💛占いにハマっている彩は、占い本を沢山買い集めている占いマニア。

占い本の中から呪文特集を組んだページを発見して以来、密かに試すのが日課になって居たのだ。



「本当かい?本当に幸せになれるんだったらやって欲しいが?」


「じゃ~そのままで後ろを向いたままで、さあ呪文を唱えるから!

『セミセラ、セミセラ、ソプラン』『セミセラ、セミセラ、ソプラン』『セミセラ、セミセラ、ソプラン』」

大好きな人、雅彦の背中に向かって小さな声で三回唱えたのだ。


「随分小さな声で言っていたけど、何て言ったんだい?」


「う~ん?良いの!良いの!これであなたは幸せになれるわ!」


「じゃ~!もうこれで終わりなんだよね?」


「ああああああ?チョット待って………!目をつむって頂戴!」


すると……彩は何を思ったのか………?雅彦の手を引っ張り椅子に腰掛けさせた。

「今度はどんな呪文を唱えてくれるんだい?」


そう言い終えたか、言い終わらないか、の間髪入れずに、何か~?生暖かい感触の物が唇に触れた。


ビックリした雅彦は、思わず目を開けたのだ。

すると………絹のような白い肌と長いまつ毛の彩の顔が、目に前に飛び込んで来た。


「ヤッ!ヤメロヨ」


言葉が終わらない内に彩の舌が、口の中にまるで生き物のように滑り込んで来て、余りの気持ちの良さに自分も遠慮しないで欲望のままに、本能のままに濃厚なディープキスの世界に引きずり込まれたのだった。


やっと美しい彩の、女の一部分を知り得た喜びの瞬間では有ったのだが………?

嬉しい反面…気になり始めたと言うか、愛し始めていたのに感じる嫉妬にも似た不信感、そんな心を奪われかけた彩の純真無垢な楚々とした、今の今まで男とは全く無縁の箱入り娘とばかり思っていたのに………。


どう見ても初心な女である訳が無い証拠を、まざまざと見せつけられた感の否めない、濃厚なディ-プキスに快楽半分、許せない気持ちが半分の、やるせない気持ちがふつふつと湧き上がって来るのだった。


この慣れたディ-プキスに、{あの清楚な佇まいの男とは全く無縁の、うぶな処女を演じて、今まで何人の男を魅了し、弄び、たらし込んで来たのか?}と思うと心を奪われてしまった分、まだ見ぬ彩を通り過ぎた男達への嫉妬、憤り、憎しみも倍増するのだ。


一方の彩は、確かに処女ではないが、そんなに男性経験ある訳ではないのだが、二人切りで会えるチャンスなど、いつ巡って来るか分からない為に、あんな強硬に及んでしまったのだ。



最初に会ったあの日、彩の身体の中を、まさに””ビビビッ!””と激しい電流が稲妻の如く走った。


大食堂にハンカチーフを届けた時に目にした雅彦は、まさに、この十八年間探し求めて来た、夢にまで見た星の王子様、またこれから先も一生捜しても到底見付からない理想の男だったのだ。


完全に身体中電光石火の如く””ビビビッ!””と、激しい恋の炎が燃え上がってしまった彩。

例え知り合いのリンダの彼と分かっていても、抑えることの出来ない恋心。

イヤ!実は相手がリンダだからこそ、ここまでしなければならなかったのだ。


強敵リンダから、雅彦を奪い取る為には、今目の前にいる雅彦の全てを丸ごと、奪ってやる。その意気込みから行った行為。


そこで限られた時間の中で繋ぎ止める為に、恥も外聞もかなぐり捨てて、雅彦の全てを奪い去る手段として、本当は食べてしまって完全に一つになりたい所だが、そういう訳にも行かないので、一対になる為には、隅から隅まで嘗め回して、口の中も耳の穴も嘗め回して、雅彦が私から絶対に離れられないようにする為に、若干十九歳の彩が考え出した行為だったのだ。


また、たとえこれ切り会え無くなったとしても、後悔が残らないように、只々雅彦と一つになれた感覚が欲しくて行った行為。


雅彦も完全に興奮状態で、今まさに真昼間のこの女子寮で、雅彦と彩がベッドで重なり合い、最終行為に及ぼうとしていると………?


誰かが、””トントン””と部屋をノックした。

「彩ちゃん僕だよ!彩ちゃんが具合が悪くて早退したと聞いて飛んで来たんだよ!」

若い男性の声、一体この男性は誰なのか?


二人は意外な訪問者にあたふた!

一体どうなる事か?


実は彩の家庭は父親が教員なのだが、金遣いが荒くて金銭的に困窮しているらしいのだ。

その為エレベーターガールとして働いたお金の殆どを家に入れてる。

金銭的に余裕がない彩は、やっぱり男達をこの美貌で利用して………?


彩と言う女は、やっぱり色んな男達をたぶらかす魔性の女なのか?




⁂参考まで⁂

【💛好きな人と両想いになれる呪文おまじない💛「セミセラ、セミセラ、ソプラン」という呪文❢

好きな人の背中に向かって…

簡単なのによく効くと噂の「両想いになれる」というおまじないです。


本当にとっても簡単な方法ですよ。


好きな人に気づかれないように、好きな人の背中に向かって「セミセラ、セミセラ、ソプラン」という呪文を小さな声で三回唱えるだけ!


一回だけでも効果があるらしいのですが、できれば毎日やったほうが両想いへの効果があるようです。


振られてしまった相手にもやってみたら、いつの間にか両想いになるかもしれませんよ】

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