第4話⁂事件の前兆!⁂


 二〇十九年二月某日の火災が起こる一ヶ月前。


「ア~ラ~佐々木ちゃん、いらっしゃい!……ハイハイ今留美ちゃん呼びますから~」


「ウッフフフ~!いらっしゃい!」


「オオ~!今日は又一段と綺麗だな~!留美ちゃん」


【高級クラブ麗奈】の店内には圧倒的な迫力を持たせるため、壁面と天井に大胆にヨーロピアン風の高級感あふれる、黄金の城と銀粉が舞い散り*・

紫にけむる美しい神秘の森を描き⋆*。・🏰


 空間全体を幻想的な雰囲気を作り出す赤でまとめ・☆。

 夢と現実の区別がつかない不思議な異空間が演出されている。



 この佐々木章は、名古屋を代表する歓楽街、錦の【高級クラブ麗奈】を度々接待で贔屓にしているのだが、実は【高級クラブ麗奈】のホステス留美二十九歳とは、もう四年にも渡り愛人関係が続いている。


「今日行って良い?・・・」


「ウッフフフ!うれしい!坊やも喜ぶわ!」


 実は二人の間には、もう直ぐ四歳になる息子翔が授かっていたのである。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 二〇十八年七月某日のある日の事、二人は天白区梅が丘とは程遠い場所に有る、名古屋中区の留美の住むマンションから翔を伴って、新しくオープンする長野県のショッピングモ-ルに出掛けた。


 蓼科の別荘に程近い場所を走行中に、一際目を引く美しい妻の鈴子らしき女性を発見。

 {エエエエエエ―――ッ!鈴子にそっくりだが………?一体こんな所で何をしているのか?}


 するとその時、乗用車クラウンから一人の中年男性が降りて来て、鈴子らしき女性に親しげに話し掛けている。


 暫く会話していたかと思うと……やがて鈴子らしき女性の手を引いて歩き出した。

 人気のレストランらしく、近くの駐車場が満車だったらしく、仕方なく離れた駐車場に車を止めに行ったのだろう。

 ほどなくしてお洒落なレストランの中に消えた。


 この男章は、愛人との間に子供までもうけておきながら、妻の鈴子を心から愛しているのだ。

 {まだ…ハッキリは分からないが………アアアア許せない‼鈴子に男が居たなんて………?アアアア許せない!噓であってほしい?}

 やがて嫉妬に狂った章は、鈴子を徹底的に調べ上げるのだった。


 そんなに愛しているのに……。

 じゃ~何故?愛人まで作っているのか?


 当然お金が有れば、幾ら妻を愛しているからと言っても一人では満足できない。

 実はこの家では最近、人に言えないとんでもない事件が勃発していたのだ。


 それと鈴子にチラつく男の影。

{鈴子に男が居たなんて……?一体あの男は誰なんだ?}

 章は家庭内で起こった想像も付かない出来事と、妻鈴子の男の影に悩まされる事になる。


 それはやがて取り返しのつかない事件に………?

















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