第14話⁂登紀子自殺?⁂

 真夏の太陽が照り付ける昼下がり🌻

 裏腹に*・✶………夏の夜は心地よく、そして神秘的な深みをもっていた✰*・✶


 恨み、憎しみ、嫉妬、裏切り、この怨念の全てを総称してもまだ足りない、裏切りの証である、汚らわしい赤ちゃんを目の前に、益々怨念の炎がメラメラ燃え上がる登紀子。


 そして日増しにその恨みは増幅して行き、今すぐに刃物で劈くか、首を絞めて殺したい、そんな衝動に駆られる姑の登紀子は{この苦しみから逃げる為には、授かった子供章と、この家庭に不幸しかもたならさないリンダを、この世から抹殺すればこの苦しみから解放される}

 そんな恐ろしい事を考え始めている。


 まだ幸せだった頃、登紀子は広い敷地を利用して、野菜作りが何よりもの趣味だったのだ。

 裏庭には三坪程の家族が食べるだけの、小さな農園が作ってある。

 春にはクレソンやニラ。

 夏にはトマトやナス、カボチャにトウモロコシ。

 秋にはジャガイモ等。

 家族の笑顔が見たくて、まだ家族が幸せだった頃は、必死に野菜作りに精を出していた。



 そこで何を思ったのか?一分一秒たりとも見たくない、憎き嫁のリンダと孫の章を農薬を食事に混入して殺すという事。

 そんなとんでもない事を思い巡らせているのだ。


 それだけ登紀子は、精神的にも肉体的にも、追い詰められ、後先考えられる精神状態ではないのだろう。


 リンダが、まだ赤ちゃんの章を散歩に連れ出している隙に、昼食の準備を済ませ、和え物と離乳食に農薬を混入したのだ。


 二人は程なくして帰って来た。

「アッ、お義母さん一人に食事準備させちゃってごめんなさい。今すぐ手伝います」

こうして昼食のお手伝いが終わり、食卓を囲んで食事を取った三人。


 和え物を食べたリンダは、暫くすると急に気分が悪くなりトイレへ一目散に駆け込み””ゲ―ゲ―””吐き出している。


 {嗚呼~!これは食べさせられない!坊やに何かあったら大変!}

 こうして離乳食は食べさせずに済んだのだが………。


 この様な事が度々続き、坊やに危険が迫っているのをキャッチしたリンダは、不信感を感じて病院で検査をして貰った。

 すると胃の吐しゃ物の中から農薬が検出された。


 余りにも恐ろしい事になって、等々我慢出来なくなったリンダは雅彦に話したのだ。

「あなた~食事の中に農薬が混入していたのよ?それも家にある農薬と同じ成分が検出されたのよ………私お義母さんが怖いわ!お願い章の為にもお義母さんとは別居しましょうよ?」


「お前はおふくろを疑うのか?お前のようなフシダラな女の言う事なんか分かったもんじゃ無い!フフッ………あんな不義の子供を産むような女の言う事なんか聞けたもんじゃあ~無い………!寄りによってオヤジとの子供なんて、とんだ笑い草だ。ハハハ………アアアアアア!まさかオヤジの子供だなんて、思っても見なかった!章の顔を見るとオヤジとお前が、抱き合っている姿が浮かんで来て、居ても立っても居られない!………あんな子供なんか捨ててしまえ!ああ~嫌だ!嫌だ!」


「ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭あなた、なんて事言うの~?私だってあの時、思い切り抵抗したけどワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭どうしようもなかったの!」


 雅彦は、リンダを心底愛しているのだが、あまりにも父大蔵に生き写しの章の顔を見るにつけ、二人の絡み合っている場面がオーバ-ラップして、愛情が深い分、憎しみと苦しみが倍増するのだった。


 そしてリンダを傷付ける事で、一時的に胸のつかえが下り、また父大蔵を必死に拒んだが起きた事故なのだという事が再確認される事で、また数日間平静を保つことが出来るのだった。

 それだけリンダを愛しているのである。


 あんなにリンダを守り通してきた懐の広さは、情けない事にその広い愛情の容量の分だけ憎しみに代わっているのだ。


 一方の章は物心付いた頃から愛する母と自分を、まるで罪人のように蔑んだ眼差しで見る父の雅彦と、まるで魔法使いのおばあさんの様に悪意を全面に押し出した、隙あらば地獄に突き落としたい、そんな悪意に満ちたおばあちゃんの態度と表情を嫌と言うほど見せ付けられて来た章は、すっかりひねくれ切った暗い子供に成長して行った。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 ある日の事。

「おふくろリンダに酷い事したら、俺はリンダと章を連れて家を出る!分かったな?」

「雅彦、母親にな~んて事言うのヨ?」


「俺が何も知らないとでも思っているのか~?いくら何でもリンダと章に対して酷過ぎだろう?確かに現実を受け入れられないのはよく分かる……!俺だって許せないさ……でも~?これ以上酷い事をしたら、おふくろを置いて出て行くからな!」


「ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭お父さんにも見向きもして貰えず、その挙句に子供にまで捨てられたら、私はどうして生きて行けば良いの?ウウ(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


 この日の数日後、とんでもない事が起こったのだ。

 母の登紀子が、睡眠薬を煽って自殺を………?


 一体どうなるのか?






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る