第10話 謎の空白

 第一候補のハウスメーカーは、とにかく家の雰囲気が我が家の希望にぴったりで、空調関係の機能も我が家が一番欲しい形の機能で、他にはそれがなかったのです。しかし、家の金額はかなりお高い。それをなんとか、家は小さくてもいいから金額を抑えて建てられないかと、最初の担当さんは考えてくれていたのだが、その担当さんが配置換えで異動になって、変わった担当さんはそこまで情熱をもってくれていないのが、すぐにわかった。そして、土地が決まってこないと間取りの打ち合わせも始められない。そんな中、第二候補のハウスメーカーのほうでは、仮の土地で間取りの話まで進められている状況だった。ここで、第一候補のハウスメーカーに未練を残しながらずっと進めていくのも効率が良くないので、我々の中で期限を決めた。

 その第二候補のハウスメーカーの分譲地が正式に売り出されて、公に商談を始められる段になっても、他に良い土地が出てこなかったら、もう第二候補のハウスメーカーに絞って全力で進もうと。

 その前に、第一候補のハウスメーカーは、自由設計で、店舗兼住宅はどんな風にも可能であったが、第二候補のハウスメーカーは、工法としてある程度の縛りがあり、店舗と住宅というのが可能なのかを確認しなければ。

 確認すると、できます!との返答。

 これに関しては、ハウスメーカーの建築例やイメージからも、なんとなくできるのか不安があって、希望イメージに近い店舗の写真を見せて、こんな感じにできますか?と念には念をで営業のMさんにも建築士さんにも尋ねたが、できます!とのお返事だったので、ここはそれを信じて進むことに。

 そうこうしているうちに分譲地の土地販売開始となり、他に良い土地も出てこず、第二候補ハウスメーカー一本に絞って、家づくりを開始することになった。

 こうしてついに、ナマケモノが家を建てることを現実的にスタートさせることになったのです。


 元いた市にまた転居することを決意し、子供も転校となるので、それも含めてのスケジュールを相談した。半年後の年度の切替わりに転校、引っ越しを予定したとして、建築に要する期間も問題ないとのことで、半年後に建築期間を決定した。

 そのメーカーを一本に絞る決心までの2カ月ほどは、毎週または隔週くらいで週末に打ち合わせをしていた。住居部分の間取りなどを考えていっていた。ところが、こちらで建てると絞って決めてから2ヶ月ほど、パタリと打ち合わせの回数が減っていったのです。

 ん?ん?店舗もあるけどこんなペースで大丈夫?間に合う?

 転校なども含めて一応希望の建築期限もあるのだけど、伝えてましたよね?とMさんをつつくと、もちろんです!大丈夫です!との返事。

 そこから、何だったんだこの2ヶ月の空白は、と思うほどの、怒涛の打ち合わせ地獄が始まった。

 まぁ空白期間には子供の夏休みもあり、休めてよかったと思えばいいかと、微かな疑念を忙しさで飲み込んだ。効率主義のナマケモノとしては少し消化不良を起こし始める。


 これ、本当に家建ちます?

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