第13話⁂嫁姑問題!⁂


 妄想性障害の父は、事に及んだ後は悪びれる事もなくケロリとして、さもリンダの為に行った行為と全く反省の色が見えないのだ。

 {自分の行為は、リンダの為だ!}と言わんばかりに完全に都合のいい解釈にすり替えて居るのだ。


 それでも…妻の登紀子があまりにも泣き叫ぶので、致し方なく家に帰って行った。


 だが、リンダにしてみれば堪ったものではない。

 それどころか心に大きな傷を受けたリンダは、以前に車の中で受けたレイプ未遂の傷もやっと癒えかけた矢先の、今度のこの酷い行為に、只々ショックと憤りで延々泣き続けた。


 雅彦が仕事から帰宅したのが夜の八時だというのに、家の中は箪笥が倒れ、物が散らばり、夕食の準備どころか、後片付けもやっていない状態。

 一体どうした事かと不安に苛まれる雅彦。


 一方のリンダは、ショックの余り、只々茫然と犯されたまんまの恰好で、真っ暗な部屋の中に明かりも付けずにボ~ッと、まるで夢遊病者のように天を仰いでいるではないか?


「リンダどうしたんだ。その恰好は?」


「ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭お義父さんがワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭お義父さんがウウウ(´;ω;`)ウゥゥ」


「何だと~!オヤジがやって来たのか?」うなずくリンダ。


「クッソ――――ッ!許せネ――――ッ!」


 一方の本宅の佐々木家では「あなた一体自分が、何したのか分かっていらっしゃるの?答えて――ッ!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


「お前が来るなんて思っても見なかった?……許してくれ!」


「許すとか許さないとかの問題じゃ無いわよ~?仮にも雅彦の大事なお嫁さんに、な~んて事するのよ?…そんな事も分からないの?ウウウ(´;ω;`)ウゥゥ」


「そんな事言ったってリンダが、俺を思うあまりに何か仕出かすかと思い……?」


「何をバカな事言っているの~?勝手な思い込みはヤメテ!リンダちゃんは、あなたを完全に嫌がっているし、拒否しているの!どうしてそんな事が分からないの?」


「バカ言うんじゃ~無いヨ!リンダは俺を待っているんだ!…お前みたいな女出て行け――――ッ!」


「ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭私だってあなたとは絶対にやっていけないウウウ(´;ω;`)ウゥゥだけど、もう兄の代になって父は亡くなっているし~帰る場所なんか無いわ!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


 妻の登紀子は、あんなに愛した大蔵の裏切りを、この目の前で見せ付けられて、完全に生きる気力が無くなっている。


 更には、あの大蔵とリンダのおぞましい光景が忘れられずに、最近は死ぬ事ばかり考える毎日が続いているのだ。


 そんな癒える事の無い修羅場が続いた数日後。

 幾ら親子と言えども完全にキレた雅彦は、父の大蔵が仕事から帰って来る時間を見計らって実家に戻って来たのだ。


 家に入るや否や「オヤジ?オヤジはどこだ~!」


「ああ~?よく帰って来たな~!元気そうじゃ~ないか?」


「何が、元気そうじゃ~ないか?ダ!…よくもリンダを傷つけてくれたな―――ッ!クッソ――――ッ!」


””バッシ――――ン!””Ψ〷//””ボッカ――――ン!””〷//XX””


 父の大蔵を思いっきり殴り付け、押し倒す雅彦。

「ヤッヤッヤメテ――――――――ッ!」

 泣き崩れる母!


 それでも…腹の虫が治まらない雅彦は{このままでは大切なリンダを失う事になる?}


 こうして父大蔵の嫌がるのも聞かず、先生と相談の上、名古屋から程遠い千葉県の精神病院に入院させた。


 要は厄介払い、まあ~致し方ありません。

 あんな妄想性障害の父では放っておけばもっと悲惨な状態になり兼ねないので……。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 家の諸事情で不動産会社を引き継いだ雅彦は住み慣れたアパ-トを引き払い、母の待つ実家にリンダ共々帰ったのである。


 こうして、やがて章が授かったのだ。

 やっと平穏な家庭を取り戻す事が出来た家族。


 だが追い打ちをかけるように不幸の連鎖が……。

 雅彦がO型、リンダがB型、二人の間に誕生する子供の血液型それは(BかO)なのだが、なんと誕生した章は、AB型だったのだ。


 あんなに同じ傷をなめ合って来た仲の良かった嫁姑の間は、これを機に一気に北風が吹き荒れる事となる。


 姑の登紀子にして見れば待ち望んだ初孫が、誰よりも幸せになって欲しい、命よりも大切に思って育てた雅彦を裏切って出来た赤ちゃんで、それも一番有って欲しくない命を賭けて愛した大蔵と、肉体関係を結んで生まれた、あまりにも大蔵に生き写しの赤ちゃんの事が耐え難い苦痛なのだ。


 可愛い筈の初孫が、自分よりも何十倍も魅力的な女、リンダと私が見ている目の前で、夫と肉体関係を結んで出来た証そのものである事、ましてやあの悍ましい光景が、怨念が、薄れるどころか、日増しに鮮明に指先や髪の乱れ、高揚した唇までが鮮明に蘇ってくるのだった。


「嗚呼~許せない!憎い!」


 そして隙あらば、怨念の塊である、この赤ちゃんを目の前に、憎くて、やるせなくて、苦しくて、今すぐに刃物で劈くか、首を絞めて殺したい衝動に駆られるのである。


 {アアアアアア!リンダが憎い!あの女さえ現れなければ幸せな日々が続いていたのに⁈アアアアアア憎い!憎い!憎い!}


「あなたって大人しそうな顔してるけど、ホテルの専属歌手と言ってもやっぱり水商売、何をやっていたか分かったもんじゃ無いわね?……その綺麗な顔で何人の男を騙して来たのよ!………大蔵に色目を使って、大蔵をあんな障害者にして………その挙句に何このザマは!クウウ(´;ω;`)ウゥゥ雅彦が……雅彦が不憫で仕方がない!この淫乱女が―――――ッ!」


「お義母さん(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭あんまりです。私は………そんな……そんな事絶対にありません。ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」

 益々リンダを追い込む姑、この先とんでもない結末が………⁉










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