第16話 酔っ払い

 夫は飲み会があると大抵酔っ払って帰ってくる。基本的に面倒な酔い方をしている。同じことを何度も話すのだ。私ははいはい言いながら甲斐甲斐しく酔っ払いの世話をする。それは私も酒を飲むのが好きで酔っ払うことがあるからというのもある。しかし最大の理由は世話をすると自己肯定感が高まるからだ。

 楽しげに帰宅した酔っ払いは下着姿でトイレで眠り出した。放っておいて自分だけベッドで眠ることもできるが私は敢えてそれをしない。なんとか起こして歯磨きをさせてベッドに誘導する。

 私がいなければ今頃夫はトイレで寝て風邪をひいていたに違いない。私は鼻高らかに眠りにつくのだ。

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