第17話⁂スカイハイ!⁂



 三ヶ月程経ったある日の事、お店の仕事にも慣れ、章と二人やっと安住の地を得たリンダは{今日は久しぶりの休日、名古屋のデパート巡りでもして来よう}

そう思い駅前に向かって歩いていた。


 すると後ろから社長の車が……。

「リンダさんじゃないか?どこまで行くんだい?」


「ああ~今日はデパート巡りでもして来ようと思っていますが?」


「送るよ!乗りなさい」


「ああ~でも結構です。運動にもなりますし」


「まあ~良いから!良いから!乗りなさい!」


 こうして車は走り去ったのだが………?

 駅とは真逆の方向に進んだのだった。


「社長さん方向が違いますが?」


「君仕事はもう慣れたかい!」


「ハイ!毎日楽しいです」


「社員の池田さんが、君を目の敵にして散々従業員の前で罵っているらしいじゃ~ないか?」

「ええ私がナマリがいつまでたっても取れないので、それで注意をしてくれているのです」


「そんな事言ったってフィリピン人だから仕方が無いじゃないか?」


「それでも…余りフィリピンナマリがきつ過ぎると、お客さんに不快感を与えてしまうので……?」


「そういってもだな~あの池田さんは、お店のシェフWと付き合っているんだ。だがそのシェフWがリンダちゃんを気に入っているらしいんだ。その為、嫉妬でリンダちゃんに言い掛かりを付けているらしいんだ。従業員達が行っていた。何かあったら何でも相談に乗るよ!」


「大丈夫です。一日寝ちゃうと忘れるタイプなのでご心配なく……!それより駅より随分離れちゃいましたが?」


「もう直ぐお昼だし少し飛ばして、三重県の有名店『波風』まで食べに行かないかい?大海老のフライで有名なんだ」


「ワァ~本当ですか?行きたい所ですが、やっぱり今日はデパート巡りしたいんで?」


「まあ~良いじゃないか?それとも私が嫌いかい?」


「イッイッイエ?そんな事ありませんが?」

 こうして押し切られた感じで三重県鳥羽市『波風』本店に到着したのだった。


 すると、まだオープン前の十時半だというのに店の前には行列が出来ていて、その盛況ぶりが充分に伝わってきた。


 有名店の大海老と新鮮な刺身盛り合わせをたらふく食べた二人は、鳥羽と島を結ぶ海沿いの道パールロード。


 リアス式海岸と水平線を眺めながらのドライブは気分爽快。


 この海と陸が織りなす絶景スポット、リアス式海岸をオープンカ-メルセデスベンツSLで洋楽のアルバムCDをかけながらのドライブ。   

 【一九八〇年代中盤からCDの登場】


 丁度その時、メキシコ合衆国のプロレスラー・ミル・マスカラスが、全日本プロレスに参戦した際の、リング入場のテーマ曲として流されたことをきっかけに、大ヒットした。

 空高く吹き飛ばす【 粉々に打ち砕くblow (it) sky high】出だしのイントロの迫力のある事。


 まさに雄大に空を飛ぶ鷲の如く。


 一九七五年に大ヒットした「スカイ・ハイ」(Sky High)が、鳴り響き、リンダは、思わず。

「Blown round by the wind(ブローン ラーゥン バイ ザ ウィン)」と口ずさんだ。


 青い海に江の島がぽっかりと浮いて

 後ろには日本一の富士山が悠々とお目見え・*。✶

 それは、それは、圧巻の一言。


 社長の横井も歌の盛り上がり部分のサビ。

「Why you’ve blown it all sky high(ワイ ユ ブロゥニトー スカイハ————イ)」↑

 天をも突き破りそうな富士山に、届けとばかりに高温で歌い盛り上げる。


 すると一羽の鷲が、真っ青な空に吸い込まれるように『ビューッ』と勢い良く高く高く、空高く飛び立った。

 まさしく『スカイハイ』


 カーステレオから大音響で鳴り響く名曲『スカイハイ』とシンクロして、海と空を舞う鷲の何とも勇敢で凛々しい、孤高の鳥類王者(猛禽類)鷲が織りなす自然界の生きた芸術そのもの、只々圧巻の一言に尽きるのだった。


 だが………この横井、仕事の出来る切れ者なのだが、とんだ曲者で女を取っ替え引っ替えして、おまけに三度の離婚歴の危険人物なのである。


 こんな男に引っ掛かったら骨の髄までしゃぶられて捨てられるのが落ち。

 それでも…この男のお陰でヨーロピアン風「カフェレストラン・ポエム」をオープン出来たのだが……?

 そこには計り知れない………?







 ⁂参考まで⁂

 【「スカイ・ハイ」(Sky High)イギリスのポップ・ミュージック・グループ、ジグソーが1975年にリリースしたシングル曲。メキシコ合衆国のプロレスラー・ミル・マスカラスが、全日本プロレスに参戦した際のリング入場のテーマ曲として流されたことをきっかけに大ヒット。】





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