03 案の定

鉄指名の少女の自己紹介が終わった後は

特に違和感のある自己紹介は無く、順調に進んでいた。

鉄が英知学園に入学する約半年前頃。


「次々と地下闘技場の選手を倒し、ついに

ここまでたどり着いた天才少年、マテツッッ!!

対するは、現役地下闘技場チャンピオン……

龍二ぃぃぃ!!!」



とある大きなビルの地下にある

地下闘技場と呼ばれる場所に大きなアナウンスが流れる。


次の瞬間、地下闘技場は観戦客の歓声に包まれた。











地下闘技場。


そこは全国から集まった実力者達が、

自身の実力を競い合う、格闘場である。


しかし、この地下闘技場は出場することすら難しく、

全国各地で行われている、

闘技場大会で優勝する必要がある。


そして、この地下闘技場には順位制度があり、

1位から200位、そして1位の上のチャンピオンという

201個の称号が存在する。


そして現在、そのチャンピオンを決める

6か月に1度のチャンピオン試合が行われている。











歓声の中、2人の男が中央のリングに上る。



「……まさか、ここまで来るとはな……」



龍二と呼ばれた男がそう呟くと、



「俺もまさかここまで来るとは思いませんでしたよ」



マテツこと松本鉄は、苦笑いでそう答えた。


すると、ニヤリと笑いながら龍二は拳を構えた。


それを見た鉄も拳を構える。


しかし、その構えは一般的なものではない構えだった。



「それでは……チャンピオン試合……スタ~ト!!」



そうアナウンスが流れ、2人の壮絶な戦いが始まった。


「村上真司です。

このクラスを最高のクラスにできるように

頑張って行きます。 よろしくお願いします。」



爽やかな少年の自己紹介が終わり、

鉄へ自己紹介が回ってくる。



「じゃあ、松本君!」


「はい……」



担任に呼ばれて席を立つ鉄。


すると、クラス中の目線が鉄へと向く。



(おいおい、敵意むき出しだな……)



先ほど、鉄に向かって自己紹介をした少女は

かなり可愛かった。



つまり、男子の嫉妬が鉄に突き刺さっているのだ。



(はぁ、いきなりこんな目立つのかよ……)



そんなことを心の中で愚痴りながらも

鉄は自己紹介を始めた。



「松本鉄です……読書が好きです。

これからよろしくお願いします……」



あまりにもクラス中が凝視するので

一瞬、言い淀みながらもどうにか自己紹介を終えた。











地獄の自己紹介が終わり、休憩時間となった。


その瞬間、鉄は廊下にめがけて猛ダッシュする。



(あんな注目された教室にはいられねぇよ!!)



廊下に出た鉄は走るのを止めてトイレへと向かう。


特に行く必要は無かったが、

あまりにも注目されるので1人で落ち着きたかったのだ。



「ちょっといいかな?」



そんな鉄に後ろから声をかける1人の少女がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る