第7話
呆然としていたのは、ほんの少しの間だったと思う。ふいに訪れた煙たさと息苦しさで我に返ると、あちこちから火の手が上がっているのが見えた。みんな、炎に巻かれて倒れていた。
「誰か、助けて……そうだ。消防車と救急車……」
震える手で鞄の中を漁り、なんとかスマホを取り出す。
「あつっ!」
急にスマホが熱くなって、取り落とす。落としたスマホから、勢いよく炎が上がった。
「な……なんで……?」
燃え上がる炎から逃げるように後ずさる。
「に、逃げなきゃ……」
みんなを焼いている炎が、急に勢いを増した。勢いを増した炎は周りの木や草に燃え移り、あっという間に私を取り囲んだ。
「なんで? なんでよ、まみちゃん! 許してくれたんじゃ……ごほっ、げほごほ!」
熱い煙に喉が焼かれる。逃げ道を探す私をあざ笑うかのように、炎はじわじわと迫ってくる。
すがる気持ちで、握り締めたままの10年前の手紙を開く。
手紙の最後に、さっきはなかった『ゆるさない』という言葉が、大きな赤い字ではっきりと書かれていた。
ゆるさない OKAKI @OKAKI_11
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