第4話 芝生の手入れ

 倉庫の敷地内にはたくさんの植物が植えられています。目立つのは桜ですね、事務所の前に大木が3本ありました。


 駐車場へ向かう敷地にも桜とあとなんだったかな、けやきだったかな、木がありました。

 そのけやきのあったところは、芝生が一面に広がっていて、歩くと気持ちのいいところでした。


 広大な敷地には雑草が生えますし、公道との境には金網にそって垣根もつくっていたので、その手入れも必要でした。


 シルバー人材センターにお願いしてそのあたりを作業してもらってました。


「なぁ、芝生さ、あっちのほら、けやきの芝生さ…」

 僕が休憩時間に食堂で近藤さんとお茶を飲んでいたとき、シルバー人材センターからの派遣のおじさんに言われました。


「どうしたんですか…」

 近藤さん、お年寄りに親切なので笑顔で応えました。


「手入れしていっかな…、ちょっと工夫してやりてえんだ…」

 派遣のおじさんも笑っている。

「いいですよ」

 あまり考えずにそのままの笑顔で了承する近藤さん。


 その後、シルバーさん、楽しんで手入れしてました。芝生をいい感じで刈ってました。


「筒とか缶とかねえかな…、こんくらいの大きさでさ…」

 倉庫には工具が満ちてます。部品もね。ここで製品の手直しや修正をけっこうするのでね。

 誰かがシルバーさんに手ごろなものを見つけて手配し、シルバーさん、芝生に埋め込みました。


 数日後…。


 あっという間にパターゴルフのコースができました…。

 5ホールくらいありましたね。

 ドッグレッグもありました。

 筒はカップになりました。

 竹でピンを作って、旗までありました。


 すぐに物流管理の野沢さんがゴルフボールとパターを持ってきてまわってました。

 

「いいんですかね…、近藤さん」

 いいんですかね…、一応会社の敷地だけど。

「社長とか会長とか役員が来るときにはさ、旗だけでも隠しておけばいいんじゃないかな…」

 いいのか…いいんだろうな…。


 おおらかなところです、ここは。

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