第17話 風呂掃除
「今日、お風呂掃除なんだよね」
この呪文を口にすると夫が風呂掃除をしてくれる確率がかなり上がる。
夫の返答は様々だ。
「洗っておくよ」
と言ってくれる日もあれば
「やれたらやる」
と言ったり
「今日は疲れたから無理」
とはっきりと言う日もある。
夫が風呂掃除をしてくれる時は私に何も言わない。入浴後にそのまま掃除を始める。なぜなら彼は私に何も言わずに家事を完遂し、それに気づいた私に誉められるのが好きだからだ。だが狭い1LDKでは風呂を擦る音など丸聞こえだ。
「お風呂掃除ありがとう」
風呂からあがり脱衣所で身支度をする夫にリビングから声をかける。
「驚かせようと思ったのに」
夫は悔しそうにそう言う。
「洗ってくれてる音がしてびっくりしたよ」
それでも夫は少し不満気。私はそんな夫に笑いながら再度感謝を伝える。こんなことを毎度飽きずに繰り返している。
今日は風呂掃除の日。私は風呂から出てこたつで携帯をいじる。すると風呂場から壁を擦る音が聞こえた。
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