6位→4位

6位

「Surges」Orangestar

 ジャンル J-POP/ボカロ

夏背&ルワン版 https://www.youtube.com/watch?v=QvWsAIc5mO8

ボカロ版 https://www.youtube.com/watch?v=rkaNKAvksDE



 今年の夏ごろ公開されたOrangestarさんの新曲。

 私のOrangestarさんの曲への愛情を語り出したらきりがないのですが、ここでは簡単な紹介だけ。


 Orangestarさんはおそらく「アスノヨゾラ哨戒班」が一番有名です。「空へ舞う世界の彼方」で始まるサビと、疾走感が人気を博した曲です。そこそこボカロに詳しい方なら、「空奏列車」とか「雨き声残響」とか、「DAYBREAK FRONTLINE」、「快晴」とかも思い浮かぶことでしょう。

 「快晴」以降、しばらく活動を休止していましたが、2020年に「Sunflower」で復活、その後、「Henceforth」でボカロ曲も投稿、2020年末には「Sunflower」を歌い、PVのイラストも描いていた夏背さんと結婚したことを明かしました。これかもずっと応援したいところです。



 さて、この曲は「夏背&ルワン版」と「ボカロ版」の二つがあります。前者は早乙女拓也御用達、カロリーメイトタイアップのムービー付き、後者はOrangestarさんの曲のイラストを多く手がけたM.Bさんのイラスト付きです。

 タイアップのPV、ぜひ見てください。私はどちらかというと勉強熱心派だったので、部活はまあまあというところでしたが、それでもすごく感動します。PVに登場する彼らのように、コロナ禍で思うように部活が出来なかったとしても、それでも、やってきたことは無駄じゃない。自信をもって過ごしてほしいと、切に願います。


 もちろん楽曲も、これまでのOrangestar曲を継承した、早いテンポ、高密度の素晴らしいものです。今はお世辞にもボカロ全盛期とは言えませんが、それでも438万再生、流石です。



 ピックアップリリックは次の一節。

「誰も知り得ない夜明けを僕たちは越えてゆけ」(uta-tenより)



 コロナ禍は、まさに「誰も知り得ない夜」でした。その夜を越えてゆけと、鼓舞する歌詞です。お医者さんによると、あと二年くらい我慢すれば明るい兆しが見えるとのこと。もう少しです。


 なお、surgeは英語で「大波」とか「うねり」の意、Orangestarさんは、かなり曲のタイトルや歌詞に意味を込めているので、ここにも何か大きな意味が隠されているのではないかと、そう思ってしまいます。




5位

「リナリア」まるりとりゅうが

PV  https://www.youtube.com/watch?v=CfimCCOECKM

曲だけ https://www.youtube.com/watch?v=JsLQBVrRMEM

ジャンル J-POP/アニソン


 今年初頭に公開された曲。後で知ったけれど、アニソンらしい。「恋と呼ぶには気持ち悪い」のEDテーマだとか。アニメの方は見てないので、わかりませんが、少なくともこの曲単体で良い曲です。


 リナリアは花の名前、日本では「姫金魚草」と呼ばれることもあるとか。花言葉は「この恋に気がついて」「幻想」などだそう。前者の意味に関しては、PVとマッチしている印象です。


 ランクインした理由としては、サビと曲構成が個人的にすごく好きだったからです。Bメロとサビの間にみなし前奏、サビの後に間奏が入ることで、サビが浮島のようになります。秘められた思い、秘めなくてはならない思いを描くには、この孤立したサビはまさにぴったりな構成だと思います。かなり想像を膨らませ過ぎなのは自覚してます。


 

 ピックアップリリックは次の一節。

「花びらのようにゆっくりと落ちてしまった悪戯」(uta-netより)


 これは、美しい表現だなあと思ったのと同時に、単純にここのメロディーが好きという理由でもあります。ビブラートがね。アニメ見たらもっと評価変わるかもなあ。






4位

「花めづる君」傘村トータ

https://www.youtube.com/watch?v=U5PPdCZSMaw

ジャンル ボカロ


 今年の初夏に公開された曲。歌詞が非常に美しい曲です。

 傘村トータさんは比較的新しいボカロPで、「あなたの夜が明けるまで」や、「晴天を穿つ」などの曲があります。

 この曲ではGUMIが使用されているのですが、私、びっくりしました。GUMIってこんなしんみりした曲にも合うんだなあと。40㍍P「シリョクケンサ」やkemu「人生リセットボタン」の時代は遠くなりましたが、未だ新境地が開発されている印象です。



 「めづる」は動詞「づ」の連体形で、名詞(体言)「君」にかかっています。「虫めづる姫君」と同じ用法です。意味としては、「花を愛する君」とか、「花を愛するあなた」とかになるでしょうか。「花を愛したあなた」と過去形にしてもいいかもしれませんね。

 

 4位に選出した理由は、「三つの美しさ」です。


 まずひとつはPV。スズランとおぼしき花に囲まれながら涙を流す主人公(女性か男性か微妙。解釈によってわかれるか)が、誰かの手を掴んで、笑ったり、切なそうな顔をしたり、瞳を閉じたりいろいろな表情を見せる。シンプルと言えばシンプルなものですが、心が奪われるほど、古文風に言うなら「あくがる」るほど美しいです。すべての絵において主人公は涙を流しています。表情によって見え方が異なってくるのは言うまでもありません。


 次に、ピアノ。

 傘村トータさんの曲は、結構ピアノを使う曲が多いです。また、全ての楽曲を聞いたわけではないのであれですが、前奏がなく、一番と二番の間奏が実質的な前奏になる事も多いような印象です。「小説 夏と罰」(曲のタイトルです)の上下もそうでした。だから、間奏のインパクトって結構強くなるんですよね。この曲はGUMIの声とピアノだけでできています。あえていってしまえば盛り上がりに欠けてしまいそうなものですが、何と言うんでしょうか、逆にそれによってしっかりと曲を鑑賞できるようになっている気がします。



 最後に歌詞。

 全てが美しく、壮大なのですが、あえてピックアップリリックを挙げるとするなら、次の二つです。


「あなたもきっといい夢を見てると思った」

「私はあなたのことをなんにもわかっちゃいない」(動画概要欄より)


 登場人物である「私」と「あなた」はおそらくかなり近しい距離にいたのでしょう。だから、見誤ってしまう。勘違いしてしまう。それがとても端的に表されていると思います。


 この曲が聞く人によって解釈が分かれると思います。いわゆる「同性愛」の話かもしれませんし、「片思い」の曲かもしれません。これ以上述べてしまうと曲を聞く楽しみもなくなってしまうかと思うので、この辺りでとどめておきます。

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