第26話 エピローグ
【神視点】
「あらら……アラン、負けちゃいましたか……ふうん……」
神はあいかわらず、天上から高みの見物をしていた。
しかし、それももう終わりを告げる。
後ろから、上位神が現れて、彼女に告げた。
「まったく、お前はなにをしているんだ!」
「じょ、上位神さま……!?」
下界と天界では時間の流れが違うので、上位神が気が付くのが遅れてしまっていたのだ。
「こんなことをして私にばれないと思っていたのは、愚かだな……」
「うああああああ」
本来であれば、神となるときにそういった注意点を研修でおそわるのだが……。
彼女は神を蹴落として成り代わった即席の神。
なので、こうやって、上位神が見張っていることも知らなかったのだ。
「お前はお仕置きだ……! 死ね……!」
「わああああああああああああああああああ!!!!」
こうして、愚かな神は死に……。
天界では新たな神が生まれた。
◇
【ジャスティス視点】
「あれ……? ここは……?」
さっきまでアランと戦っていたはずが、気がついたらなにもない真っ白な空間にいた。
どういうことだ……?
「おい、お前よ」
「な……!?」
目の前に現れたのは、あきらかに女神っぽい人だった。
まさか、こいつが俺をこの異世界に転生させたやつか……!?
「それは違う」
「心を……!?」
俺はそのあと、天界でなにがあったのかを全部そいつに聴いた。
「なるほど……そんなことがあったのか……なんだか神ってのも大変だなぁ」
「お前にかけたすべての迷惑、この私が上位神としてあやまろう」
「それはどうも……」
「お詫びと言ってはなんだが、お前をもとの世界に戻してやろう」
「元の世界……? って、日本か……?」
うーん、でも、俺としてはせっかく異世界に来たのだから、別にどっちでもいんだけどね。
日本での俺はただの社畜だし……。
あれ以上生きていてもいいことなんてないしなぁ……。
「まあそう言うな。これは決まりでな。もうあのアランのいた世界は壊れてしまった。本来存在しない遺物であるお前には、なんとしても日本に戻ってもらわねばならんのだ」
「なんかよくわからないけど……そういうことなら仕方がないな……」
「すまないな。お前には迷惑をかける」
なんだか異世界でのことが全部無駄になるのは残念だ。
まあ、長い夢でも見ていたと思えばいいか……。
◇
気が付くと、俺はあの本屋にいた。
俺が異世界に転生する前にいた、あの本屋だ。
「あの……お客様……?」
「あ、はい……!」
そういえば、俺はレジに並んでたんだっけ……。
そのときに気を失って……。
俺の手には、追放勇者が握られていた。
まあ、せっかくだからこれ買って帰るか……。
なんだか狐にだまされたような気分だ。
俺はレジに本を持っていく。
店員さんは見とれるくらいカワイイ女性だった。
たぶん、大学生くらいだろう。
地味目の恰好をしているが、めっちゃかわいい。
はぁ……これが異世界ならなぁ……。
俺も、彼女に声をかけたりできたんだろうが……。
なんせ、現実に戻ると俺はこのとおり、さえないサラリーマンだ。
「あの……この本、私も好きです」
「え……? そ、そうなんですか……」
「けっこう売れているので、おすすめですよ」
びっくりした。
まさかむこうから話しかけられるとは……。
まあ、でも……店員としてのトークなんだろうな……。
店員さんは、なにごともなかったように本を袋に詰め始める。
せっかくカワイイ子と話せたのに、もう二度とあうこともないんだろうな……。
くそ……。
異世界なら……俺は主人公だったのに……。
いや、なにをいってるんだ俺は。
異世界でも、主人公はアランだったじゃないか!
それを俺は、自分で主人公になったんだ!
現実世界でもいっしょだ。
主人公になるには、自分で行動するしかない。
俺を主人公にできるのは、他でもない……俺だけなんだ……!
俺は、勇気を出して行動した。
「あ、あの……っ!」
「はい……?」
「よ、よかったら……その……連絡先交換してくれませんか……!?」
――Fin.
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『追放もの』の悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。《ざまぁフラグ》は勘違いした【主人公補正】で無自覚回避します。 月ノみんと@成長革命2巻発売 @MintoTsukino
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