第15話 新しい仲間とご挨拶

プロレス技を決め、ガイアスが俺の力を認めたのか結局そこで試験は終わりになった。


「んで、合格?」

「……あぁ、やはりザクは強かったな」


つっても、ガイアスは異能使ってないし、試験だから手抜いてたろうに。


「…この後時間あるか?」

「ん? ああ、大丈夫だけど?」

「なら少し付き合ってくれ」


なんだろ、まぁ時間はたっぷりあるから良いけど。

あと、受付の人放心してるけど放置でいいのかな?


ガイアスは受付の人に断りを入れると、俺に手招きをする。

ガイアスについて行き、到着したのは大きめの一軒家だった。


「ここは?」

「…我々のパーティの拠点だ」


ほー、良いとこ住んでるんだな。冒険者って儲かるんだなぁ。俺も頑張って母に仕送り送ろう。

そんな事を考えながら、家に入る。

すると見たことのある金髪の女性がソファーにだらしなく座っていた。


「おー、ガイアスおかえりー。今日のギルドの手伝いはもう終わりー?」

「…サシャ、エイトは?」

「上にいるよん。あれ?もしかしてザクー?」

「久しぶりサシャ。よくわかったな」

「わかるよー、そんな変わって無いぞー」


え?そんな変わってない?

背も伸びたし、鍛えたから身体付きも変わってるハズなんだけど。


「…安心しろ、成長している」

「…どうも」

「ねー!エイトー! ザク来たよー!」

「はぁ!? 何だってぇ」


2階から赤い髪の男が降りて来た。

うん、昔に比べて若さが抜けて大人になったなぁエイト。と、年上目線で見てしまうな。


「本当にザクじゃねーか! 大きくなったな!」

「久しぶり、エイトも大人になったな」

「何言ってんだ、とうとう冒険者になりに来たのか? 紹介状書くか?」


さっきまでギルドにいたこと、ガイアスと試験したことを話す。


「そうかそうか、じゃあこれからは後輩だな。色々教えてやる」

「……エイト、寧ろこちらが教わることが多い」

「んあ? どういう事だ?」


ガイアスが試験の内容を説明すると


「はぁ!? ガイアスに勝ったのかよ!?」

「いや、勝ったっていうか…」

「…ああ、ザクは強かった」

「お前…5年前も異常だと思ったけど、ますますヤバい奴になったな」


おいおい、どういう評価だよ。

そもそも手加減された状態だしガイアスにはダメージ無いじゃん。それで勝ちって言われてもなぁ。


「いやぁ、凄ぇなぁ。ところでザクは泊まるとこ決まってんのか?」

「いや、今日来たばっかだからコレから探す」

「決まってねーならウチに泊まれよ。色々話聞きてぇしな」

「良いのか? ならお願いしようかな」

「おう、決まりだな。まだ帰って来てないけど後でウチの残りのメンバー紹介するわ」


至れり尽くせりだな、これはラッキー。

冒険者登録は完了したし、泊まるところも確保出来たし順風満帆だ。


この5年の話をお互い話をした。

エイト達は3年前に2級に昇格し、新しくパーティメンバーを加えて天昇の道と名付けたらしい。

その後も順調に依頼をこなしており、1級になるのもそう遠くないそうだ。

1級にもなれば、国に100人もいないレベルらしい。


「へー、凄いんだなエイト達」

「そうだろ?ってかお前のがおかしな事してるからな? 冒険者でもねぇのに村の周りの魔物やら魔獣を片っ端から斃してまわるとか。試験でガイアスに膝つかせるとか…」

「ザク強いねー。子供とは思えないー」

「…うむ」

「そんなおかしいか? 魔物狩りは良い鍛錬になったぞ?」


そう言うと、3人とも呆れたように溜息を吐く。

目指してるのは人類最強だしな。これくらいはしておかないと。

すると、入り口のドアが開かれトンガリ帽子を被った小柄な女と、いかにも聖職者な格好をした男が入ってきた。残りのメンバーって奴かな。



「戻った」

「ただいま戻りました。おや?お客様ですか?」

「おかえりー、この子はねザクっていうの」

「ザクさんですか、私はロジックと申します。見ての通り僧侶をしております」

「アレッタ。魔女」


なんか、小さい女は会話苦手なのか?カタコトじゃねーか。

ガイアスと2人でいたら会話成立すんの?


「俺はザクルード。ザクって呼ばれてる-ます。エイト達とは5年前に知り合って、今日冒険者になりました。よろしくお願いします」

「ああ、礼儀正しいのですね。敬語抜きでも構いませんよ。ちなみに私は癖ですので」

「ザク、よろしく」


しかし、僧侶と魔女なぁ。もしかしてだけどこの人達もかな?

チラっとエイトを見ると頷いて言う。


「すまんな、飯はもう少し待ってくれ」

「ちげーよ!! この人達もエイトらと同じ異能持ってるか聞いていいのかの目線だよ!」

「ははは、私は異能は持っておりませんよ。聖職に就いておりますので法術を嗜んでおります」

「私は異能持ち」


法術?

またわけわからんな、異能と違うのか?

あと、アレッタって女は何か心配だな、エイトと同じ匂いがするわ。


「あのー、法術って?」

「私ども聖職に就いている者達は、祝福により神の

御業をお借りすることか出来るのです」

「まぁ、簡単に言うと傷治したり色々だ」

「簡単に言い過ぎんだろ…良いのかよそんなんで」

「そうなのですよ、リーダーは少々信仰心が足りないのです。嘆かわしい」

「固いんだよ、ロジックは。なぁサシャ?」

「アタシ難しい事わかんないー」

「な?」

「な? では有りませんよ。全く、ザクさんはこのような大人にはならないで下さいね」

「ああ、気をつけるよ」



新しいメンバーとも打ち解けて(アレッタと打ち解けたかは微妙だが)、夕飯を一緒に食べる。いや、アレッタ良く食うな…どこに行ってんだその量。

食事を進めているとエイトが聞いてきた。


「ザク、10歳なんだろ?祝福受けに行ったらどうだ?異能が見つかるかもな」

「そう言う事でしたら、私が案内いたしますよ?」


そういえば、教会で祝福すると異能持ちになれる可能性があるんだったか。

明日、行ってみるか。




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