第26話 ゴミ問題の新たな問題

 自治会やハウスメーカーやご近所の人たちに、ゴミ出しについていろいろ聞いていくうちに、色んな事情がわかってきた。

 まず、我が家の裏のゴミ集積所が溢れてるのは、出してる軒数が多いというだけではなかった。我が家から道を挟んで隣に、とある施設がある。居住者もいるような老人施設で、そこの施設が、ゴミを家庭ごみとして集積所に出していて、1回にゴミ袋を5〜6袋以上出しているようす。それをご近所の方々もみんな知っていて、ゴミについて話をすると、あそこがすごくたくさん出すから…とみんなが言う。そして、仮に我が家の前にもう一つゴミ集積所ができたら、その施設はそこにゴミを出すつもりだと言う。

 えーーっと、ちょっと待って。

 まず、施設のゴミって事業ゴミとして捨てないとじゃないの?調べると自治会がよいといえば、常識の範囲内でゴミ集積所に出してもいいらしい。1回に5〜6袋って常識の範囲かなぁ?

 夫が、施設の責任者や自治会に確認すると、施設ができた当初に、当時の自治会長さんが、ゴミ集積所に出してもいいと言ったらしい。ということで、ギリギリ違反ではない?でも1回に5〜6袋は多くない?この地域では、一般の家庭ゴミは、1回に2袋までとのルールがある。しかも、近隣の人たちがゴミが溢れて困っているという事実もある。そこで、施設のほうに確認すると、当初の施設責任者と現在は変わっていて、現在の施設長は、同系列の他の施設では、事業ゴミとして業者に回収してもらっていることもあり、なぜここだけ家庭ゴミで出してるのかなぁと思いながら、前にならってそうしていたとのこと。その施設は、これを機に事業ゴミとして処分することになり、地域のゴミ集積所には出さないことになった。

 こう書くと、すんなり話が進んだように見えるが、これも実は、ひと苦労だった。まず、その施設の現在の施設長さんが、50〜60代くらいの女性なのだが、少し変わった方で、なかなか話が通じない。会社としてどうなのかを、施設長さんに聞いても、自治会がよくわかってないんですよとか、前任者からいいと言われてるとか…いや、それはわかっているけど、会社として今後どうにかする気はないですか?と聞きたいのだけど、堂々巡り。そこで夫は、どこでもなんでも聞ける力を発揮して、その施設を持つ大元の本社に電話をして、事情を説明した。すると、結局、系列の他施設と同様に事業ゴミとして会社で処理をするということになったようだ。

 そうなったということを、その施設長が、我が家に説明に来た。最初は、ご迷惑おかけしてと口では言うのだが、話しているうちに、おかげで本社に報告書を出さなきゃいけなくなったとか、なんだか我が家に文句を言いに来た?という感じになっている。

 夫は、筋が通らないことは許せなくて、施設長のおばさまの態度に、なんか開き直ってません?とハッキリと言うと、おばさまも、ええ、わたし開き直ってますよ!と真顔で言いだした。とても変わっている。そして、その施設が10袋くらいゴミを出してると夫が本社に言ったことを、10はない5袋ぐらいです!と怒っている。それに対して夫も、台車で3往復してるの見てるから5袋ってことはない!とキレている。

 なんだこれ…そこで、ナマケモノが割って入り、いやいや、5とか10とかどっちでもいいんですよ、家庭ごみのルールの2袋までってのはどっちにしても遥かに超えてるんですよね、それでゴミ集積所が溢れて地域の人が困ってる、そこが問題なわけで、それを本社に伝えたまでですと。

 すると、施設長のおばさまは、ええどっちでもいいんです!なので事業ゴミで処理します!と、なんだかわからない勢いで説明をして、ご迷惑おかけして、とまた謝った。ううう、どんなテンションなの…謎すぎてナマケモノは半歩後退り。おばさまは、感情がとっ散らかったまま、最後はまた頭を下げて帰って行った。我が家は謝ってもらうようなことはないのだけど…文句を言われるのもなんだか違う気がする。どっちもいらないなぁとおばさまの後ろ姿を見送りながら思った。

 とりあえずその問題は解決したのだが、これに関しては、見えなかった問題が突如現れて、それが解決しただけなので、最初の、我が家がゴミ集積所に挟まれるという問題は変わらずまだ在り続けるわけで。やはり分譲地が全部うまった場合、分譲地用のゴミ集積所は増やさないとダメだと自治会長は言い、場所も申請済みなので動かせないとのこと。

 ハウスメーカーの不動産部という部署が、それを前々から把握していて、それが営業担当者まで届いていたのかいないのか、どちらにせよ我々に情報が届かなかったのは問題であったと言っている。結局、ゴミ集積所を増やすのは決定、場所も我が家の前で決定なのは変えられない、我が家の場所を移すのも無理、ならば、出来るだけ景観を損ねないゴミボックスをハウスメーカーが用意し、この分譲地用のゴミ集積所として寄附をするという形でどうかと提案された。見た目問題もなんとかクリアし、そこにはこの分譲地の人だけが出すこととなり管理もきちんとできそうな見通しも立ち、夫も渋々納得して受け入れた。この辺り、他の集積所はちょっと囲いがあればいい方で、ほぼ野ざらしに、烏よけ?猫よけ?転がり防止?のネットが付いているくらい。我が家の前のゴミボックスを見て、ご近所の皆さん、いいなぁーと言う。自治会で、そこそこする自治会費を結構な世帯から集めているのだから、ゴミボックスの補助くらい出してくれればいいのにと思うが、ゴミ集積所に関しては、自治会は関係ないらしい。自治会会員でなくてもゴミは出せるので、ゴミ集積所は、集積所利用グループという単位で申請、管理し利用運営していくそう。なるほどねと思うけど、この辺りの仕組みに関してみんな曖昧で、今回、ゴミについて色々な人と話したけど、ほとんどの人がよくわかってないと思う。中には、ゴミはどこにでも出していいんだよここら辺は、と言っている年配の方もいた。市役所に聞くと集積所利用グループがどうこうという上記のようなルールがあるみたい。でも聞かないと、どこにも書いてないし、積極的に教えてもくれない。少し勉強になりました。

 後に、仲良くなった、ひと区画隣のご近所さんと、ゴミ問題で大変だったと話していたら、その人が出している集積所には、ちょくちょくこんなメモが貼ってあると、携帯の写真を見せてくれた。誰かを名指して、あなたの家族はどうだとかこうだとか、泥棒だのなんだの、ゴミを漁ってどうとかこうとか、赤い文字で長文で大きく書かれた貼り紙が集積所に貼り付けてある。こわっ!これ、サスペンスドラマで事件が起こる前によくある出来事じゃない?!

 結構前から、頻繁にこんな紙が貼られてるんだとか。おそらく書かれてる人も書いてる人も、その人のご近所らしい。関わるのも怖いけど何かあった時のため写真撮ってみたとのこと。我が家が大変だったと話したが、そっちの問題のがもっとヤバそうで大変だ。世の中、日常の中に、問題がいっぱい転がっているのですね。

 ナマケモノとしては、とても面倒くさいけど、一度解決しておけば、その後の面倒くささがなくなるのでよい。ただ、赤文字の貼り紙問題は、そう簡単に解決できなそう…

 触れないほうがいいこともある。

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