第18話⁂雅彦の言動⁈⁂
横井とはどんな人物なのか?
巷の評判はすこぶる良いのだが、それとは裏腹に・・・
この横井、仕事の出来る切れ者なのだが、とんだ曲者で女を取っ替え引っ替えして、おまけに三度の離婚歴の有る危険人物なのである。
こんな男に引っ掛かったら、骨の髄までしゃぶられて捨てられるのが落ち。
それでも…この男のお陰でヨーロピアン風「カフェレストラン・ポエム」をオープン出来たのだが、そこには計り知れない事情が有った。
じゃ~リンダは何故こんな男の後ろ盾に乗り、お店を出したのか?
そこには………?
やがて徐々に問題が露呈してくる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
リンダはあの日、リアス式海岸と水平線を眺めながらのドライブに、無理矢理付き合わされ、やっとの事、難を逃れることが出来てホッと胸を撫で下ろしている。
胸を撫で下ろしたのも束の間、また休日がやって来たのだが、またしてもリンダの住むマンションの入り口の電話ボックスから電話を掛けて来る人物が…………。
誰を隠そう、その相手は社長の横井なのだ。
””ルルルルル ルルルルル ルルルルル ルルルルル”” 電話のベルが鳴り響き慌てて電話に出たリンダ。
「アッ!ハイ!もしもし~?」
「ああ~俺だ!横井だ!美味しい新鮮な魚が釣れたから、おすそ分け?早く開けてクレ!持って上がるから!」
「あああ!あの~?………お気持ちだけで………あの~だから~?結構です」
「じゃ~取りに来てよ!」
「アッハイ!」
こうしてマンションの入り口まで降りたリンダ。
「リンダちゃん今日はデパート巡り付き合うよ!あんなに行きたいって言ってたじゃ~ないか?」
「もうこんな事ヤメテ下さい!もうこんな事が続くようだと私、お店辞めます!」
「ああ~ゴメン!ゴメン!じゃ~今日は帰るよ!」
社長とも有ろう者が従業員に手を出すなど以ての外、一体何を考えているのか?
社長の横井もこのマンションが、分かりにくい死角に有るのを知ってリンダを頻繫に誘っているのだ。
要するに、会社の女に手を出す条件、それは社員達にバレない事が何よりの条件。
一方のリンダにしてみれば、何故こんな分かりにくい場所にマンションを借りたのかと言うと、大蔵と雅彦に居場所を知られたくない為なのだ。
また賃貸だったら、居場所を突き止められても解約すればいいので、賃貸契約を結んでいる。
そこに来て今度は自分のタイプとは掛け離れた、このずんぐりむっくりの横井には本当に手を焼いているリンダなのだ。
一方の社長の横井はリンダは、ドストライク中のドストライク。
それは一にも二にも自分のタイプで『ホテルパシフィックオーシャン・内海』の頃から隙あらばと狙っていた所に、偶然にもまた再開できて、一気に恋の炎がメラメラ燃え上がったのだ。
だから今度こそは絶対逃したくない。
そんな強い気持ちの表れが行動となって出ているのだ。
実はリンダは、最近とみに誰かに就け狙われている感覚に怯えている。
やっぱり犯人は社長の横井なのか?
ある時は仕事帰り、またある時は家にいると誰かに見張られている、そんな感覚に苛まれているのだ。
「一体誰なのか?」
歩いていると感じる不気味な影と靴音が、かすかに響くのだ。
ある日どうしても、その正体が知りたくなったリンダは、またいつもの様に感じる人影と靴音。
暫く歩いて、人通りの少ない路地に通りかかった途端にス~ッと物陰に隠れたのだ。
””コトコト コトコト””段々近づく靴音。
するとその時ふっと通り過ぎる人影が………?
身長は一六五㎝~一七〇㎝くらいのどう見ても、義父太蔵でもなく、かといって雅彦とも随分違う、又横井とも程遠い、男性なのか?それとも………?
大蔵は、身長一七〇㎝弱で六〇代後半の髪の毛も多少薄くなっており白髪頭。
また雅彦は言うまでもなく三〇代中盤で、身長一七六㎝の今尚綺麗な優男なのである。
一方のその男性らしき人物は、どう見ても三〇代後半~四〇代前半の身長は一六五㎝~一七〇㎝の顔の造りまでは分からないが、細見の紳士風の男性なのだ。
この人物は一体誰なのか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一九八〇年代中盤大蔵は、退院して仕事復帰を果たし、現在は会長職に就き、人が変わった様に仕事に精を出している。
まるで憑き物が落ちたように、昔の仕事人間に戻ってしまったのだ。
もうリンダの事はすっかり忘れたのだろうか?それとも………。
一方の雅彦は、最近何か意味深行動の繰り返し。
時折、休みに一日中、両親に居場所も告げずに、ぶらりと出掛けたり、また夜こっそりと抜け出し深夜に帰って来るのだ。
まあ~雅彦も大人なので、親も致し方なく目を瞑っているのだが、雅彦は一体どこで何をしているのか?
ひょっとして女でも出来たのか?
イヤイヤ違うのだ………。
実は?自分の思いと、父大蔵の要望に応える為に出歩いているらしいのだ。
ある日リンダが、街を歩いていると、なんと雅彦の姿を目撃した。
{ひょっとして私の居場所を探しているのでは?}と不安になり付けたのだ。
すると人通りの少ない路地裏の場末の歓楽街に、吸い込まれるように入って行った。
まあ~男だから仕方ないが?あのプライドの高い雅彦が何でこんな場末の、それもゲイバーに?}
そう思いリンダも入口まで入って行ったのだ。
すると・・・
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